リガレアス行政書士事務所の谷川です。
海外から優秀な人材を採用できたものの、「入社までにどんなビザ手続きが必要なのだろう?」と不安を感じる企業の担当者様は多いと思います。「何から手をつけたら良いかわからない」「入社予定日に間に合うか心配」といった懸念もあるでしょう。
初めて海外在住の外国人を採用する際、必要な就労ビザの種類を見極めて、入社に間に合うよう手配する手続きは、入管法に関する知識が必要となり、受け入れ企業にとってハードルとなりがちです。
この記事では、ビザ手続き初心者の方でも、手続きの全体像・必要な知識・そして入社までのタイムラインを明確に把握できるよう、一つずつ解説していきます。ぜひ外国人受け入れのガイドとして、採用者を迎え入れる準備を始めましょう。
外国人のビザ申請手続きでお困りですか?
→必要なステップがわかるビザ業務リストを無料でダウンロードする
目次
海外在住の外国人採用でまず押さえるべき基本
外国人の採用活動が成功し、内定承諾を得られたとしても、実際に日本に呼び寄せて就労を始めてもらうには、さらに「在留資格」の取得手続きが必要となります。
日本に中長期的に在留したい外国人(留学、結婚など)や、報酬を得る活動(就労、起業など)をしたい外国人に必要な許可のこと。
日本での活動内容に基づき29種類に分かれていて、出入国在留管理庁(法務省)が審査・交付を行う
このプロセスを円滑に進めるためには、まず在留資格の基本知識と、その取得前後のフローを理解しておくことが重要です。ここでは海外から採用者を受け入れる際に大前提となる基本知識を解説します。
内定〜入国の流れ
海外から採用した外国人が日本で働くためには、原則として就労の在留資格の取得が必要となります(日本人の配偶者がいる方などは、配偶者ビザなど別の選択肢がある場合もあります)。
在留資格を申請するこの手続きを、「在留資格認定証明書交付申請」と呼び、入管へ申請します。審査の結果、許可されると「在留資格認定証明書(Certificate of Eligibitily/COE)」が交付されます。

在留資格とビザは混同されがちですが、この2つは別物です。まず日本の入管へ在留資格認定証明書(COE)の交付申請を行い、許可されれば、そのCOEをもって外国人本人が本国の日本大使館へ査証(ビザ)申請を行います。
COEの申請手続きは、海外から行うことはできないため、基本的に企業側が行います。COEがないと、現地でビザ申請に進むことができないため、まずはCOEの取得が手続きの第一歩です。
なお、入管は全国に支局があり、採用外国人の勤務予定地、もしくは会社の所在地を管轄する入管で申請を行います。(参考:地方出入国在留管理官署)
在留資格や在留資格認定証明書(COE)については、以下の記事でも行政書士が詳しく解説しています。理解を深めたい方はぜひ併せて参考にしてください。
前提:在留資格や国によって必要期間が異なる
COE交付申請の審査にかかる期間は、平均1~3カ月程度です。しかし、在留資格の種類や、受け入れ企業の規模、入管自体の混雑状況などにより、常に前後します。
また、あまり知られていませんが、採用者の国籍も考慮が必要です。その国ならではの法律により、現地で事前の手続きが必要なこともあるためです。
たとえばフィリピンでは、フィリピン人が海外で働くためには、原則としてフィリピン側で移民労働者省(DMW)の審査を受け、認定される必要があります。
ほかにも特定技能や技能実習といった在留資格の場合は、 ほとんどの送り出し国で、政府や公認機関の認証手続きが別途必要です。
さらに2025年から、結核スクリーニング制度が始まりました。これは在留資格の種類に関わらず、結核患者数が多い国を対象に、COE申請の際に事前の検診を義務付ける制度です。対象国からの入国者は、現地の指定医療機関で胸部レントゲン検査等を受け、「結核非発病証明書」を取得する必要があります。
| 対象国 | スクリーニング受付開始 | 結核非発病証明書の提出義務付け開始 |
| フィリピン・ネパール | 実施中(令和7年3月24日~) | 実施中(令和7年6月23日~) |
| ベトナム | 実施中(令和7年5月26日~) | 実施中(令和7年9月1日~) |
| インドネシア・ミャンマー・中国 | 開始に向け調整中 (開始が決定され次第公開予定) | 左に同じ |
詳細:入国前結核スクリーニングとは(厚生労働省)
医療機関の予約を取り、検診を受け、証明書をもらうまでに数週間程度の時間を見ておく必要があるでしょう。万が一、再検査や治療が必要となった場合は、COEを申請できるまでさらに時間がかかります。
このように、海外在住の外国人を採用したら、その国籍ならではの手続きがあるか確認したうえで、逆算して計画的に在留資格取得手続きを進めることが重要です。
そもそもどのような在留資格があるかわからない方は、以下の記事も参考にしてください。
そもそも在留資格審査では何を見られる? おもな論点
入管へ在留資格認定証明書(COE)の申請を行うと、審査に入りますが、この審査がどのようなものなのか、またどのように書類を作成すれば許可がもらえるのか、不安に感じる企業の方も多いと思います。
審査の論点は、大きく4つに分類できます。入管は提出された書類を精査し、これらの論点を中心とした厳格な審査を行い、許可・不許可を判断します。
ここでは、特に申請する方が多い「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を例に取り解説します。ほかの在留資格の場合でも応用できる基本的な考え方なので、入管の視点を理解し、提出書類で在留資格取得の正当性を立証できるようにしましょう。
①職務内容と在留資格の該当性
外国人の方が日本で働くための就労ビザ(在留資格)には複数の種類があり、職務内容に沿った在留資格を申請する必要があります。
たとえば技術・人文知識・国際業務の在留資格には、ITエンジニア、通訳、海外営業、マーケティングなど、いわゆるホワイトカラーの業務が該当します。レジ打ちや工場での現場業務など、反復作業・単純労働は原則として対象外です。
仮に専門性の高い技術職などであっても、現場業務であれば基本的に技術・人文知識・国際業務への該当性が認められないため、職務内容の適合性は慎重に判断しましょう。
「この仕事はこの在留資格で問題ない」と安易に判断してしまうと、せっかく申請をしても不許可になってしまいます。
技術・人文知識・国際業務の在留資格の要件や手続きについては、以下の記事でも詳しく解説しているため、併せてご活用ください。
②労働条件
職務内容と同様にチェックされるのが、外国人の労働条件です。前提として、給与や待遇は、同等の業務を行う日本人と比較して同等以上であることが求められます。これは、外国人を安価な労働力として不当に採用することを防ぐための要件です。
この要件を十分満たしていることを証明できるように、採用時の雇用契約書や労働条件通知書には、基本給・賞与・福利厚生・労働時間などを具体的に明記しましょう。
なお、企業の規模によって入管への提出書類の量が異なり、大企業ほど、必要書類は少ないです。この企業分類を「カテゴリー」と言い、1~4に分かれています。
カテゴリーによっては、雇用契約書などが提出不要のこともありますが、それは労働条件を満たしていることが大前提となっています。審査の過程で労働条件について説明を求められる可能性もありますので、採用する外国人の待遇に関する資料はカテゴリーに関わらず用意しておくようにしましょう。
カテゴリーごとの違いや注意点については、以下の記事でも解説しています。
③学歴・実務年数・専攻の関連性
外国人本人の経歴も、在留資格の取得に係る要件の一つです。たとえば技術・人文知識・国際業務の在留資格を申請するには、採用者が以下の①~⑤いずれかの経歴要件を満たす必要があります。
①当該分野に関する科目を専攻して大学(短期大学も含む)を卒業していること。またはこれと同等以上の教育を受けたこと
②当該分野に関する科目を専攻して日本の専門学校を卒業し、専門士もしくは高度専門士の称号を持っていること
【職歴で経歴要件を満たす場合】
③関連する業務で10年以上の実務経験を有すること(高校や大学などで、その分野について専門的に学んだ期間も含む)
④外国の文化に基盤を有する思考または感受性を必要とする業務(翻訳、通訳、広報、海外取引業務、服飾や室内装飾のデザインなど)に従事する場合は、その業務において3年以上の実務経験があること
(大学を卒業した者が翻訳・通訳または語学の指導に従事する場合を除く)
【例外】
⑤上記に当てはまらない場合でも、IT技術職の場合は、情報処理技術に関する特定の資格または試験の証書を持っていること
詳細:在留資格「技術・人文知識・国際業務」(出入国在留管理庁)
たとえば以下のような場合は、経歴についての要件を満たしています。
- 情報工学の学位を有する人を、ITエンジニアとして採用する
→上記①を満たす - 営業職で10年以上の実務経験がある人を、販売促進部門の企画職として採用する
→上記③を満たす - 通訳として3年以上の実務経験がある人を、通訳者として採用する
→上記④を満たす
なお、大学卒業以上の学歴を有する場合は、専攻と業務内容の関連性は柔軟に判断されるため、必ずしも完全に合致する必要があるわけではありません。
ただし、あまりにも専攻内容とかけ離れていると、在留資格が認められない可能性もあるため、不安な場合は事前に行政書士や入管の窓口へ相談するようにしましょう。
④企業の安定性・継続性(実体性の立証)
外国人を雇用する企業にも、採用者に安定した給与を支払い続けられるだけの経営実績や事業内容の実体性が求められます。
特に、設立から間もない企業や、直近で赤字が続いている企業、または業務の実態が曖昧な企業などは、この安定性・継続性の審査が厳しくなります。
先ほど解説した通り、企業の「カテゴリー」に応じて必要な書類の種類が異なり、たとえば中小企業や新設企業(カテゴリー3・4)であれば、以下のような書類が企業側に求められます。
- 登記事項証明書
- 直近の決算報告書
- 事業内容を具体的に説明する資料
など
実際に、「ボーナスの見込み金額の実現性が低い」と判断され、高度専門職(年収や学歴が一定基準を超える高度人材向けの在留資格)の申請が不許可になったケースもあります。この外国人の方は、最終的に技術・人文知識・国際業務で許可が下りましたが、企業の安定性が慎重に審査されることを示す一つの例です。
不許可になる例や対処方法は以下の記事で解説していますので、ぜひ併せて参考にしてください。

【全12ページ】担当者向けのビザ業務チェックリストを無料配布中
海外から外国人を採用した企業向けに、ビザ手続きの業務リストをご提供しています。入管法の専門家である行政書士が作成。マニュアルやチェックリストとして、ぜひご活用ください。
<この資料でわかること>
- 内定~入国のスケジュール
- 企業と外国人それぞれの手続き詳細
- ポイントや注意点
ビザ取得に必要な書類と作成のポイント
ここまで在留資格の審査における論点を解説しましたが、入管での審査は原則として提出書類に基づいて行われます。つまり審査官によっては、追加書類や追加説明を求めることなく、一発で不許可を出すこともあります。
そのため不許可を防ぐためには、申請書類の準備を周到に行うことが不可欠です。
この章では申請書類作成のポイントを企業側と採用者側に分けて解説し、よくある注意点も紹介します。在留資格の要件を満たしていることを立証できるよう、正確に書類を準備しましょう。
企業側が用意する書類
必要な書類は在留資格ごとに異なり、入管のホームページにそれぞれ案内されています。技術・人文知識・国際業務を例にとると、以下のような書類が企業側から用意するものです。
・申請書
・カテゴリーを立証する資料(四季報の写し、法定調書合計表の写しなど)
▼カテゴリー3・4共通
・労働条件通知書
・登記事項証明書
・事業内容を明らかにする資料
・直近年度の決算文書の写し。新規事業の場合は事業計画書
▼カテゴリー4のみ
前年分の法定調書合計表を提出できない理由を明らかにする次のいずれかの資料
・外国法人の源泉徴収に対する免除証明書その他の源泉徴収を要しないことを明らかにする資料
・給与支払事務所等の開設届出書の写し
・直近3か月分の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書
・納期の特例を受けている場合は、その承認を受けていることを明らかにする資料
詳細:在留資格「技術・人文知識・国際業務」(出入国在留管理庁)
上記のように、企業のカテゴリーによって必要書類が異なります。原則として、必要書類がすべて揃っていないと申請を受け付けてもらえないため、早めに社内で収集を始めましょう。
企業や外国人採用者の状況によっては、上記以外にも必要な書類が発生するケースもあります。必要書類の見極めは入管法を理解していないと難しいため、複雑なケースの場合はビザ専門の行政書士に相談するのがおすすめです。
なお、必要書類以外のものをあれこれと提出する必要はありません。審査の長期化を避けるためにも、書類は過不足なく提出することがポイントです。
採用者(外国人)側が用意する書類
採用した外国人に準備してもらうものは、おもに経歴に関する書類です。在留資格への該当性を立証する資料となります。たとえば技術・人文知識・国際業務の場合は、以下が必要な書類です。
・パスポートの写し
・証明写真
・(日本の専門学校を卒業した場合)専門士または高度専門士の称号を付与された証明書
▼カテゴリー3・4共通
・履歴書
・大学等の卒業証明書(学歴要件で申請する場合)
・在職証明書等で、関連する業務に従事した期間を証明する文書(職歴要件で申請する場合)
詳細:在留資格「技術・人文知識・国際業務」(出入国在留管理庁)
履歴書は、所属していた機関ごとの入退社年月、担当業務など、詳細に記載されている必要があります。また履歴書の学歴、入学・卒業年月などの内容も、申請書と相違がないかよく確認するようにしましょう。
また入管への提出書類は、原則として日本語である必要があります(履歴書や卒業証明書など英語表記も一般的であるものを除く)。日本語・英語以外の言語で表記された書類は、日本語もしくは英語の翻訳も併せて提出しましょう。正確に翻訳できる場合は、本人による翻訳で受け付けてもらえるケースが多いです。
起こりがちな書類不備の例
最後に、初めて在留資格を申請する企業が書類作成でつまずきやすいポイントを紹介します。あらかじめ失敗例を頭に入れることで、審査の長期化や不許可を回避できます。
<1.書類の不足>
必要書類の不足は、初歩的でありながらよくあるミスです。たとえばカテゴリー立証資料(四季報の写しなど)が抜けている、翻訳がない等。必要書類が不足していると、申請を受け付けてもらえないため、提出前に十分確認するようにしましょう。
<2.職務内容の記載が抽象的>
よくあるのが、本来は技術・人文知識・国際業務に該当する業務内容であるのにも関わらず、申請書の職務内容欄に単純作業と思われるような書き方をしてしまい、不許可になるというケースです。
活動内容の書き方が不十分だったり、誤解を招くような内容だったりすると、在留資格の該当性がないと判断される可能性があります。
またほかにも、ニッチな業界での専門性の高い職種などは、業務内容を審査官に理解してもらえず、確認が入ることがあります。誰が読んでもわかりやすく、かつ在留資格への該当性が伝わる記載を心がけましょう。
<3.単純な記載ミス>
申請書自体も、誤字脱字や入力漏れが発生しやすいです。たとえば採用外国人の名前がパスポート上のつづりと異なっている、入社年月の西暦が間違っている、日付やサインが抜けている等。注意することで避けられるミスのため、提出前に2度、3度とチェックすることが大切です。
上記以外にも、そもそも申請する在留資格を間違えているというケースもあります。どの在留資格で申請すべきなのか判断が難しい場合や、要件を満たしているか不安な場合は、ネット上の情報だけで判断せず、行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。
一度申請が不許可になってしまうと、入社が遅れるだけでなく、入管側に記録が残るため、それ以降の審査のハードルが上がってしまいます。
上記のような申請書類のミスを避けたい方は、ビザ専門の行政書士に手続きを依頼するのも一つの手です。以下の記事でメリットや料金相場を解説しています。
入社までのビザ対応スケジュール目安
これまで解説したように、海外在住の外国人を採用した場合のビザ手続きには入管法が絡み、慎重な準備が必要になります。希望入社日に間に合わせるためには、逆算したスケジュール管理が不可欠です。以下の目安を参考に、余裕をもって手続きを進めてください。
| プロセス | 期間の目安 | おもなタスク |
| ①書類収集・作成 | 2週間~1カ月 | ・申請する在留資格の特定 ・企業と採用者が必要書類を準備 ・申請書の作成 ・(あれば)本国側の政府や労働局への届出・認証手続き ・(結核スクリーニング対象国の場合)指定医療機関での検診 |
| ②COE申請・審査 | 1カ月~3カ月前後 | ・入管へのCOE申請 ・審査官からの追加質問対応(あれば) |
| ③COE交付・査証申請 | 1週間~2週間前後 | ・交付されたCOEを海外の採用者に送付 (紙の場合は郵送) ・外国人本人が現地の日本大使館・領事館でビザ発給手続き |
| ④入国・入社 | ・採用者が来日し、空港で在留カードを受け取る ・就労開始 ・住居地を定めたら市区町村役場で住民登録を行う |
繰り返しになりますが、在留資格の審査期間は在留資格の種類、企業の規模(カテゴリー)、また入管自体の混雑状況など、さまざまな要因により異なります。
書類収集開始から入国まで、全体の目安として最低でも3カ月、余裕を見て4〜6カ月程度の期間を見積もっておくと安心です。
なお、COE(在留資格認定証明書)は現在、電子交付を希望することができます。電子版COEであればメールで交付されるため、そのまま海外の外国人へメールで送付ができ、国際郵便で届ける日数を省けます。ただし電子版を希望するには、事前登録が必要であるため、ビザ専門の行政書士に依頼すると負担が少ないでしょう。
ビザ手続き~入国までの詳しいステップについては、以下の記事でも解説しています。
海外から外国人を採用した際によくある落とし穴
外国人の在留資格を取得するには、入管法を理解したうえで正確に手続きを遂行する必要があり、自己流での手続きにはリスクが伴います。
ここでは海外在住の外国人を採用する際によく発生する事案をもとに、注意点を紹介します。
よくある落とし穴を事前に把握し、認識のズレを防ぐことで、外国人採用者の円滑な入社を実現しましょう。
家族帯同の場合(後から呼ぶ場合も)
外国人採用者が配偶者や子どもを日本へ連れてくる場合、家族も同様に在留資格を取得する必要があります。この在留資格は「家族滞在」と呼ばれ、被扶養者として日本で生活するためのものです。
注意したいのが、扶養者となる採用者に、家族全員が日本で生活できるだけの十分な経済力(給与)が求められる点です。配偶者の方は原則として日本で就労することはできず、パートやアルバイトをしたい場合は別途「資格外活動許可」を取得する必要があります。
また、外国人採用者の方が「家族を連れていきたい」と後から突然言い出すケースも見受けられます。航空券の費用や住居の手配でトラブルになる可能性もあるため、帯同家族の有無については事前によく確認すると安心です。
家族滞在のCOE申請は、採用者本人のCOE申請と同時に行うことができます。本人だけ先に日本に来る場合は、本人の在留資格取得後、あらためて「家族滞在」のCOEを申請し、後から呼び寄せるという流れも可能です。
家族滞在の在留資格取得手続きについては、以下の記事で行政書士が解説しています。
住居手配等で入社前に早めに来日したい場合
COEを申請した後、採用者が「住居探しや銀行口座開設のために、早めに日本に来て準備をしたい」と希望するケースがあります。
COE交付後であれば、入社日の数日〜1週間前などに入国する程度であれば、特に問題ありません。ただし入社日に対して早すぎる入国は、在留資格の目的外の利用とみなされる可能性もあり、リスクがあります。外国人採用者には、原則として入社日の直前に来日するように伝えましょう。
COEが交付される前に、短期滞在ビザで一時入国することは問題ありません。しかし外国人によっては、そのまま短期滞在ビザで滞在を続け、COE交付後に日本国内で就労ビザへ変更しようと考えていることもあるようです。
しかし、短期滞在ビザから就労ビザへの変更は、入管は原則として認めていません。例外的に対応してくれることもありますが、申請が拒否される可能性も十分ありますので、本人が短期滞在ビザで先行入国したいと申し出た場合は、そのリスクを理解しているか確認しましょう。
基本的には、COEが交付されてから本国で査証を取得し、入社時期の直前に来日していただくのが最も安心です。
日本の教育制度と異なるため学歴が合わない場合
就労の在留資格のうち、学歴が要件として設定されているものがあります。たとえば先述の通り、技術・人文知識・国際業務の在留資格の申請では、以下のいずれかの学歴要件を満たす必要があります(学歴要件を満たさない場合は、職歴要件で申請できることもあります)。
②日本の専門学校を卒業し、専門士または高度専門士の称号を取得していること
このうち①で申請するケースが多いですが、教育制度は国によって異なり、本人が「大卒」と主張していたとしても、よく確認すると卒業校が「大学」ではなく、日本の大卒に相当しないことがあります。
外国人採用者の学歴を確認する際は、口頭だけではなく、卒業証明書などの書面で事実を確認するようにしましょう。
日本の学士号に相当するか判断が難しい場合は、履修したカリキュラムや、取得した単位、専攻内容などを説明する文書を作り、日本の大学と同等以上の水準の教育を受けたことを立証する必要が生じます。
また中国では、卒業証明書とは別に学位証明書が発行される大学が多く、入管は卒業証明書だけでは学位を認めてくれないことがほとんどです。中国の方を採用する場合は、学位証明書も併せて確認・提出するようにしましょう。

【全12ページ】担当者向けのビザ業務チェックリストを無料配布中
海外から外国人を採用した企業向けに、ビザ手続きの業務リストをご提供しています。入管法の専門家である行政書士が作成。マニュアルやチェックリストとして、ぜひご活用ください。
<この資料でわかること>
- 内定~入国のスケジュール
- 企業と外国人それぞれの手続き詳細
- ポイントや注意点
複雑なケースでも対応可能! リガレアスのビザ取得事例
ここでは、リガレアスにビザ取得をご相談いただいた実際のケースを紹介します。予期せぬトラブルが発生した際の対応事例も紹介しているため、初めて海外から人材を採用する担当者の方は、ぜひ目を通してみてください。
①実は大学を中退していたことが採用後に発覚したケース
- 業種:情報通信業
- 外国人社員数:200名以上(日本人含めた社員数は3000名以上)
- 申請在留資格:技術・人文知識・国際業務
<状況>
会社は履歴書から大卒者だと判断し、技術・人文知識・国際業務の在留資格を取得できる想定で、弊社へ手続きを依頼。リガレアスでCOE申請手続きを受注後、申請人とやりとりを進めたところ、大学の卒業証明書が提出されず、大学を中退していたことが判明。かつ、年齢が若い申請人だったため、職歴要件である「10年以上の実務経歴」の立証もできなかった。
<リガレアスの対応>
大学の成績証明書などを取得してもらい、履修内容、履修期間、業務に関連する履修の割合といった情報から、業務に関連した学歴が数年あることを立証。
さらに職歴についても、海外でフリーランスで活動していたため、フリーランスとして在籍した会社すべてから資料を取り寄せ、業務内容、従事した期間などを細かく確認し、学歴と職歴を合わせて10年以上あることを立証。
<結果>
無事に許可を取得
②入社直前に雇用会社が変更になったケース
- 業種:情報通信業
- 外国人社員数:ほぼ初めての採用(当時1名のみ在籍)、日本人含めた社員数50名以下
- 申請在留資格:技術・人文知識・国際業務
<状況>
新卒採用で海外の学生の入社が決定。入管へ在留資格の交付申請後、入社直前のタイミングになり、会社の都合で雇用会社が子会社へと変更になった。
<リガレアスの対応>
入管に申請を取り下げる手続きを取り、再度新しい会社の情報に基づいて申請をやり直し。入社日が迫っていたため、入管とも交渉をし、事情を説明する早期処理願書も提出。
<結果>
早期に許可が下り、入社日に間に合った
③起業したばかりの会社で海外から初の外国人採用をしたケース
- 業種:学術研究、専門・技術サービス業
- 外国人社員数(日本人社員含め):0人
- 在留資格:技術・人文知識・国際業務
<状況>
新設会社であり、かつ担当者も初めての外国人採用で経験がまったくない状況。慎重な書類作成が必要であり、審査にも時間がかかることが予想された。
<リガレアスの対応>
まずは採用する外国人の業務内容、バックグラウンドなどを確認したうえで、技術・人文知識・国際業務の要件を満たすことを確認。また、「この人でなければならない」という雇用の必要性を説明した書類を作成して入管へ提出。
会社に対しては事業計画のヒアリングとアドバイスを行い、外国人を採用して、かつ事業を継続して外国人に給与を払い続けられるという確認を取った。
<結果>
追加書類を求められることもなく、1ヶ月弱の審査で許可を取得
上記のように、通常ではビザ取得が難しいと思われる案件でも、弊社では丁寧なヒアリングと長年の経験に基づいたビザの知見を活かし、最大限のサポートが可能です。
行政書士への依頼に興味があるものの、実態がよくわからないという方は、ぜひ以下の記事も併せて参考にしてください。
海外在住の外国人採用のビザ対応はリガレアスにお任せください
海外から外国人を採用した場合のビザ手続きを解説しましたが、適切な在留資格を見極め、ビザを取得できるように書類を作成していくことは、忙しい人事担当者にとっては負担に感じることもあるかと思います。
リガレアスでは、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に限らず、就労ビザ取得の実績が豊富にあります。依頼いただいている企業様も、上場企業からベンチャー企業、関東・関西とさまざまです。
許可を得るための申請書類の作成やアドバイスだけでなく、入社までのスケジュール管理や入管との交渉、入社後の在籍管理のコンサルテーションなども対応していますので、海外在住の外国人を採用したら、まずはお気軽にご相談ください。
日本ビザ専門のリガレアス行政書士事務所にお任せ
・ビザ許可率98.7%*
・ビザ申請業務にかかる時間をおよそ90%削減*
*当社調べ
記事を書いた人

- 谷川蘭
学生時代はロシア語を専攻し、モスクワのプーシキン記念国立ロシア語大学に留学。IT系ベンチャー企業でマーケティングに従事したのち、お客様と直接向き合い社会に貢献したいという思いから、リガレアスへ入社。ビザについて困り事を抱える方が安心して頼れる身近な相談役を目指し、親身かつスピーディな対応を日々心掛ける。TOEIC910、英検準1級所持。
学生時代はロシア語を専攻し、モスクワのプーシキン記念国立ロシア語大学に留学。IT系ベンチャー企業でマーケティングに従事したのち、お客様と直接向き合い社会に貢献したいという思いから、リガレアスへ入社。ビザについて困り事を抱える方が安心して頼れる身近な相談役を目指し、親身かつスピーディな対応を日々心掛ける。TOEIC910、英検準1級所持。















