リガレアス行政書士事務所の広瀬です。

就労ビザを取得するときには、入管で在留資格認定証明書交付申請や在留資格変更許可申請などを行いますが、在留資格に応じて取得要件がありますので、要件に合わなければ申請は不許可となります。

実際にどの程度不許可件数があるのかを見てみましょう。

下の表は2020年の申請件数と不許可件数になります。

 

申請件数不許可件数
在留資格認定証明書交付申請464,27143,139
在留資格変更許可申請448,7375,419
在留期間更新許可申請941,8191,999

(参考:出入国在留管理庁「出入国管理統計」)

在留資格の内訳は公表されていませんので、就労ビザの不許可件数としては上記より少ないと思いますが、在留資格認定証明書交付申請では、申請件数の約1割が不許可になっているので、企業の方にとっても決して無関係ではないと感じます。

実際にご相談に来られるケースも、これまで自社で対応していて問題はなかったが、不許可になったので助けて欲しいというご相談も多いです。

そこで本記事では、就労ビザ申請が不許可になった際の適切な対応方法や再申請の手続き等について解説します。

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就労ビザで不許可になる理由は?

就労ビザ申請が不許可になる理由は様々ですが、ここでは不許可理由を3つに分類して解説していきます。

在留資格取得要件の不適合

在留資格によって要件は異なりますが、多くの就労ビザでは雇用先での職務内容や報酬額、これまでの学歴・職歴などが要件とされています。入管が求めている必要書類を全て提出したとしても、就労ビザの要件を満たしていなければ許可は受けられません。

専門家でない限り要件を正確に把握することは難しいため、これまで自社で対応していて問題がなかったとしても、要件を満たしていないことに気づかずに申請が不許可になることもあります。

要件を満たさない例として多く見られるのが、日本の専門学校を卒業した留学生を採用する際に、専門学校での専攻内容と職務内容の関連性がないケースです。入管では専攻内容と職務内容の関連性は非常に厳しく審査しているため、この点で不許可を受ける事例をよく目にします。

他には、同じ業務に従事する日本人より報酬額が低い場合や就労ビザで認められていない単純作業に従事させる場合など、就労ビザの要件を満たしていないことで不許可を受ける事例もあります。

申請書類の不備

就労ビザ取得の要件は満たしていても、申請書類の記載方法が不十分なため、入管で要件を満たしていないと判断されてしまうことがあります。

例えば、雇用先の会社で行う職務内容は、工場内での「生産管理」や「製品管理」といった専門的で就労ビザに該当するものであっても、申請書類で「工場内での業務・PC入力」といった単純作業と思われる記載をしてしまい不許可を受けてしまうケースです。このように、ちょっとした記載方法の違いで不許可を受けてしまうことも少なくありません。

他には、申請書類の情報が以前のビザ申請の情報と異なる場合に、虚偽申請と疑われて不許可を受けてしまうケースがあります。これは入管ではビザ申請の記録を保管しており、審査の際に以前の記録と照合するためです。

また極端な例ではありますが、嘘の情報を記載したり、偽造文書などを提出したりした場合にも、不許可を受けます。

在留状況不良

入管法では、所持している在留資格の活動を3ヶ月以上(「高度専門職」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」は6ヶ月以上)行っていない場合には、在留資格の取り消しの対象になります。

例えば、就労ビザを持っている外国人が、会社を退職してから3ヶ月以上無職の状態が続いていると在留資格取り消しに該当し、その後に就職が決まったとしても、就労ビザの更新をする際に更新が認められないケースがあります。

日本での法令違反がある場合も、就労ビザが不許可になる原因の一つです。法令違反による罰金刑や懲役刑などに処されている場合だけでなく、資格外活動違反であっても法令違反に当たります。(留学生が週28時間以上アルバイトを行っていて、卒業後に就労ビザへ変更する際に不許可を受けるケース等)

 

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もし不許可になった場合はどうする?

申請が不許可になってしまった時は、その不許可理由を明らかにする必要があります。再申請を検討する際に、不許可理由を解消できるかどうかという点がポイントになるためです。

不許可になった際、在留資格認定証明書交付申請であれば、不交付通知書が届き、不交付理由が簡単に書かれています。一方、在留資格変更許可申請や在留期間更新許可申請であれば、入管への来庁を要請する通知書が届きます。

これらの通知には不許可理由の十分な説明はなく、詳しい理由を確認するためには入管で直接審査官から聞かなければなりません。その際には、必ず企業の担当者の方が理由を入管へ聞きにいきましょう。

仕事の都合が合わないという理由で入管に聞きに行かないことや、申請人である外国人1人だけで入管に行かせることも多いようですが、専門用語も多く、外国人にとって必要な情報を全て聞き取ってくることは困難だと思います。

また、不許可理由の説明は一度しかありませんので、企業の担当者の方が入管に行き、不許可理由を明らかにするのが最善です。なお、入管での不許可説明では明確な理由が開示されないこともあるので、説明された理由の中でどこを修正すれば再申請が可能になるかを分析することも求められます。

不許可理由の説明の際に、審査官に対して不許可理由の弁解をし、許可を懇願する外国人の方も見受けられますが、結果は覆ることはありませんので、冷静に不許可理由を聞き取るようにしましょう。

また、不許可を受ける際に、不許可の結果に対して取消訴訟ができることを案内した書面も手渡されます。書面からは簡単に取消訴訟ができるように感じてしまいますので、ご相談者の中には訴訟を起こしたいという方もいらっしゃいますがお勧めしません。国を相手にした訴訟になりますので、時間や費用、労力を考えると、再申請をする方が現実的です。

再申請の可能性

前述したように、不許可理由によって再申請ができるかどうかが決まります。言い換えれば、不許可理由を解消できれば再申請は可能ですし、解消できなければ何度申請しても許可は受けられません。

例えば、学歴や職歴といった就労ビザ取得要件を満たさず不許可を受けた場合には、要件を満たすために数年かかることもありますので、直ぐの再申請は難しいです。

他方で、専門学校での専攻内容と職務内容の関連性がなく不許可を受けたケースであれば、企業での職務内容を見直し、専攻と関連性がある業務に従事させることを立証できれば、再申請をして許可を受けられる可能性もあります。

また、在留状況不良が理由で不許可を受けると、その事実を変えることができないため、不許可理由を解消することができません。しかしケースによっては、一度日本を出国して在留資格認定証明書から申請をすれば許可を受けることもありますので、ケースバイケースで対応を変える必要があります。

ここで例示したものであっても、必ず許可を受けられるものではなく、不許可理由を分析した上で、再申請の可能性を慎重に判断しなければなりません。

再申請で許可を受けた事例

ここで、当事務所で再申請を行い、許可を受けた事例をご紹介したいと思います。

日本の企業に入社予定であった留学生の方が、ご自身で「技術・人文知識・国際業務」を申請したところ、職務内容が単純作業と判断され不許可を受けたケースです。

不許可を受けた後に当事務所へご相談いただき、入管に提出した申請書類や不許可理由から、提出した書類の記載内容に不備があり、職務内容が単純作業であると入管に誤解され不許可を受けたと判断しました。

そこで、本来の職務内容が「技術・人文知識・国際業務」に該当することを立証するため、雇用契約書の職務内容を修正し、入社後に使用するソフトウェアや同じ業務を行なっている日本人の職務内容を説明するなど、職務に関連する具体的な資料を準備しました。

さらに、その業務を行う能力があることを立証するため、申請人の学歴や職歴、資格に関する書類を準備し、前回の申請時に誤解を受ける記載をしたことについての説明なども行った上で再申請をし、無事に許可を受けることができた事例です。

このケースでは、申請人の方が日本語がかなりできたことと、申請書類を全て保管していたため、比較的容易に不許可理由の分析ができました。また、企業も協力的で職務に関する客観的な資料を十分に準備していただくことができたため、スムーズに許可を受けることができたと思います。

このように、再申請においては不許可理由の確認と分析、十分な立証資料の準備が重要です。

再申請の手続き方法

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書類準備

再申請することが決定したら、申請書類準備から始めます。

再申請においては、不許可理由を解消できるかが重要であると同時に、立証すべきポイントがどこにあるかを見極めることも大切です。立証すべきポイントに対して、客観的、論理的に立証できるよう、慎重に資料の準備を進めてください。主観的な説明書だけで再申請してしまうこともあるようですが、説明書の内容を裏付ける客観的な資料を必ず添付しましょう。

また、通常の申請で必要な申請書なども改めて準備が必要になりますので、忘れずに準備をしてください。

出入国在留管理局で申請

一度不許可を受けていたとしても特別なことはなく、通常通りに入管で申請を行います。

申請前には、提出書類の控えを全て残しておくことをお勧めします。これは、審査中に入管から質問などがあった際に、適切に回答ができるようにするためです。

審査

不許可を受けたケースの再申請では、慎重に審査が進められるため、通常よりも審査に時間がかかり、場合によっては2、3ヶ月からそれ以上かかることがあります。

審査中に、追加の資料提出や説明を求められることも少なくありません。資料を要求されたときには、速やかに準備して提出しましょう。すでに提出している資料と矛盾がないようにすることも重要です。

結果

無事に許可を受けることができれば、日本で就労することができます。

もしここでも不許可を受けてしまうようであれば、入管で不許可理由の聞き取りを行い、これまでの手順を繰り返すことになります。

ただし、しっかりと準備をしても不許可であった場合には、それ以降に再申請を行ったとしても許可を受ける可能性は非常に低いと考えられます。

まとめ

ここまで、就労ビザが不許可になってしまった時の対応方法や手続きについて解説してきました。

再申請においては不許可理由の確認と立証資料が重要であることがお分かりいただけたかと思います。

不許可後の再申請は専門家である行政書士であっても簡単ではなく、入管法と照らし合わせながら不許可理由をしっかりと読み解き、論理的、客観的な立証資料を準備して申請を行うことが大切です。

不許可後の再申請は、非常に難しい申請になることが多いので、専門家への相談もお勧め致します。

当事務所では、不許可理由の分析を行った上で再申請の可能性を判断し、立証資料のアドバイスや作成から再申請まで行っております。不許可を受けてしまい、困っていらっしゃる場合には、是非ご相談ください。

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