リガレアス行政書士事務所の広瀬です。

IT業界は人材不足と言われており、2030年には最大で79万人不足すると経産省が発表しています。今後ますますエンジニアの需要が高まるなか、外国人エンジニアの採用を検討している企業は多いのではないでしょうか。

そこで今回は、外国人エンジニアを雇用する時に必要なビザ手続きについて解説していきます。本記事を読んでいただければ、外国人エンジニアを雇用する時に必要なビザ手続きがお分かりいただけ、雇用のハードルが低くなっているはずです。

 

外国人エンジニアが日本で働くときの在留資格

外国人がエンジニアとして日本で働くときには、下記いずれかの在留資格を取得する必要があります。

  • 「技術・人文知識・国際業務」
  • 「高度専門職1号ロ」 / 「高度専門職2号」
  • 「永住者」 / 「永住者の配偶者」 / 「日本人の配偶者」 / 「定住者」

「技術・人文知識・国際業務」は、人事や経理などのオフィスワーク、エンジニアや語学教師など幅広い職種をカバーする在留資格で、日本で働く外国人の多くが持つ就労資格です。「技術・人文知識・国際業務」の要件などの詳細は後述します。

「高度専門職1号ロ」、「高度専門職2号」は、高度な知識や能力を持つ外国人を受け入れるための在留資格です。学歴・職歴・年齢などの項目ごとにポイントが設けられ、ポイントが70点以上ある外国人に与えられます。

この在留資格の特徴は、ポイントによって在留資格が与えられるという点とこの在留資格を取得するとさまざまな優遇措置が受けられるという点です。

すでに「高度専門職1号」を持つ外国人を雇用する場合は、「高度専門職1号」から「高度専門職1号」へ在留資格変更許可申請が必要ですので注意してください。

「高度専門職」については、こちらの記事で詳しく説明しています。

「永住者」、「永住者の配偶者」、「日本人の配偶者等」、「定住者」は、外国人の身分関係に基づいて与えられる在留資格です。これらの在留資格は就労の制限がありません。つまり、働く企業や業種、職務内容や就労時間などの制限がなく、自由に働くことができます。

「永住者」と「日本人の配偶者等」については、下記の記事で詳しく解説しています。

在留資格「技術・人文知識・国際業務」に該当する仕事

「技術・人文知識・国際業務」は、外国人エンジニアを雇用する際の一般的な在留資格です。しかし、この在留資格で就労できる仕事はこれだけではありません。

この在留資格で就労が可能な職種は、名称が示すように「技術」「人文知識」「国際業務」の3つに分けられます。それぞれ該当する職種を見ていきましょう。

「技術」分野でできる職種

入管法では、自然科学分野(理学、工学、農学、医学など)に属する技術または知識を要する業務と規定されていて、具体的には以下のような職種が該当します。

  • システムエンジニア
  • ゲームエンジニア
  • プログラマー
  • プロジェクトマネージャー
  • 建築設計
  • 研究開発

「人文知識」分野でできる職種

入管法では、人文科学分野(法律学、経済学、文学、歴史学、心理学、経営学など)に属する技術または知識を要する業務と規定され、具体的には以下のような職種が該当します。

  • 営業
  • 会計/経理
  • 総務/人事
  • 法務
  • 広報
  • 貿易
  • コンサルタント

「国際業務」分野でできる職種

入管法では、外国の文化に基盤を有する思考または感受性を必要とする業務と規定され、具体的には以下のような職種が該当します。

  • 通訳/翻訳
  • 語学教師
  • インテリアデザイナー
  • ファッションデザイナー
  • 海外取引業務

「技術・人文知識・国際業務」の要件・申請方法

まずは「技術・人文知識・国際業務」を申請する際の取得要件を見ていきましょう。要件は下記の図表のように5つあります。

 

取得要件
1日本企業との契約
2学歴または実務経験要件
3業務内容との関連性
4日本人と同等額以上の報酬
5日本での在留状況

日本企業との契約

日本企業と外国人との間に契約が結ばれていることが必要です。雇用契約に限りませんが、委任、委託、嘱託など継続的な契約でなければなりません。

労働契約の締結にあたっては、賃金や労働時間などの条件を明示する必要があります。在留資格の申請時には雇用契約を締結していないことが多いため、入管には労働条件通知書を提出することになりますので、労働条件通知書で条件を明示しておきましょう。

その際、日本の労働法が適用されるため、最低賃金を下回ることなどないように注意してください。

学歴または実務経験要件

外国人エンジニアが大学卒業以上、つまり「学士」かそれと同等以上の学歴を有していなければなりません。大学院を卒業して「修士」や「博士」を持っている方は当然ですが、短期大学を卒業して「準学士」や「短期大学士」を持っている方も「学士」相当とみなされます。

海外の大学を卒業している場合も同様の扱いですが、国によって教育制度が違いますので、注意が必要です。例えば中国の場合、大学を卒業して卒業証書を持っていても学位証書を持っていなければ、大学卒業以上にならず学歴要件を満たしません。

また、日本の専門学校を卒業し「専門士」または「高度専門士」を取得している方も該当します。専門学校の課程によっては、卒業しても「専門士」や「高度専門士」が与えられない場合があり、「専門士」「高度専門士」を持っていなければ学歴要件を満たしませんので注意が必要です。

このことを知らずに専門学校卒業の外国人を採用してしまい、「技術・人文知識・国際業務」を取得できずにご相談を受けることも少なくありません。

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学歴要件を満たしていない場合でも、10年以上の実務経験があれば「技術・人文知識・国際業務」を申請することが可能です。この年数には大学、専門学校、高校などでエンジニアに関する技術や知識を学んだ期間も含まれます。大学を卒業していなくても若い時から働き、技術のある外国人の方であれば、要件を満たすこともあるでしょう。

申請の時には職歴を証明する在職証明書などを立証資料として提出しなければなりません。そのため、転職を繰り返しているような方ですと証明書を取得することが難しいこともありますので、学歴要件より申請のハードルが上がるケースがあります。

さらに学歴要件も実務要件も満たしていない場合であっても、エンジニアの方であれば情報処理に関する資格を持っていることで「技術・人文知識・国際業務」を申請することが可能です。

日本の資格だけでなく、中国、韓国、台湾、タイなどの資格も対象となっています。出入国在留管理局のホームページに対象の資格一覧がありますのでご覧ください。

参考:出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令の技術・人文知識・国際業務の在留資格に係る基準の特例を定める件

業務内容との関連性

企業で従事しようとする業務と大学や専門学校で学んだ専攻科目が関連している必要があります。ただ、専攻科目と業務が一致していることまでは求められていません。

特に大学を卒業している場合は、専攻科目と業務の関連性は柔軟に判断されます。特段の事情がない限りは、大学を卒業していることをもって業務内容との関連性があるとみなされるので、工学系の専攻でない場合でもエンジニアとして「技術・人文知識・国際業務」を取得することが可能です。

他方、専門学校を卒業している場合は、専攻科目と業務内容に相当程度の関連性が求められます。そのため、専門学校を卒業しているエンジニアを雇用する場合には、「専門士」、「高度専門士」の有無だけでなく、専攻科目も必ず確認しましょう。

ただし、直接専攻したと認められない場合でも、履修科目全体から従事する業務に関する知識を習得したと認められる場合は、「技術・人文知識・国際業務」の申請が可能です。判断がつかなければ、行政書士などの専門家に相談することもお勧めします。

日本人と同等額以上の報酬

雇用しようとしている外国人エンジニアと同じ業務を行う日本人社員が得ている報酬と同等かそれ以上の報酬を支払わなければなりません。

例えば、自社の日本人新卒エンジニアの報酬が18万円であるにもかかわらず、大卒の外国人エンジニアの報酬を15万円とすることは、日本人と同等額以上と認められないため不許可になります。

日本での在留状況

日本に在留している方を雇用する場合には、それまでの日本での在留状況も考慮されます。

例えば、留学生が資格外活動許可の範囲を超え、恒常的に週28時間以上アルバイトをしていた場合や、入管法で定められている住居地の届出、所属機関の届出などを行っていない場合は、審査の際に消極的な要素として判断されます。

留学生を新卒採用するような際には、それまでの日本在留状況の確認も必要です。

申請方法

ここまで説明してきた要件を満たしていれば、下記の必要書類を揃えて入管で申請を行います。

 

必要書類
カテゴリー1・2カテゴリー3・4
カテゴリーを証する資料
申請書
パスポート
労働条件通知書
履歴書
卒業証明書/在職証明書/資格証明書
登記事項証明書
事業内容を明らかにする資料
決算文書

 

必要書類は、企業の規模によって分類される「カテゴリー」によって異なります。カテゴリー1や2の企業であれば提出書類が簡素化されますが、3や4であれば提出書類が増えます。前述の取得要件を満たしていることを証する労働条件通知書や卒業証明書などが必要です。

なお、カテゴリーについてはこちらの記事で解説していますのでご参照ください。

入管では標準処理期間(審査期間)として、在留資格認定証明書交付申請では1ヶ月から3ヶ月、在留資格変更許可申請では2週間から1ヶ月と公表しています。

必要書類の準備に2、3週間程度かかることが多いので、入社までのリードタイムを考慮して早めに準備を進めるのが良いでしょう。

外国人エンジニアの需要が高まる背景

前述したように、IT業界は最大で79万人不足すると言われています。

経産省のレポートでは、IT人材を「先端IT人材」と「従来型IT人材」に分類し、AIやビッグデータ、IoTなどの先端IT技術を担う高度なIT人材を「先端IT人材」と捉えています。「従来型IT人材」は今後需要が減っていく一方、「先端IT人材」は急速に需要が増えていくと見込んでいるようです。

参考:IT 人材需給に関する調査

今後需要が増えていく高度なIT人材を、少子化の進む日本国内だけで確保していくのは困難で、優秀な人材を海外に求めるのは必然ではないでしょうか。

さらに、今後海外進出を計画している企業にとって、語学力があり現地をよく知る外国人を雇用することはアドバンテージにもなり得ます。

このような背景から、今後外国人エンジニアの雇用は進んでいくと思われますので、今から準備を始めるのも良いでしょう。

こちらの記事では、外国人を採用するメリットについて解説しています。

さいごに

ここまで外国人エンジニアを雇用する際に必要なビザ手続きについて解説してきました。外国人エンジニアを雇用する際のビザの種類や取得要件など理解できたと思います。

これから雇用を検討している企業の方にとっては「技術・人文知識・国際業務」の在留資格について網羅的に把握できたはずですし、今まで外国人エンジニアを雇用してきた企業の方にとっても再確認できる内容になっていたはずです。

今後、外国人エンジニアの需要が増え、それに伴い雇用時のビザ手続きも増えてくると見込まれます。そうなりますとビザ取得の複雑な要件確認や書類作成といった企業の担当者の業務量が増えることが予想されます。

リガレアス行政書士事務所では、そのような企業の課題を解決し、外国人エンジニアをスムーズに雇用できるようサポートしております。外国人エンジニアの雇用を検討されていましたらお気軽にリガレアス行政書士事務所にご相談ください。

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