リガレアス行政書士事務所の広瀬です。

近年、永住許可申請のガイドラインが緩和され、より申請のハードルが下がったように感じます。来日後、最短1年の申請も可能となり、当事務所への永住権に関する問い合わせも以前と比較すると増えました。

実際に日本に在留する「永住者」は多く、2020年末における在留外国人288万7,116人のうち、「永住者」は807,517人でした。

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(参考:法務省「令和2年末現在における在留外国人数について」)

在留資格別に見ても最も多いのが「永住者」で、全体の28.0%になります。

このように外国人の方の関心も高い永住許可申請について、永住権取得のメリットや要件、申請方法、永住許可申請の事例も含め、網羅的に解説します。

 

永住許可申請とは?

一般的に永住権と呼ばれていますが、正確には「永住者」という在留資格になります。

申請の条件は後述しますが、永住許可申請は日本に一定期間、適切な在留資格を持って在留していた外国人の方が申請できるものです。そのため、日本に入国する時に「永住者」を申請することはできません。

永住許可申請で不許可を受けてしまったとしても、所持している在留資格を失ったり、更新申請の際に不利になることもありませんので、安心してください。

永住権を取得するメリット

在留期限が無期限

他の在留資格は、在留期限が近づく度に入管での更新申請が求められますが、永住権を取得すれば、在留期間が無期限になり、オーバーステイの心配や期間更新申請が不要になります。

在留期限が無期限になる在留資格は、「高度専門職2号」を除けば「永住者」だけですので、永住権取得のメリットは大きいです。

活動の制限がない

日本に在留している外国人は、原則として与えられた在留資格で認められた活動しかできません。

例えば、「技術・人文知識・国際業務」を持っている方が大学教授になることはできないですし、「留学」を持っている方が日本で会社を起業することはできないというように、在留資格に応じて活動内容に制限があります。

在留資格に応じた活動内容についてはこちらの記事もお読みください。

しかし「永住者」であれば日本での活動の制限がなくなりますので、働いている会社を辞めて無職になったり、配偶者と離婚したりしても在留資格上問題はないです。

また、工場などでの軽作業などに従事することや、現在の在留資格では認められていないような美容師といった職種に従事することもできます。

住宅ローンが組みやすい

これまでお客様から伺った永住申請の理由の中で、比較的多いのがこの理由です。

家族と一緒に日本に長く住んでいる方であれば、日本で家を購入したいと考えるのは不思議なことではありません。住宅を購入する場合は住宅ローンを組むのが一般的だと思います。

日本人の配偶者がいる方は、日本人が連帯保証人になることで住宅ローンが組めることがありますが、数十年と長期にわたって返済する住宅ローンは、返済前に帰国をしてしまうなど様々なリスクが考えられるため、外国人では住宅ローンが組めないことが多いです。

一方で永住権を取得すれば、日本人と同様の審査で住宅ローンを組むことができるため、住宅を購入したいと検討している方にとっては、永住権取得のメリットは大きいと言えます。

永住権取得後も変わらないこと

永住権を取得しても、日本において外国人という扱いは変わりません。そのため、日本を出入国する際には、再入国許可(みなし再入国含む)で出入国することが必要です。

永住権を持っていて在留期限が無期限だとしても、海外へ出国して再入国許可の期限内に日本に再入国できなかった場合には、永住権を失うことになってしまいます。

また、外国人という扱いが変わらないことから、退去強制になる可能性も残されています。犯罪を犯し1年以上の懲役刑を受けたり、薬物違反により有罪判決を受けたりすると、日本を強制的に出国しなければならず、永住権を失います。

前述したように、永住権を取得すると期間更新や就労制限がなくなるなど、他の在留資格より制限は少ないです。そのためか、「永住者」になれば本国から親を呼び寄せることができると勘違いされている方がいらっしゃいます。

しかし、この点において、永住権を取得したとしても他の在留資格と変わらず親を呼び寄せることはできませんので気をつけましょう。

永住権と帰化との違い

この記事を読まれている方の中には、永住権と帰化のどちらで申請をするか迷っていらっしゃる方もいるのではないでしょうか。ここで永住権と帰化の違いを説明したいと思います。

 

永住権帰化
国籍本国籍日本国籍
パスポート本国パスポート日本パスポート
再入国許可(みなし再入国含む)必要不要
就労制限なしなし
在留期限なしなし
退去強制適用あり適用なし
参政権なしあり
住民登録必要必要

上の表を見ていただくとわかるように、永住権と帰化の大きな違いは、外国籍のままか日本国籍になるかです。

帰化をすると日本人になりますので、日本在留に関する制限は一切なくなり、参政権など日本人のみに与えられる権利も得ることができますが、本国の国籍を失うというデメリットがあります。

一方で永住権は就労制限や在留期限はなくなりますが、再入国や退去強制の適用を受けるといった外国人としての制限は残ります。

永住権も帰化も同じようなものと考えている方もいるかもしれませんが、大きな違いがありますので、どちらで申請するか迷っている方は慎重に検討してから決めていただくのが良いでしょう。

なお、帰化について詳しく知りたい方は、帰化に関する記事もご覧ください。

永住権を取得するための要件

  1. 素行善良要件
  2. 独立生計要件
  3. 国益要件

永住権を取得するための条件は、上記の3つが挙げられます。

一つずつ解説していきましょう。

素行善良要件

日本の法令に違反して懲役や禁固刑または罰金を受けたことがないことが条件です。懲役や禁固刑または罰金を受けたことがあったとしても、懲役や禁固刑の執行を終えて10年を経過、または罰金を支払い終えて5年経過していれば、素行善良要件をクリアしていることになります。

このように法令違反により刑を受けたことがあったとしても、一定期間が経過すれば要件を満たすことになりますので、申請を諦めずに時間を空けてから永住許可申請をしましょう。

懲役や禁固刑または罰金を受けたことがなかったとしても、軽微な違反を繰り返し行っている場合には、申請が許可されないことがあります。例えば、「家族滞在」の在留資格でアルバイトを週28時間以上行っていたケースや交通違反を繰り返し行っていたようなケースです。

このような場合も、最後に違反をしてから数年空けて永住許可申請をするのが望ましいでしょう。

独立生計要件

入管では「日常生活において公共の負担となっておらず、かつ、その者の職業又はその者の有する資産等から見て将来において安定した生活が見込まれること」と規定しています。ここで言う「公共の負担」とは、生活保護を受給することを指し、生活保護を受給している場合には、永住許可は受けられません。

また、現在及び将来において「自活」することが求められ、日本で仕事をして収入を得ていることが必要です。

基準となる収入金額は公表されておりませんが、過去5年間において毎年300万円以上の年収を得ていることが目安とされています。扶養家族がいる場合には、一人に対して80万円程度の年収の上乗せが求められますので、配偶者と子供を扶養している場合には、以下のような計算になります。

 

300万円 + 80万円 X 2人 = 460万円/年

 

ご相談に来られる方の中にも、年収額を気にされる方は多いですが、必ずしも申請人一人でこの要件を満たさなければいけないわけではありません。申請人と配偶者が共働きの場合、申請人の年収が260万円、配偶者の年収が200万円、合計460万円であれば、この要件を満たすと判断されます。

しかし配偶者が「家族滞在」で、アルバイトにより収入を得ている場合には、本来就労が認められない在留資格のため、安定した収入とみなされず、合算が認められないことがあります。この場合には、申請人単独での収入で要件を満たさなければいけません。

国益要件

  • 引き続き10年以上日本に居住していること
  • 最長の在留期間を持っていること
  • 公的義務を履行していること
  • 罰金刑や懲役刑を受けていないこと
  • 公衆衛生上、有害となるおそれがないこと

国益要件とは、具体的に上記の要件を指します。

それぞれ解説をしていきましょう。

引き続き10年以上日本に居住していること

日本に引き続き10年以上住んでいることが求められます。ここでのポイントは、「引き続き」という言葉です。

日本に10年以上住んでいたが、会社の命令で2、3年海外出向した後に、日本に帰国してすぐ永住許可申請ができるかというご相談を受けることがよくあります。海外出航の期間も在留資格を切らさずに持っていれば要件を満たしているように見えますが、答えはノーです。

海外出向のように長期で日本を離れてしまうと、「引き続き」日本に住んでいたとみなされないため、この要件を満たさないことになります。

【要件を満たさない例①】

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この場合、日本に帰国してから数年経過した後でないと、永住許可申請ができないことがありますので、長期で海外へ出国する場合には注意しましょう。

もう一つのポイントは、在留10年以上のうち、直近5年間は就労資格(「経営・管理」や「技術・人文知識・国際業務」など)又は居住資格(「日本人の配偶者等」や「定住者」など)で在留していることです。

つまり、10年以上日本に在留していたとしても、直近5年間のうち「留学」や「技能実習」などを持って在留している場合は、要件を満たさないことになります。

【要件を満たさない例②】

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この場合は、就労資格または居住資格を持って5年経過するまで待ちましょう。

最長の在留期間を持っていること

保有している在留資格における最長の在留期間を持っていることが必要です。ほとんどの在留資格で最長の在留期間は「5年」となりますので、5年の在留期間を持っていなければなりません。

なお、本記事執筆時点では3年の在留期間であっても、最長の在留期間を持っているものとして取り扱われることになっているので要件を満たすことになります。

公的義務を履行していること

住民税や所得税といった税金を納税していること、公的年金及び公的医療保険の保険料を納付していること、さらに入管法上の届出の義務を履行していることが求められます。

この点もご相談がとても多く、納税や保険料の納付をしておらず、提出する証明書の年度分だけ申請直前に追納すれば良いと考えている方は非常に多いです。納期までに納付をすることが大前提ですので、滞納分を追納をしたからといって要件を満たすと考えられる訳ではなく、不許可を受ける可能性はあります。永住許可申請を検討している場合は、未納や滞納なく納付するするようにしましょう。

入管法上の届出には、引越しの際に市区町村へ届け出る住居地の届出や、転職時や離婚・死別の際に入管に届け出る所属機関の届出があります。特に所属機関の届出は、外国人の方にあまり周知されていない傾向があり、転職をしても届出を提出していない方が多い印象です。永住許可申請の要件の一つになりますので、転職をした時などは必ず届出を提出するようにしてください。

なお、所属機関の届出は、更新申請の際にも確認されます。所属機関の届出をしていない場合、在留期間が短くなることもあり、更新申請をして在留期間が「3年」から「1年」になると、前述のように永住許可申請の要件が満たされません。この点においても必要な義務を履行することは大切です。

罰金刑や懲役刑を受けていないこと

前述の素行善良要件でも審査される点ですが、国益要件でも審査の対象になります。内容は素行善良要件と同様ですので、そちらの項目をご確認ください。

公衆衛生上、有害となるおそれがないこと

感染症などに感染していないことや、薬物等の中毒者でないことが必要です。

要件の緩和

ここまで永住権の要件を説明しましたが、申請人の状況によって要件が緩和されるケースがあります。

申請人が日本人、永住者または特別永住者の配偶者及び子供(実子、普通養子、特別養子含む)である場合には、素行善良要件と独立生計要件を満たす必要がありません。つまり、国益要件のみ満たすことができれば、永住権取得の要件を満たすことになります。

また、難民認定を受けている方の場合は、独立生計要件が緩和され、素行善良要件と国益要件の二つを満たすことで永住許可申請が可能です。

10年在留に関する特例

国益要件で、引き続き日本に10年以上住み、5年以上就労または居住資格を持っていることが必要であると説明しましたが、以下に該当する方であれば、この要件が緩和されます。

  • 日本人、永住者または特別永住者の配偶者
  • 日本人、永住者または特別永住者の実子または特別養子
  • 「定住者」の在留資格保有者及び難民認定者
  • 「高度専門職」で70点以上保有者
  • 「高度専門職」で80点以上保有者

日本人、永住者または特別永住者の配偶者

実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、さらに引き続き1年以上日本に在留していれば、最短1年間の在留で申請することができます。

3年以上の婚姻生活を日本で送っている必要はありません。つまり、2年以上の婚姻生活を海外で過ごし、日本入国後も婚姻生活を続け1年以上住んでいれば良いです。

文章ですと少しわかりにくいと思いますので、図にして見てみましょう。

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なお、実体を伴った婚姻生活のため、別居などをしている場合は該当しませんので注意が必要です。

在留資格までは問われないため「技術・人文知識・国際業務」など、「日本人の配偶者等」ではない在留資格であっても構いません。

日本人、永住者または特別永住者の実子または特別養子

日本に継続して1年以上住んでいれば、最短1年で永住許可申請が可能です。①同様に、在留資格は問われません。

前述の素行善良要件と独立生計要件の緩和とは違い、普通養子は含まれませんので、永住者の子供であっても普通養子の場合は10年以上在留しなければ国益要件を満たさないことになります。

「定住者」の在留資格保有者及び難民認定者

「定住者」の在留資格を受けてから、または難民認定を受けてから引き続き5年以上日本に在留していれば、緩和措置を受けることができます。

それぞれ、「定住者」または難民認定を「受けてから」5年ですので、それまでの在留期間は含まれません。

「高度専門職」で70点以上保有者

以下のいずれかに該当する場合は、最短3年で永住許可申請が可能になります。

(a) 高度専門職ポイント計算をして70点以上を持っている者として「高度専門職」の在留資格で3年以上日本に継続して在留し、永住許可申請の時点で70点以上を持っている場合

(b) 3年以上日本に継続して在留し、永住許可申請日から3年前を基準として高度専門職ポイント計算をして70点以上あり、永住許可申請の時点で70点以上を持っている場合

文章だと分かりにくいので、図でみてみましょう。

(a)

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「高度専門職」取得時にポイントが70点以上あり、そこから3年後の永住許可申請時にも70点以上あれば、日本での在留期間が3年で永住許可申請が可能になります。

(b)

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「高度専門職」以外の在留資格を持っていて、永住許可申請時点とそこから遡って3年前の時点で、それぞれ70点以上あると立証できれば、(a)同様に最短3年で永住許可申請ができます。

「高度専門職」で80点以上保有者

(a) 高度専門職ポイント計算をして80点以上を持っている者として「高度専門職」の在留資格で1年以上日本に継続して在留し、永住許可申請の時点で80点以上を持っている場合

(b) 1年以上日本に継続して在留し、永住許可申請日から1年前を基準として高度専門職ポイント計算をして80点以上あり、永住許可申請の時点で80点以上を持っている場合

考え方は70点以上の場合と同じで、ポイントが70点から80点、在留期間が3年から1年に変わっているだけです。

「高度専門職」のポイントによる緩和は、「日本版高度外国人材グリーンカード」とも呼ばれ、80点以上ある方に関しては最短1年で永住許可申請ができる制度となります。

実際に、「高度専門職」のポイントによる緩和を利用しての永住許可申請を希望するお問い合わせが最も多いです。ご相談に来られる方で、ご自身では該当しているとは思っていなくても、お話をお伺いすると永住許可申請要件を満たしていることもあります。

「高度専門職」の在留資格を持っていなくても該当する可能性があるため、永住権を考えている方は、高度専門職ポイント計算をしてみてはいかがでしょうか。

永住権の申請方法

必要書類

ここからは具体的な申請手続きについて解説していきます。まずは申請に必要な書類からみていきましょう。

申請人の在留資格や状況によって必要書類は異なりますが、共通する書類が多いです。ここでは、共通する書類だけでなく、申請人によって求められる可能性がある書類も併せて説明します。

  1. 申請書
  2. 顔写真
  3. パスポート
  4. 在留カード
  5. 住民票
  6. 身分関係を証明する資料
  7. 理由書
  8. 職業を立証する資料
  9. 所得及び納税を証明する資料
  10. 年金の納付を証明する資料
  11. 医療保険の納付を証明する資料
  12. 資産を証明する資料
  13. 身元保証人に関する資料
  14. 高度専門職ポイント疎明資料
  15. 了解書

1から4は説明不要だと思いますので、住民票から説明していきます。

住民票

住民票は住居地を管轄する市区町村から発行される書類です。申請人を含む家族全員が記載され、全ての項目が記載されていることが求められます。

ただし、入管では住民票にマイナンバーが記載されていると受け付けてもらえませんので、必ずマイナンバーは省略するようにしましょう。

身分関係を証明する資料

申請人が日本人の配偶者など、身分関係に基づいて永住許可申請をする方が提出しなければならない書類です。

例えば、日本人の配偶者や子供であれば戸籍謄本、永住者の配偶者であれば結婚証明書、永住者の子供であれば出生証明書が求められます。

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なお、「定住者」の方も、日系3世など日本人と関係がある方は戸籍謄本といったように、身分関係に合わせて上図の書類を準備する必要があります。

理由書

決まったフォーマットがなく、何を記載すれば良いのかわからないため、一番苦労する書類かもしれません。

記載すべき内容としては、これまでの経緯、現在の仕事や生活状況、永住申請する理由の三つを具体的に書くのが良いです。

これまでの経緯では、自分の学歴や職歴、日本に来た理由、日本でやってきたことを時系列にまとめて記載します。併せて、日本に10年以上在留し、就労資格を持って5年以上在留しているなど、国益要件を満たしていることを説明することも必要です。

現在の仕事や生活状況では、どの会社でどんな仕事をしているか、収入はいくら得ているかを記載し、また家族がいる場合には家族の状況も説明しましょう。さらに、納税状況や犯罪歴の有無なども記載して、公的義務を履行し、社会的に批判されることがないことを説明します。

永住申請する理由では、永住権を取得してまで日本に長く住みたい理由を記載します。永住許可申請をする方であれば、具体的な理由をお持ちのはずです。

「子供の頃から日本の文化が好きで、憧れだった企業に就職できた」

「日本は安全で、子供に日本の教育を受けさせたい」

「日本で家族ができ、家族の生活基盤が日本だから日本に住み続けたい」

など、さまざまな理由があると思いますので、具体的な理由を示し、論理的に説明しましょう。

このように、理由書ではこれまでの経緯や現在の状況を客観的に記載しつつ、永住権の要件を満たしていることを説明していくことが必要です。

職業を立証する資料

会社で働いている方であれば会社から発行してもらう在職証明書、自営業の方であれば確定申告書や営業許可証等の書類で、ご自身の職業を立証する資料の提出が求められます。

前述のように、独立生計要件がありますので、無職であると永住許可申請自体が難しいです。

ただし、「家族滞在」の方や日本人が扶養者である日本人の配偶者の方など、申請人が被扶養者である場合は、扶養者が働いていれば良いので、扶養者の在職証明書を提出できれば問題ありません。

所得及び納税を証明する資料

  • 住民税の課税証明書及び納税証明書
  • 源泉所得税及び復興特別所得税、申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税、相続税、贈与税に係る納税証明書(その3)

所得及び納税を証明する資料としては、上記の書類を提出することが求められます。

住民税の課税証明書及び納税証明書は、その年の1月1日に住んでいた住居地を管轄する市区町村で発行される書類です。通常は直近5年分が必要ですが、日本人の配偶者であれば直近3年分、高度専門職で80点以上の方は直近1年分など、申請人の状況に応じて変わりますので、自分が何年分必要となるのか事前に確認してください。

この書類では、収入金額と納税状況を確認され、独立生計要件と国益要件が審査されることになります。そのため納税証明書では、必ず住民税が完納されていることを確認しましょう。もし納期未到来で未納になっている場合は、その年度は1年分とみなされないため、さらに1年分遡って提出が必要です。

住民税が給与から天引き(特別徴収)されていない場合は、領収印が押された住民税納付書の提出が求められます。住民税が適正な時期に納付されているか確認されますので、税金の滞納がないようにしておきましょう。

源泉所得税及び復興特別所得税、申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税、相続税、贈与税に係る納税証明書(その3)は、住居地を管轄する税務署から発行される書類です。これら5税目全てにおいて未納がないことを証明します。

なお、証明日時点で未納がないことが証明できれば良いので、この書類に関して対象期間の指定は不要です。

年金の納付を証明する資料

  • ねんきん定期便またはねんきんネットの「各月の年金記録」
  • 国民年金保険料領収証書

直近2年分の提出が求められますが、高度専門職で80点以上の方と日本人、永住者、特別永住者の実子、特別養子の場合は、直近1年分のみの提出になります。

提出期間分で、厚生年金などの国民年金以外に加入していた場合は、ねんきん定期便またはねんきんネットの「各月の年金記録」の印刷画面の提出が必要です。

一方で、提出期間分のうち、国民年金に加入していた期間がある場合は、ねんきん定期便またはねんきんネットの「各月の年金記録」とともに、国民年金保険料領収証書写しの提出が求められます。

厚生年金に加入せず、国民年金のみの加入であれば、ねんきん定期便またはねんきんネットの「各月の年金記録」の提出は必要ありません。

医療保険の納付を証明する資料

  • 健康保険被保険者証
  • 国民健康保険被保険者証
  • 国民健康保険料納付証明書
  • 国民健康保険料領収証書

年金の証明書同様に直近2年分の提出が求められますが、高度専門職で80点以上の方と日本人、永住者、特別永住者の実子、特別養子の場合は、直近1年分のみの提出になります。

サラリーマンとして会社に雇用され、健康保険組合などに加入している場合は、健康保険被保険者証の写しの提出が必要です。

一方で、国民健康保険に加入している場合は、国民健康保険被保険者証の写しを提出します。

提出期間分のうち、国民健康保険に加入していた期間がある方については、国民健康保険料納付証明書の写しと国民健康保険料領収証書の写しも併せて提出が求められます。

資産を証明する資料

預貯金通帳の写しや不動産の登記事項証明書など、独立生計要件を満たすことを立証する資料を提出します。

独立生計要件を満たすためには最低限の収入があることが前提ですが、収入に加えて資産があり公共の負担にならないことが立証できる資料を準備しましょう。

なお、日本人、永住者、特別永住者の配偶者や実子などであれば、この資料の提出は必要ありません。

身元保証人に関する資料

  • 身元保証書
  • 身元保証人の在職証明書
  • 身元保証人の住民税課税証明書
  • 身元保証人の住民票

全ての申請人は、永住許可申請の際に必ず身元保証人が必要で、上記の書類を身元保証人から提出してもらう必要があります。決まったフォーマットがありますので、身元保証書を身元保証人に作成してもらいましょう。

また、身元保証人の勤務先を証明する在職証明書、所得を証明する住民税課税証明書、住居地を証明する住民票を提出してもらいます。この場合、在職証明書や住民税課税納税証明書が求められますが、必ずしも身元保証人が定職に就き、収入を得ていなければならないわけではありません。

例えば、申請人の配偶者が日本人で専業主婦である場合でも、その配偶者の方が身元保証人になることができ、この場合には在職証明書や住民税課税証明書の提出は不要です。

高度専門職ポイント疎明資料

「高度専門職」の在留資格を持つ方、または高度専門職のポイント制度を使って永住許可申請をする方は提出が必要です。

「高度専門職」の在留資格を持っていれば、「高度専門職」の許可を受けた時に入管から発行されたポイントが書かれている計算通知書と永住許可申請時に70点または80点以上あることを疎明する資料を提出しましょう。

「高度専門職」の在留資格を持たず、1年前に80点以上あることを立証、または3年前に70点以上あることを立証して永住許可申請を行おうとする方は、永住許可申請の1年前または3年前のポイントを立証する資料と永住許可申請時点のポイントを立証する資料を提出しなければなりません。

了解書

申請を行ってから結果が出るまでに、下記の項目に変更が生じた際、入管へ連絡することを約束する文書です。

  • 就労状況(退職や転職した場合)
  • 家族状況(離婚や別居した場合)
  • 税金・年金・医療保険の納付状況(滞納した場合など)
  • 生活保護などを受けることになった場合
  • 刑罰法令違反により刑が確定した場合

了解書は決まったフォーマットがありますので、内容を読んだ上で申請人本人が署名をします。もし連絡をせずに永住許可を受けた場合には永住許可が取り消されることがありますので、変更があった際には必ず連絡をしましょう。

申請の流れ

申請の流れとしては、就労などの在留期間更新許可申請や在留資格変更許可申請と同じです。

流れを図にすると以下のようになります。

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永住許可申請することを決断し、要件を満たしていることを確認したら、必要書類を準備します。必要書類の準備ができた後、申請人が住む住居地を管轄する出入国在留管理局に書類を提出しましょう。

審査期間は、入管のホームページでは4ヵ月が標準処理期間とされています。申請時期や申請内容によっては、4ヶ月から半年程度で審査が終了することもありますが、申請から1年程要することもよくあります。

単に入管での申請量が多く審査が追いついていないこともあり、時間がかかるからといって必ずしも申請に何か問題があるわけではないため、落ち着いて入管からの連絡を待ちましょう。

また、審査期間中に入管から追加書類を求められることも多いですが、この場合も求められた書類を適切に提出することが必要です。

入管での審査が終了すると通知が届きます。通知に書かれている書類を持って入管にいきましょう。

許可を受けることができれば、「永住者」と書かれた在留カードが交付されます。

残念ながら不許可になった場合は、入管で不許可の理由を確認してください。不許可理由を解消することで、今後再申請が可能になることがあります。不許可理由は一度しか聞くことができませんし、不許可理由がわからないと再申請をしても失敗してしまう可能性が高いので、しっかりとヒアリングすることが必要です。

前述したように、不許可を受けても持っている在留資格を失ったり、日本から出国したりしなければならないことはありません。

申請時の注意点

永住許可申請時の注意点として、ここでは2点挙げたいと思います。当事務所にも質問が多いものになりますので、確認してください。

申請中の更新申請

要件を満たしていれば、いつ永住許可申請しても構いませんが、保有している在留資格の在留期限が迫っている場合は、永住許可申請中に在留期間更新許可申請が必要です。

永住許可申請の審査期間は、他の申請と違い時間がかかります。永住許可申請をしても自動的に在留期限が延長されるわけではなく、申請中に在留期限が切れてしまうとオーバーステイになってしまいますので、申請中であっても必ず在留期限の確認をしてください。

身元保証人

必要書類の項目で、永住許可申請には身元保証人が必要であることを説明しました。身元保証人は誰でもなれるわけではなく、日本人または「永住者」の在留資格を持つ人だけがなることができます。日本にどれだけ長く滞在していても、社会的地位がある方であっても、このいずれかのステータスがなければ身元保証人になることができません。

また、身元保証人と聞くと連帯保証人のようなイメージを持つ方が多いと思いますが、身元保証人が身元保証書で保証する項目は、申請人の日本在留に関して「滞在費」、「帰国費用」、「法令の遵守」になり、法的強制力はなく道義的な責任のみになります。

つまり、費用負担の義務や法令違反に対する責任はなく、保証事項を履行しなかったとしても身元保証人に対して罰則はありません。

身元保証人に関するご相談はとても多く、身元保証人になってもらえる方を探すのに苦労する場合が多いようです。これは住民票や住民税課税証明書などの個人情報を申請人に見られることを嫌い、身元保証人の責任についても理解を得られないことから、身元保証人になっていただけないことが多いように感じます。

なお、当事務所にご相談をいただいた場合には、行政書士が直接身元保証人とお話をさせていただき、責任の範囲についてご説明をして理解をいただいております。

また、書類も申請人を介さず、身元保証人から直接当事務所にお送りいただくことで、身元保証人の不安を解消させていただいております。どうしても身元保証人を見つけることができない場合には、専門家にご相談されるのも必要でしょう。

永住許可申請の事例

永住許可申請で許可になった事例

「高度専門職」の在留資格で70点を持っている外国人の方で、「高度専門職」を取得してから3年を待たずに許可を受けたケースです。

「永住権を取得するための要件」で、「高度専門職」70点以上持っている方であれば、10年在留に関する特例を受けることができ、「高度専門職」を取得してから3年経てば永住許可申請ができると説明しました。

今回のケースでは、申請人の方ができる限り早く永住権が欲しいということで、当事務所でヒアリング及び書類を確認したところ、ご相談時から1年前に遡った時点でポイントが80点以上あり、また永住許可申請時にも80点以上あることが確認できたため、「高度専門職」を取得してから2年程度で永住許可申請をして許可を得ることができました。

このように「高度専門職」で70点を持っている方でも、必ずしも3年間待たなくてはいけないわけではなく、ポイントさえ満たせば3年未満でも申請が可能になることがあります。

永住許可申請で不許可になった事例

就労の在留資格を持った方と「家族滞在」を持った配偶者の方が一緒に永住許可申請をしたケースです。

申請人からヒアリング、書類を確認した限りでは犯罪歴はなく、給与額も十分あり、公的義務も果たしており、日本での在留期間も問題ありませんでした。

このように一見要件を全て満たしていたのですが、配偶者の方が資格外活動許可を持ちアルバイトをしていました。アルバイトをすること自体は問題ないのですが、実は週28時間以上アルバイトをしていたことが入管の審査で発覚し、配偶者だけでなく就労ビザを持った方も一緒に不許可になってしまいました。

懲役刑や罰金刑にはなっていませんが、資格外活動許可違反は入管法違反に当たり、素行善良要件・国益要件に適合しないことになります。配偶者の方も昔のことであり、違反期間も数ヶ月間だったため忘れており、事前に申告がなかったため申請を行い不許可を受けてしまいました。

このように懲役刑などに該当せず軽微な違反であっても、永住許可申請では不許可になってしまいます。バレなければ少しくらい大丈夫と思っても入管で調査すればわかることですので、永住許可申請を検討している方は注意しましょう。

さいごに

ここまで永住権取得のメリット、取得要件、申請方法や事例まで網羅的に解説してきました。さらに帰化との違いも併せて解説しましたので、永住権取得を検討している方だけでなく、帰化申請と悩んでいる方にとってもお役に立てる記事になったかと思います。

永住権取得を検討している方は、日本に長く住み日本語も問題ない方が多いので、自分で申請しようとする方が多いです。しかし自分で申請しようと思っていても、状況をお伺いすると必要書類をそのまま集めるだけでは不十分なこともあります。

永住許可申請をしても何度も入管から追加書類を求められると煩雑ですし、これまで長く日本に住んできても永住許可申請で不許可を受けてしまうと非常に残念です。

しっかりと永住権を取得できるよう、行政書士などの専門家に相談することも検討しながら永住許可申請を進めることをお勧めします。

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