リガレアス行政書士事務所の広瀬(@tatsu_ligareus)です。

日本では少子高齢化が進み、介護職においては慢性的な人手不足と言われています。そんな介護業界で外国人はとても貴重な戦力です。外国人を雇用するには就労ビザの取得が必要ですが、外国人が介護職で働くための在留資格は一つではないことをご存知でしょうか。

そこで今回は、「介護」の在留資格を中心に、その他の在留資格についても説明し、外国人が介護業界で働くための在留資格について網羅的に解説していきます。

この記事をお読みいただければ、介護職で外国人を雇用するために必要なビザに関する知識を得ることができます。

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介護ビザとは?

在留資格「介護」は、高齢化が進む日本で、質の高い介護に対する要請が高まっていることや介護分野における留学生の活躍支援という背景から2016年の入管法改正により新しく創設されました。

「介護」は就労ビザの一つで、介護福祉士の国家資格を持つ外国人が日本の病院や介護施設で入浴、食事の介助、ケアプランの作成などの介護業務全般を行うための在留資格です。

介護対象者も老人介護に限られず、活動場所も介護施設に限定されず訪問介護などもできます。

なお、「介護」では家族の帯同が認められ、在留期間の更新回数に上限はありません。

 

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介護ビザ以外の在留資格

外国人が介護業界で働くための在留資格は「介護」だけではありません。ここでは「介護」以外で介護関連の仕事に従事できる在留資格について解説します。

技能実習

技能実習計画に基づいて最長5年間日本で技能を学ぶための在留資格です。日本で学んだ技能を母国の発展に生かすための制度ですので、技能実習終了後は原則として母国に帰国しなければなりません。

「介護」同様に病院や介護施設において介護業務を行うことができますが、訪問系サービスを行うことはできませんので注意しましょう。

また、外国人については日本語能力要件や団体監理型の場合は母国で介護業務に従事していた経験などが求められます。

受入機関も介護福祉士の資格をもつ技能実習指導員を置くことや技能実習を行う事業所が開設3年以上経過していること、実習生の受け入れ人数枠などさまざまな要件があります。「技能実習」での在留期間は最長5年で、原則として家族の帯同や転職などは認められません。

「技能実習」は手続きも多く要件も複雑ですので、「技能実習」で外国人を受け入れる場合は、事前に手続き内容を確認しておきましょう。

「技能実習」の一般的な内容についてこちらで解説しています。

特定技能

人材確保が困難な産業上の分野において一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人を受け入れるために2019年に創設された在留資格です。人材確保が困難な分野として12分野が特定されていて、介護は12分野の一つになります。

「特定技能」では、外国人が技能試験と日本語能力試験に合格または「技能実習2号」を良好に修了していなければなりません。

また、受入機関は外国人が日本でスムーズに活動ができるように日本入国から帰国までのサポートをしなければならず、その内容を支援計画として作成し、実行することが必要です。さらに分野ごとの協議会に加入が求められるなど、「特定技能」に特有の要件が多くあります。

業務内容としては、「技能実習」同様に病院や介護施設において介護業務を行うことができますが、訪問系サービスを行うことはできません。

介護分野においては「特定技能」は1号のみで、2号に移行することはできないため、「特定技能」での在留期間は最長5年です。家族の帯同は認められていませんが、転職することは可能です。

「特定技能」については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

特定活動(EPA)

日本とEPA(経済連携協定)を締結している国の外国人が、日本の介護施設などで就労しながら介護福祉士の資格取得を目指し、介護福祉士の資格を取得した後も引き続き日本で就労するための在留資格です。

「特定技能」とは異なり労働力不足のために行うものではなく、公的な枠組みで特例的に行うものになります。本記事執筆時点では、対象国はインドネシア、フィリピン、ベトナムの3ヵ国のみです。

それぞれの国籍によって少し要件は異なりますが、本国で大学や看護学校を卒業していることや日本語能力(インドネシアとフィリピンはN5以上、ベトナムはN3以上)などが求められます。また受け入れ施設にも要件が定められ、受け入れ人数の制限もあります。

EPAで受け入れる場合、社団法人国際厚生事業団(JICWELS)が受け入れの調整機関となるため、JICWELSを通して受け入れなければなりません。

在留期間は介護福祉士の資格を取得するまで最長4年間ですが、介護福祉士の資格を取得した後は更新回数の制限はありません。さらに介護福祉士の資格を取得した後は、転職や家族の帯同も認められます。

「特定活動」の一般的な内容についてこちらの記事で解説しています。

特定活動46号

日本の大学や大学院を卒業し、大学で修得した知識や高い日本語能力を活かして幅広い業務に従事するための在留資格です。日本の大学を卒業していることや日本語能力試験でN1に合格、またはBJT日本語能力テストで480点以上を取得していることなどが求められます。

大学で学んだ知識を活かして技能実習生や外国人従業員の指導業務などを行う一方で、日本語能力を活かして日本人施設利用者に対して介護業務を行うことができます。「技能実習」や「特定技能」と異なり指導や管理業務などが行えますが、介護施設内の清掃や衣服の洗濯、介護業務などの単純作業のみに従事することはできません。

在留期間の更新回数に制限はなく、家族の帯同や転職も認められます。

こちらの記事で「特定活動」46号について詳しく解説しています。

「介護」「技能実習」「特定技能」「特定活動(EPA)」「特定活動(46号)」
業務内容入浴、食事の介助、ケアプラン作成など介護業務全般訪問系サービス以外の介護業務訪問系サービス以外の介護業務介護福祉士取得まで訪問系サービス不可、取得後可能日本語を活かした介護業務
(単純作業のみは不可)
日本語能力なし1号:N4以上
2号:N3以上
介護日本語評価試験インドネシア・
フィリピン:N5以上
ベトナム:N3以上
JLPT:N1
BJT:480点以上
(大学で日本語を専攻した場合は不要)
家族帯同可能不可不可介護福祉士取得後、
可能
可能
転職可能不可可能介護福祉士取得後、
可能
可能
在留期間更新回数制限なし最長5年最長5年介護福祉士取得まで4年、取得後は更新回数制限なし更新回数制限なし

 

介護職で働く在留資格としては、他にも「永住者」などの身分系在留資格や「留学」のアルバイト、「技術・人文知識・国際業務」などもあります。

「永住者」や「日本人の配偶者等」といった身分系の在留資格は就労に制限はありませんので、日本人と同じように働くことが可能です。

また資格外活動許可を持っていれば「留学」の在留資格でも介護職に従事することは可能で、業務内容に制限はありません(風営法に関する業務は不可)。ただし、働くことができるのは1週間に28時間以内です。

一方で、「技術・人文知識・国際業務」では、人事などのバックオフィス業務や大学で修得した介護学の知識を活かして介護サービスの利用相談といった業務ができますが、入浴や食事の介助などの介護業務に当たることはできません。

このように介護職で働く場合には、多くの在留資格があり、それぞれ要件や従事できる業務内容なども違いますので、どの在留資格が最も適当か判断する必要があります。

介護ビザの取得には介護福祉士の資格が必要

「介護」を取得するためには介護福祉士の国家資格を取得しなければなりません。外国人が介護福祉士を取得するには以下4つの方法があります。

  • 養成施設ルート
  • 実務経験ルート
  • 福祉系高校ルート
  • EPAルート

養成施設ルート

専門学校などの介護福祉士養成施設を卒業し、介護福祉士の国家試験に合格して取得する方法です。「留学」で日本の専門学校に通い、介護福祉士に合格する人が該当します。

2026年度末までに養成施設を卒業する人は、卒業後5年間は国家試験に合格しなくても介護福祉士になることができます。その間に国家試験に合格するか、卒業後5年間続けて介護の業務に従事すれば、5年経過した後も介護福祉士の登録を継続することが可能です。

なお、2027年度以降に養成施設を卒業する人は国家試験に合格しなければ介護福祉士になることができません。

実務経験ルート

介護施設などで3年以上働き、実務者研修または介護職員基礎研修・喀痰吸引等研修を修了後に介護福祉士の国家資格に合格して取得する方法です。

「技能実習」や「特定技能」で3年以上の実務経験や研修を修了して介護福祉士に合格する人が該当します。

福祉系高校ルート

福祉系の高校を卒業して介護福祉士の国家資格に合格して取得する方法です。「留学」で福祉系高校を卒業して介護福祉士に合格する人が該当します。

EPAルート

「特定活動(EPA)」で3年間実務経験を行った後に介護福祉士の国家資格に合格して取得する方法です。

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介護ビザの要件・申請方法

ここでは「介護」の取得要件や申請方法について解説していきます。

申請要件

申請要件は以下のようになります。

  • 介護施設などとの契約
  • 介護福祉士の資格を持っていること
  • 介護または介護の指導を行う業務に従事すること
  • 日本人が受けるのと同等額の報酬

外国人は介護施設などと労働契約を締結していることが必要です。介護者本人やその家族との契約は認められませんので注意しましょう。

また、介護福祉士の国家資格を保有している必要があります。前述の4つのいずれかのルートで介護福祉士資格を取得しなければなりません。

業務内容は、日本の病院や介護施設などで入浴や食事の介助などの介護業務全般、ケアプランの作成などが該当します。訪問介護も可能で介護対象者も老人介護に限りません。

さらに、介護福祉士の資格を持たない人が行う介護業務について指導を行うことや、要介護者に対して助言を行うことも可能です。

「介護」も他の在留資格同様に、日本人と同等額以上の報酬を受ける必要があります。「〇〇円以上」といった明確な基準はなく、施設や病院の賃金体系を基に日本人と同等額以上かどうかで判断されます。なお、報酬にはボーナスも含まれますが、通勤手当や住宅手当などは含まれません。

申請方法

次に申請方法についてです。

4つのルートから介護福祉士の資格を取得できることを説明しましたが、ルートごとによって「介護」の取得方法が少し異なります。

養成施設ルートの場合、「留学」で専門学校に在籍し、卒業前に介護福祉士の試験を受験します。例年、国家試験は1月に行われ、3月下旬に合格発表、介護福祉士登録証の交付が4月1日以降です(2026年度末までに卒業する人は試験に合格しなくても介護福祉士になることができます)。

しかし「介護」の在留資格の申請をするためには、介護福祉士の登録を受け、介護福祉士登録証の写しを提出しなければなりません。そのため4月1日から介護施設で働く場合に、就労開始までに「介護」の在留資格を取得することができないことになります。

このようなことを避けるための措置として、「留学」から「特定活動」へ変更し、介護福祉士登録証が交付されるまで「特定活動」で介護業務をすることができます。「特定活動」の在留期間は4ヶ月ですので、介護福祉士登録証が交付されたらすぐに「介護」への変更をしましょう。

「留学」から「特定活動」へ変更する際の必要書類は以下のようになります。

  • 申請書
  • 顔写真
  • パスポート
  • 在留カード
  • 養成施設の卒業証明書
  • 労働条件通知書
  • 勤務先の事業内容などが記載された案内書

養成施設を卒業する前に、卒業証明書の代わりに卒業見込み証明書で申請することも可能です。その場合は審査結果を受けるまでに卒業証明書を提出する必要がありますが、早めに申請をすれば早めに審査結果を受けることができますので、卒業前に卒業見込み証明書で申請することをお勧めします。

また、実務経験ルートとして実務経験を3年以上行い、研修を修了して、介護福祉士の試験に合格すれば、「技能実習」や「特定技能」からも「介護」へ変更することが可能です。

なお、「技能実習」は本国への技術移転を前提とした在留資格のため、「技能実習」から「介護」へ変更する際には「技術移転に係る申告書」を提出しなければなりません。

「技能実習」や「特定技能」と同様に、「特定活動(EPA)」で介護福祉士の資格を取得した後に「介護」へ変更することも可能です。もちろん、資格取得後もそのまま「特定活動(EPA)」で働くこともできます。

「介護」の在留資格へ変更申請する際の必要書類は以下のようになります。

  • 申請書
  • 顔写真
  • パスポート
  • 在留カード
  • 介護福祉士登録証写し
  • 労働条件通知書
  • 勤務先の事業内容などが記載された案内書
  • 技術移転に係る申告書(「技能実習」からの変更の場合)

「技能実習」から変更する場合のみ、技術移転に係る申告書を提出する必要があります。

外国人介護福祉士の需要が高まる背景

厚生労働省は2021年に今後必要になる介護職員数を発表し、2019年度時点の介護職員数約211万人を基準として、2023年度には約22万人増の約233万人、2025年度は約32万人増の約243万人、2040年度に約69万人増の約280万人の介護職員が必要になると算出しました。

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(画像引用元:「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」

このように多くの人材を確保する必要がある介護業界ですが、日本の少子化や他産業との人材獲得競争の激しさなどから人材確保が難しく、今後も人材が不足すると考えられます。

この人材不足に対する解決策の一つが、外国人材の活用です。

政府としても外国人材の受け入れを進め、本記事でも説明してきた様々な在留資格で受け入れを行なっています。2019年4月に新設された「特定技能」や、これまで養成施設ルートからしか変更できなかった「介護」が、2020年4月から実務経験ルートからも「介護」へ変更することができるようにするなど、介護業界において外国人材確保の幅を広げています。

また、日本に在留する外国人も増加しているため、将来は外国人を介護することも考えられるでしょう。そうすると介護される人の母国語でコミュニケーションが取れる外国人介護職員などの需要も増えてくると考えられます。

このように外国人の介護職員の需要はさらに高まり、外国人材の活用は欠かせなくなるでしょう。

さいごに

ここまで「介護」の在留資格について解説してきました。

「介護」の取得要件や申請方法についてお分かりいただけたと思います。

さらに「介護」以外の在留資格についても触れて網羅的に解説しましたので、介護施設の担当者の方にとっても外国人を採用する際の参考になるはずです。

ただ、多くの在留資格が存在しているため、外国人を受け入れる際にどの在留資格が適切か、またどのように申請をするか、要件は何かなど判断が難しいこともあるでしょう。

そのような時は行政書士などの専門家に相談することも必要です。専門家に相談することで、余計な工数が省け、安心してスムーズに採用を進めることができます。

リガレアスでは、「介護」だけでなく「特定技能」や「技能実習」、「特定活動」の在留資格の申請も対応しています。

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