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日本企業の大きな戦力となる外国人採用のメリットと注意点を解説します

 

リガレアス行政書士事務所の水澤です。

 

10年前と比べると、日本では大勢の外国人が様々な場所で様々な職種に従事している姿を見かけるようになりました。IT技術者かな?デザイナーかな?という方、レストランやコンビニエンスストアで働いている方、美味しいお料理を作るコックさん、空港で働いている方、力士やラグビー選手・・・。

 

異国の地で働くということは、在留資格取得の要件を満たしていて、言語の壁も超えて、プロとして働いている方々です。簡単にできることではありません。私はその姿を見かけるたびに「凄いなぁ」と思います。ついつい話しかけてしまうこともあり、どの方にも素晴らしいストーリーがあって益々感心してしまいます。

 

多様性な世の中でお互いを知ることは、楽しくて学ぶことも多いです。

仕事柄、日本社会で活躍している外国人の方々、外国人の方々を雇用し益々会社が発展しているケースに触れることもあります。

 

外国人の方を雇用し一緒に仕事を始めることで、どのような良いことがあるでしょうか?

具体的にどのように雇用したらよいのでしょう?

入管法上気を付けることはどんなこと?

このようなお問い合わせもいただきます。

 

そこで今回は、企業の外国人採用と深く関わるリガレアスが考える、外国人採用のメリットや注意点についてまとめました。新たな戦力として外国人雇用戦略を検討中の企業様にとってお役に立てましたら嬉しく思います。

 

外国人と共に働く

先日、厚生労働省から「外国人雇用状況」の届出状況のまとめ(令和2年10月末現在)が公表されました。

在留資格別外国人労働者数

 

引用元:厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和2年10月末現在)

 

外国人雇用状況の届出制度は、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律に基づき、外国人労働者の雇用管理の改善や再就職支援などを目的とし、全ての事業主に、外国人労働者の雇入れ・離職時に、氏名、在留資格、在留期間などを確認し、厚生労働大臣(ハローワーク)へ届け出ることを義務付けられているものです。

 

上記グラフによると、外国人労働者は約172万人で、過去最高を更新しましたが増加率は大幅に低下しています。新型コロナウイルス感染が世界的に広がっていることが大きく影響していると思われます。更に、令和2年10月までの外国人雇用状況のまとめから、以下が分かりました。

 

 

(1)外国人労働者数は1,724,328 人で、前年比 65,524 人(4.0%)増加し、平成19年に届出が義務

  化されて以降、過去最高を更新しましたが、増加率は前年 13.6%から 9.6 ポイントの大幅な減

  少となっています。

 

(2)外国人労働者を雇用する事業所数は 267,243 か所で、前年比 24 ,635 か所(10.2%)増加し、

  平成19年に届出が義務化されて以降、過去最高を更新しましたが、増加率は前年 12.1%から 1.9

  ポイント減少しています。

  ①都道府県別では、東京都が全体の26.2%、愛知県が8.1%、大阪府が7.5%の順となっています。

  ②産業別では、製造業が19.3%、卸売業・小売業が18.1%、宿泊・飲食サービス業が13.9%となって

   います。増加率では建設業が前年比で、20.5%、医療・福祉が18.0%、卸売業・小売業が14.3%増

   加しています。

  ③事業所規模別では、30人未満規模の事業所が全体の60.4%で前年比で11.3%増えて、最も大きく

   増加しています。

 

 (3)国籍別では、ベトナムが中国を抜いて最も多くなり、443,998 人(外国人労働者数全体の25.7 

   %)。次いで中国 419,431 人(同24.3%)、フィリピン184,750 人(同10.7%)の順になってい

   ます。一方、ブラジルやペルーなどは、前年比で減少しています。

  ①国籍別・産業別では、ベトナム、中国、フィリピンでは製造業がも最も高い割合となっていま

   す。

  ②労働者派遣・請負事業を行っている事業所に就労している外国人労働者数の構成比を国籍別で

   見ますと、ブラジルが52.6%、ペルーが40.2%でした。

 

 (4)在留資格別では、「専門的・技術的分野の在留資格」の労働者数が 359,520 人で、前年比

   30,486 人(9.3%)の増加。また、「技能実習」は 402,356 人で、前年比 18,378 人(4.8%)の

   増加となっている。一方、「資格外活動」(留学を含む)は 370,346人で、前年比 2,548 人

   (0.7%)減少となっています。

 

このように、日本では172万人の外国人が様々な産業で就労しています。この外国人の方々が、職場で同僚であったり、上司や部下である日本人の方々も多いのではないでしょうか。

 

外国人採用のメリット

社内の人材不足解消と業績アップにつながる

 

昨今は、情報システムが高度化し、AIやIoTの活用も進んでいます。

 

また、日本でも経済産業省が推奨するデジタルトランスフォーメーションへの取組みが進み、社会の動きに伴ってIT人材が不足する傾向にある日本企業が、外国人のIT技術者を積極的に採用する事例が増加しています。

 

他にも、エコエネルギー生産技術や都市開発など、専門的な知識や技術を持った外国人材を海外から雇用することで、企業の技術力や業績のアップにつながります。

 

海外進出や新たな市場開拓を計画実施できる

 

仕事柄、多くの外国人の方々とお会いすることがあり、中には母国語と日本語はもちろん、多言語も加わり3か国語4か国語を話す方と出会います。母国以外の国で多言語に対応しながら業務にあたる外国人は、大変な努力を続けてきた方々です。

 

日本の企業が海外進出を計画するためのマーケティング、進出する国の法律、人事戦略等の知識に加え、優れた語学力がある外国人社員の方々は、海外進出についてきめ細かな計画実現に活躍し、日本と進出先の国双方の発展に繋がると確信しています。

 

社員のコミュニケーション力が上がり、相乗効果で新しい技術やアイディアを創出できる

 

日本人同士でもコミュニケーション不足により、お互いを理解するのが難しいときがあります。ましてや言語、文化、生活習慣、宗教等のバックグラウンドが違う外国人社員とコミュニケーションをとりながらお互いを理解するには様々な工夫が必要です。

 

日本人社員と外国人社員が理解を深めるコミュニケーションスキルアップは多様性の理解に繋がり、企業は多様な価値観や視点を共有することで、事業をグローバルに展開する際に発生する課題も多角的に解決できるようになります。

 

また、技術・研究開発、デザイン、観光、興行等で新しいアイディアを創出し、各国の社会トレンドを調査し、更なる発展に繋ぐことが可能です。

 

外国人を採用する企業の注意点

 

外国人の方々を雇用し活躍してもらうための注意点についてお伝えします。

 

雇用に際し、適切な在留資格を所持しているか確認する

 

一般的に就労ビザと呼ばれていますが、ビザ(査証)と在留資格が混同し理解されているようです。

 

ビザ(査証)は、日本に入国する許可を外務省管轄の在外公館(日本大使館・領事館)が証し発給するものです。入国する許可ですので、日本に到着し入国許可申請に必要な書類の一部となります。

 

在留資格は、入国後の日本滞在中の活動許可・活動内容の根拠となるもので、法務省管轄の出入国在留管理庁から交付されます。

 

このことから、既に日本に滞在している外国人を雇用する場合は、所持している在留資格と在留期限を必ず確認してください。これは、雇用後に予定されている職務内容が、所持している在留資格で許可されている活動内容に合っているか・在留期限が既に到来していないかを確認し、雇用する企業が不法就労の助長をしていないかを確認するためです。

*ご参考 不法就労助長罪とは?外国人雇用時に「知らなかった」では済まない徹底確認事項

 

海外から直接雇用する場合は、日本に呼ぶ前に、日本での活動内容によって許可される在留資格を出入国在留管理庁に申請します。

 

雇用契約

 

日本には、労働者を保護する法規(労働基準法,労働契約法,最低賃金法,労働安全衛生法,労災保険法等)があり、就労する外国人にも原則適用されます。

 

例えば、労働基準法の3条には「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的な取扱をしてはならない。」と明記されています。外国人に対しても最低賃金法は適用されますから、国籍や人種により待遇や賃金での差別は禁止されています。

 

また、15条1項「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定められる事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。」とされています。

 

このことから、労働契約の締結に際しては,従事する業務内容及び賃金,労働時間その他の労働条件を明示しなければならず、外国人を雇用する場合も,労働条件通知書を作成し交付することは義務ですのでご注意ください。

 

なお、外国人が契約内容を正しく理解することで、入社後のトラブルを避けることができますので、母国語や英語に翻訳したものを一緒に交付すると良いです。

 

入社時の留意点

 

外国人を雇用する企業は、外国人を雇用する際と離職する際には、その氏名、在留資格等についてハローワークへ届け出ることが義務付けられています。ただし、在留資格「外交」「公用」「特別永住者」の方は、届出の対象外です。

*前述の外国人雇用状況の届出制度をご参照ください。

 

雇用される外国人は、勤務先の変更の届出を出入国在留管理庁へ行う義務があります。

 

就労に際し必要なフォロー

 

就業規則の改訂等を行いリスクを管理することも重要です。

  

・日本の法令順守のため、適用法の明記

・解雇の規定

・在留資格更新の責任の所在

・在留資格更新手続費用の負担について    等

 

*英語等の外国語で作成することもお勧めします。

 

業務研修や生活面のサポートを行い、外国人社員が適切な労働条件や安全衛生の下、在留資格の範囲内で能力を発揮しつつ就労できるように適切な措置を講ずることが求められます。

    

社会保険

 

外国人を雇用した場合、各種社会保険は日本人と同様の仕組みが適用されます。加入基準を満たす雇用契約を締結した場合は社会保険の加入が必要です。

 

健康保険は、基準を満たした日から5日以内に「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を日本年金機構または健康保険組合に提出してください。外国人社員に家族がいる場合は、日本人と同様に被扶養者として申請が可能です。

    

年金保険については、雇用した外国人社員が基礎年金番号を所持していない場合は、「被保険者資格取得届」の基礎年金番号欄にマイナンバーを記入し届出をします。基礎年金番号が付番されますと、雇用企業に基礎年金手帳が届きます。

 

また、外国人社員の中には、自国が日本と「社会保障協定」を締結している人もいます。これは、自国と日本の社会保障制度に二重加入することを防ぐことと、年金加入期間の通算をする目的の協定です。社会保障協定国となっている自国で社会保険に加入している人は、自国で発行された「適用証明書」を年金事務所に提出しますと、健康保・厚生年金の加入が免除になります。

*協定の内容は出身国によって制度が異なる場合がありますので、日本年金機構 

 https://www.nenkin.go.jp/service/shaho-kyotei/kunibetsu/info/index.html 等に確認してください。

 

税金

 

日本に居住者として在留している外国人社員の場合、源泉徴収は日本人と同様の手順で行い、住民税も居住者の場合は課税対象者となります。

 

さいごに

外国人の方々にとって、在留資格は日本で暮らす根幹になる大切まものですが、その手続は複雑です。また、一緒に働く外国人社員の方々が安心して業務に集中できる環境を作ることは、やがて企業の利益にも繋がっていきます。

 

そして、どの人も日本で幸せに暮らしていただけたら、こんなに嬉しいことはないです。

弊社が皆様のお役に立てましたらと、心から願っております。

 

リガレアス行政書士事務所に相談する。