リガレアス行政書士事務所の広瀬(@tatsu_ligareus)です。

ビザ申請は必要書類を揃えて提出すれば、必ず許可がもらえるわけではありません。ビザ申請の要件を満たしていないことも不許可の原因の一つですが、それ以外の理由で不許可になってしまうこともあります。

ビザが不許可になる原因や不許可にならないためにはどうすればよいか、これまで多くの申請を行なってきた担当者でもわからないことが多いのではないでしょうか。

そこで今回は、ビザ申請で不許可になる理由や不許可にならないための対策について解説していきます。

この記事をお読みいただければ、ビザ申請の許可の確率を少しでも上げられるはずです。

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日本のビザ申請が不許可となる主な理由

ビザ申請で不許可になる理由はさまざまですが、ここでは不許可になってしまう主な理由をみていきましょう。

申請書類の不備や誤り

ビザ申請要件を満たしていたとしても、申請書類の記載方法が不十分なため、入管で要件を満たしていないと判断されてしまうことがあります。

例えば就労ビザ申請で、就労先での職務内容が工場内での「生産管理」や「製品管理」といった専門的でビザの要件を満たすものでも、申請書類で「工場内での業務・PC入力」といった単純作業と思われる記載をしてしまい不許可を受けてしまうケースです。このようにちょっとした記載の違いで不許可を受けてしまうこともあります。

他にも、申請書類の情報が以前のビザ申請の情報と異なる場合に、虚偽申請と疑われて不許可を受けてしまうケースがあります。入管ではビザ申請の記録を保管しており、審査の際に以前の記録と照合するためです。

当然ですが、嘘の情報を記載したり、偽造文書などを提出したりした場合も不許可となります。

申請者の素行や過去の入国記録

外国人に法令違反がある場合もビザが不許可になる原因の一つです。法令違反による1年以上の懲役や禁錮刑に処せられていると上陸拒否事由に該当し、申請は不許可になります。法令違反は日本国内、国外問われません。

法令違反による罰金刑や懲役刑などに処されているだけでなく、日本国内での資格外活動違反であっても法令違反に当たります。よくあるケースとしては、週28時間以上アルバイトを行なっていた留学生が、卒業後に就労ビザに変更しようとして不許可になるケースです。

また、以前に「技能実習」や「研修」の在留資格で日本に在留していたことがある場合も、不許可になることが多いです。「技能実習」や「研修」は日本で修得した技能を本国で活かすための在留資格ですので、本国に帰国した後に日本で修得した技能を活かした職種で働かなくてはなりません。しかし、帰国してすぐに日本のビザを申請したり、本国で全く異なる職種で働いて日本のビザを申請したりすると、日本で修得した技能を活かしていないと判断され不許可になることがあります。

申請内容と実際の目的の不一致

ビザ申請の内容と実際に日本で行う内容が異なると不許可になります。

例えば、「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務内容として申請しているにも関わらず、実際の業務内容が単純労働であったり、調理師として「技能」で申請していても実際には調理補助やホールでの接客を行なっているようなケースです。

なお、申請で許可を受けようとするために嘘の申請を行い、在留資格を取得した場合であっても、在留資格不正取得罪に当たります。在留資格不正取得罪になると3年以下の懲役もしくは禁錮もしくは300万円以下の罰金が科されるおそれがあります。

経済的基盤の不足

日本で安定して生活できるだけの経済力が必要です。「日本人の配偶者等」の在留資格で在留する際、正式な結婚をしていてもお互い無職で預金も少ないと不許可になることがあります。

「留学」など日本で働くことができない在留資格も同様で、本人とは別の経費支弁者が日本での生活費や学費などを支払い、その経費支弁者が十分な経済力がないと不許可になるでしょう。

また、多くの就労ビザでは、報酬額について要件が定められています。「技術・人文知識・国際業務」では、日本人と同等額以上の報酬を受けることという規定があり、その規定を満たさないと許可を受けることは難しいです。

 

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在留資格別の不許可理由

ここでは、在留資格別に不許可になる理由を解説していきます。

就労ビザ(「技術・人文知識・国際業務」、「技能」、「特定技能」など)

一言で就労ビザといっても、全部で19種類あります。それぞれの在留資格で要件が異なりますので、不許可になる理由もさまざまです。ここでは就労ビザにおける主な不許可理由を説明していきます。

不許可の理由として多く見られるのが、在留資格と活動内容が合っていないことです。「技術・人文知識・国際業務」で単純労働をさせたり、調理師として「技能」を申請しても実際は調理補助やホールでの接客を行なっているようなケースがこれに当たります。

他には学歴や職歴の要件を満たしていないケースです。ほとんどの就労ビザでは、学歴や職歴、資格の要件があります。特に職歴を立証する際は、日本で行う活動に関連した職歴が求められますが、海外での経験が日本で行う活動に関連すると認められずに不許可になることがあります。

就労の在留資格については、こちらの記事もお読みください。

留学ビザ

留学ビザで多く見られる不許可事例は、これまで日本で留学経験があり、その在留状況がよくなったケースです。日本で在籍していた学校での成績や出席率が悪いと、在留状況がよくないと判断されて不許可になります。

また、留学ビザでは資格外活動許可を取得することができますが、原則として週28時間以内しか働くことはできません。この時間を超えて働いてしまうと資格外活動許可違反となり、申請で不許可を受けてしまうことがあります。

他に多いのが、経費支弁に関する不許可事例です。

資格外活動許可を取得すれば週28時間以内で働くことはできますが、留学ビザは原則として就労が認められていない在留資格です。そのため、日本での生活費や学費などを支払うための経費支弁能力があることを立証しなければなりません。一般的には両親が経費支弁者となりますが、両親の収入が低かったり預金が少なかったりすると不許可になることがあります。また両親の収入や預金などに関する書類の信憑性に疑義を持たれて不許可になるケースもあります。

留学ビザについては、こちらをお読みください。

家族ビザ(「日本人の配偶者等」、「家族滞在」など)

家族ビザは、扶養者との身分関係によって成立する在留資格です。扶養者の配偶者という身分で在留する場合、法的に婚姻が成立していて一緒に住んでいることが求められます。事実婚や事実上婚姻が破綻して一緒に住んでいなかったり、離婚していたりすると許可を受けられません。

また、家族ビザでは扶養者の扶養能力が審査されます。扶養者が無職や預金が少ないと安定した経済基盤があるとは認められません。また収入があったとしても、家族を養えるだけの十分な収入がないと不許可になることがあります。

「日本人の配偶者等」や「家族滞在」についてはこちらもお読みください。

永住者ビザ

永住ビザの要件として、素行善良要件、独立生計要件、国益要件があります。

永住ビザの不許可理由の一つが独立生計要件を満たさないことによる不許可です。この要件では日本で「自活」していくことが求められますので、収入が低いと許可を受けられません。基準となる金額は公表されていませんが、300万円が目安とされており、その金額を超えていないと不許可になることが多いです。

また国益要件の一つとして、公的義務を履行していることが求められます。これは税金の納税や年金、保険の納付、入管法上の届出の履行などです。税金や保険料の未納により不許可を受けるケースは少なくありません。

永住ビザについてはこちらもお読みください。

ビザ不許可を避けるための対策

ここではビザ申請で不許可にならないための対策について解説していきます。

申請書類の確認と適切な準備

入管のホームページに記載されている必要書類を揃えることは当然です。

そして、書類の記載内容についても確認を怠らないようにしましょう。書類ごとで記載が異なっていて矛盾があると、その信憑性が疑われてしまいます。

またビザ申請要件の確認も必要です。要件を満たしていない申請では許可にはなりません。

要件を確認した上で、必要書類だけでは要件を満たしていることが分かりにくい時などは、申請人や受入機関の状況に応じて、補足資料を提出して要件を満たしていることを説明しましょう。

申請内容と実際の滞在目的の一致

申請書類には、外国人が日本で行う活動内容を可能な限り具体的、正確に記載する必要があります。しかし、外国人が行う業務に詳しくない人が申請書類を作成してしまうことで、申請書類と実際の業務内容の齟齬が生まれてしまうことがあります。そのため、外国人が勤務する部署の責任者など業務内容に詳しい人が作成するようにしましょう。

また、勤務開始後も人員が足りないからといって、一時的でも他の部署や業務に回すことは避けた方がよいです。

経済的基盤の十分な証明

日本で生活、扶養をしていけるだけの経済力があることを証明するには、書面により立証する必要があります。書類は公的機関など信頼できる機関から交付されているものが望ましいので、会社からの在職証明書、収入の証明として会社からの給与証明書や役所からの納税証明書、預金の証明として銀行の明細書や預金残高証明書などを提出しましょう。

書類が発行されてから時間が経過していると、申請時の状況と異なっている場合が考えられるため、申請に近い日付で発行されていることが必要です。

過去の入国記録の確認と説明

まず、日本に入国したことがあるか、入国したことがある場合はどの在留資格で滞在していたかを確認しましょう。入国歴はあくまでも外国人の本人申告になりますが、可能であれば以前もっていた在留カードやパスポートの出入国スタンプページなどを収集して、慎重に確認するのが望ましいです。

入国歴の状況によっても対応は異なりますが、特に「技能実習」や「研修」、「留学」などで滞在していた場合は注意した方がよいでしょう。

「技能実習」や「研修」で日本に在留していたことがある場合は、帰国した後の本国での経歴を確認する必要があります。前述したように、帰国してすぐに日本のビザを申請したり、本国で全く異なる職種で働いて日本のビザを申請したりすると不許可になる可能性が高いです。そこに合理的な理由があれば、説明をした上で申請を行います。

また「留学」で滞在していた場合は、出席率や成績、資格外活動許可違反の有無を確認しましょう。もし在留状況がよくなかった場合は、なぜ在留状況がよくなかったかを立証資料とともに説明して申請する必要があります。在留状況がよくない合理的な理由がないと申請が不許可になる可能性が高いです。

さいごに

ここまで、ビザ申請で不許可になる理由や不許可にならないための対策について解説してきました。

今までビザ申請で不許可を受けたことがなくても、この記事を今後のビザ申請業務に活かしていけると思います。

ビザ申請で不許可を受けてしまうと入管に記録が残ってしまい、外国人にとっても受入機関にとっても不利益になってしまうことがあります。さらに不許可を受けた後に再申請を行うのは、行政書士などの専門家であっても簡単なものではありません。不許可を受けることがないように、事前に準備をして申請を行うようにしましょう。

とはいえ、ビザ申請が必ず許可になる保証はありません。万一、申請が不許可になってしまった場合でも対応方法はあります。

もし不許可になってしまった場合は、こちらの記事もお読みください。

リガレアスでは、ビザ申請要件の確認から適切な書類の準備、状況に応じて補足資料も準備して申請を行っています。ビザ申請要件を満たさない場合には、どうすれば要件を満たすことができるかアドバイスしたり、場合によっては申請をしないようアドバイスをしたりすることもあります。

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