リガレアス行政書士事務所の広瀬(@tatsu_ligareus)です。

外国人を雇用する際に就労ビザが必要になります。就労ビザのなかでも「技術・人文知識・国際業務」が最も一般的なビザでしょう。

入管が発表した統計では、2023年末時点で約36万2000人が「技術・人文知識・国際業務」をもって在留し、「永住者」、「技能実習」に次いで、在留資格別の構成比で3位となり、日本に在留する外国人の10%以上がこの在留資格を持っていることになります。

blog-eng-proportion(参考:法務省「令和5年末現在における在留外国人数について」)

このように就労ビザの中では最も一般的なビザで、手続きを行なったことがある方も多いと思います。しかし、申請要件や手続きの方法などどこまで正確に把握しているでしょうか。

そこで今回は、「技術・人文知識・国際業務」で行うことができる具体的な職種や申請の要件、申請時の注意点などを具体的に解説していきます。初めて外国人を雇用する企業の方はもちろんですが、今まで手続きを行ってきた企業の方にも深くご理解いただける記事になっています。

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在留資格「技術・人文知識・国際業務」とは?

「技術・人文知識・国際業務」は就労ビザの一つです。一般的に「技人国(ギジンコク)」と略されます。

「技術・人文知識・国際業務」は、日本にある企業等との契約に基づいて行う自然科学分野または人文科学分野の専門的技術や知識を必要とする業務、または外国人特有の感性を必要とする業務をするための在留資格です。

自然科学分野とは、理学、化学、工学、農学、医学などいわゆる理系分野に属するもので、人文科学分野とは、法律学、経済学、文学、歴史学、心理学、経営学などいわゆる文系分野に属するものになります。

大学などで理系や文系の科目を専攻して修得した一定水準以上の専門的知識が必要とされ、単に経験を積んだことによる知識では足りないとされているため、いわゆる単純作業と呼ばれるような業務は該当しません。

一方で、外国人特有の感性を必要とする業務とは、一般の日本人が持っていない外国人特有の思考や感受性を必要とするもので、外国の社会、歴史伝統の中で培われた発想、感覚を基にした一定水準以上の専門的能力を必要とするものとなります。

 

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「技術・人文知識・国際業務」ビザの範囲

自然科学分野や人文科学分野といっても少し抽象的だと思います。

ここでは「技術・人文知識・国際業務」ビザの該当範囲を具体的にみていきましょう。

対象となる職種一覧

「技術・人文知識・国際業務」の対象となる職種は多岐にわたるため、全てを記載することができません。ここで挙げる職種はあくまでも一例です。

  • システムエンジニア
  • ゲームエンジニア
  • プログラマー
  • プロジェクトマネージャー
  • 建築設計
  • 研究開発
  • 営業
  • 会計/経理
  • 総務/人事
  • 法務
  • 広報
  • 貿易
  • コンサルタント
  • 通訳/翻訳
  • 語学教師
  • インテリアデザイナー
  • ファッションデザイナー
  • 海外取引業務

このように多くの職種が「技術・人文知識・国際業務」に該当することがお分かりになると思います。日本で働く多くの外国人が「技術・人文知識・国際業務」をもっているのは、多くの職種がこのビザに含まれるからです。

対象となる業務範囲

「技術・人文知識・国際業務」でできる業務は、自然科学分野や人文科学分野の専門的技術や知識を必要とする業務または外国人特有の感性を必要とする業務であることを解説しました。

これらは、在留資格の名称が示すように「技術」(自然科学分野)、「人文知識」(人文科学分野)、「国際業務」(外国人特有の感性)の3つに分けられます。それぞれどのような業務が該当するのか具体例をみていきましょう。

「技術」

  • ゲームメーカーでゲームの開発
  • ソフトウェア開発会社でシステムエンジニア
  • 土木建設会社で研究開発、設計業務

「人文知識」

  • 法律事務所で弁護士補助業務
  • 食品会社で商品開発、マーケティング業務
  • コンサルタント会社でコンサルティング業務

「国際業務」

  • 語学学校で語学教師
  • 輸入販売会社で通訳や翻訳業務
  • アパレル会社でファッションデザイナー

具体例をそれぞれの分野で分類しましたが、実際にビザ申請をする際にはどの分野に該当するかを細かく考える必要はありません。ホテルのフロントで通訳・翻訳業をしながら予約管理やコンシェルジュ業務を行うような分野をまたがって業務に従事しても、総合的に「技術・人文知識・国際業務」に該当すれば問題ありません。

「技術・人文知識・国際業務」ビザの申請の流れ

ここでは在留資格認定証明書交付申請を例に手続きの流れをみていきましょう。

流れを図にすると以下のようになります。

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海外から外国人を呼び寄せるには、在留資格認定証明書交付申請を行います。

申請要件を満たすことを確認し、必要な書類を準備して、入管で申請を行いましょう。外国人は日本にいないため、申請は雇用する企業が行います。審査期間は1ヶ月から3ヶ月が標準処理期間とされています。

在留資格認定証明書が交付されたら外国人に送付します。在留資格認定証書をもって日本大使館・領事館で査証申請を行い、査証が発給された後に日本に入国という流れです。

在留資格認定証明書については、こちらの記事もお読みください。

「技術・人文知識・国際業務」ビザの申請要件詳細

「技術・人文知識・国際業務」の要件は、大きく分けて次の4つがあります。それぞれ詳しく解説していきましょう。

  • 日本企業との契約
  • 学歴または実務経験要件
  • 業務内容との関連性
  • 日本人と同等額以上の報酬

日本企業との契約

外国人と日本で就労する企業との間で、雇用契約や委任契約など継続的な契約が必要です。契約が継続的なものでない場合は、「技術・人文知識・国際業務」に該当しません。この場合、個人事業主として「経営・管理」に該当する可能性があります。

また、契約締結にあたっては、労働基準法15条第1項の規定に従って、外国人に対して賃金や労働時間、その他の労働条件を書面で明示しなければなりません。労働条件通知書などにより、必ず外国人に対して書面で明示しましょう。
(参考:労働基準法

当然ながら、契約内容は日本の労働基準法に基づいていなければなりませんので、勤務時間や有給休暇など、法律に抵触しないように進めてください。

契約締結については、日本人との労働契約と同じですので、外国人という理由で条件面で不当に差別してはいけません。

学歴または実務経験要件

外国人は大卒以上、つまり「学士」かそれと同等以上の学歴を有していなければなりません。大学院を卒業して「修士」や「博士」の学位を持っている方は当然要件を満たしますが、「短期大学」を卒業して、「準学士」や「短期大学士」を持っている方も「学士」相当とみなされます。

ただし海外の学校を卒業している場合は注意が必要です。海外の大学を卒業している場合も日本の大学と同様の扱いですが、国によって教育制度が違うため、単純に大卒以上と判断できないことがあります。

例えば、中国の大学を卒業した場合、卒業証書を持っていても学位証書を持っていなければ大学卒業以上とみなされず、要件を満たしません。

学歴要件は大卒以上と説明してきましたが、日本の専門学校を卒業し、「専門士」または「高度専門士」を取得している場合は、学歴要件を満たすことになります。専門学校を卒業しても「専門士」や「高度専門士」が与えられない場合もありますので、日本の専門学校を卒業した外国人を採用する場合には注意しましょう。

日本の専門学校に限定されていますので、海外の専門学校を卒業していても学歴要件を満たしません。

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学歴要件を満たしていない場合であっても、10年以上の実務経験があれば要件を満たします。この年数には、大学や専門学校、高校などで、従事する業務内容に関する技術や知識を学んだ期間も含まれます。例えば、日本でプログラマーとして働く方が、外国の専門学校で2年間プログラミングを学び、その後8年間プログラマーとして働いていたような場合です。

申請時には職歴を立証する資料として、これまでに在籍した企業からの在籍証明書を提出しなければなりません。一つの会社に10年間勤務している場合は1社分の在籍証明書で良いですが、転職を繰り返している方ですと複数の会社からの在籍証明書が必要になり、学歴要件よりもハードルが上がることがあります。

さらに、学歴要件や実務経験要件を満たしていなくても、エンジニアの方で情報処理に関する資格を持っていれば、この要件を満たすことが可能です。日本の資格だけでなく、中国、韓国、台湾、タイなどの資格も対象となっています。出入国在留管理局のホームページに対象資格の一覧がありますのでご覧ください。

(参考:出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令の技術・人文知識・国際業務の在留資格に係る基準の特例を定める件

業務内容との関連性

企業で行う業務内容と大学や専門学校などで学んだ専攻科目が関連していることも必要です。ただ、専攻科目と業務内容が一致していることまでは求められません。

特に、大学を卒業している場合は、専攻科目と業務内容の関連性は柔軟に判断されます。特段の事情がない限り、大学を卒業していることをもって、業務内容との関連性があると認められるので、大学の経済学部を卒業した方が、ソフトウェア開発会社でシステムエンジニアとして勤務するような場合であってもこの要件を満たすことになります。

一方で、専門学校を卒業している場合は、専攻科目と業務内容に相当程度の関連性が求められます。例えば、美容科を卒業した方が、化粧品販売会社で美容製品の商品開発やマーケティング業務に従事する場合や、アニメーション科でゲーム理論、CG、プログラミングなどを学んだ方がゲーム開発業務に従事するような場合です。

ただし、2024年2月29日の改正により専門学校でも認定専修学校専門課程の卒業者は、大卒者と同じように専攻科目と業務内容の関連性が柔軟に判断されるようになりました。

このように専門学校を卒業している方を雇用する場合は、「専門士」や「高度専門士」の有無だけでなく、専攻科目も確認する必要があります。

専攻科目と業務内容が必ずしも一致していることが求められないとはいえ、自然科学分野、人文科学分野、外国の文化に基盤を有する思考または感受性を必要とする業務に従事しなければなりませんので、単純作業と呼ばれるような業務に従事することはできませんので注意しましょう。

日本人と同等額以上の報酬

入管法では、「〇〇円以上」といった基準はなく、「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上」という少し曖昧な基準が定められています。そのため、〇〇円以上あれば要件を満たすというものではなく、企業の賃金体系を基に日本人と同等額以上であるかで判断します。

例えば、日本人の大卒の新卒者の報酬額が25万円であれば、外国人の大卒新卒者の報酬も25万円以上でなければなりません。

なお、報酬にはボーナスなどは含まれますが、通勤手当や住宅手当といった実費弁償の性格をもつものは含まれません。

申請が必要なタイミングや費用

「技術・人文知識・国際業務」には在留期間があります。入管の審査によって、「3月」「1年」「3年」「5年」のいずれかが決定されます。

在留期間を超えて日本で就労・在留していくには、在留期間更新許可申請が必要です。在留期間更新許可申請は、原則として在留期限日の3ヶ月前から入管に申請することができます。在留期限を超えてしまうとオーバーステイになってしまいますので、在留期限前までには必ず申請を行いましょう。

オーバーステイについては、こちらの記事もお読みください。

また、入管に申請する費用は無料ですが、許可を受ける際には4,000円を入管に支払わなければなりません。この費用は現金ではなく、収入印紙で支払う必要があります。

必要書類

ここでは在留資格認定証明書交付申請で必要な書類をみていきます。必要書類はカテゴリーによって異なります。

 

全カテゴリー共通
カテゴリーを証する資料
申請書
顔写真
パスポート


カテゴリー1、2の企業であれば、カテゴリーを証する文書、申請書、顔写真、パスポートコピーだけで申請ができます。

 

カテゴリー3カテゴリー4
労働条件通知書
履歴書
卒業証明書/在職証明書/資格証明書
登記事項証明書
事業内容を明らかにする資料
決算文書事業計画書
給与支払事務所等の開設届出書
直近3ヶ月の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書/
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書


カテゴリー3、4の企業になると外国人の卒業証明書や会社の登記事項証明書なども必要です。

例えば卒業証明書など、手元にない書類があると取得に時間がかかることがあります。また外国人や雇用する企業の状況やバックグラウンドによっても、入管が案内している以外の書類を準備しなければならないこともあります。そのような場合はさらに準備に時間が必要です。申請までに十分時間に余裕をもって準備しましょう。

入管で審査をスムーズに進めてもらうためには、必要書類を過不足なく揃えて提出しなければなりません。必要書類を過不足なく提出することは、入管法の知識がなければ難しいです。申請に不安があるときは、行政書士などの専門家に相談するのも必要でしょう。

カテゴリーについてはこちらの記事もお読みください。

「技術・人文知識・国際業務」ビザ取得で注意すべきポイント

ここでは「技術・人文知識・国際業務」ビザで注意しなければならないポイントを解説します。

資格外活動許可が必要なケース

近年では、副業を認める企業も増えてきて、本業とは別に副業をしようとする方も少なくないはずです。

外国人が在留資格で認められている活動の範囲外の業務を副業で行おうとする場合、資格外活動許可が必要になります。

例えば、企業でITエンジニアとして働いている人が、大学などで講義を行うような場合です。大学で教えることは「教授」の在留資格の活動内容になり、「技術・人文知識・国際業務」の範囲外の活動になるため、資格外活動許可を申請しなくてはなりません。

資格外活動許可は、本来の活動を妨げるものではない範囲で認められますので、副業がメインにならないように注意しましょう。また、単純労働などは認められないため、コンビニなどで働くことはできません。

一方で、「技術・人文知識・国際業務」の範囲内の範囲で副業を行う場合は、資格外活動許可は不要です。例えば、企業で翻訳や通訳を行っている人が、副業で翻訳・通訳を行う場合は、資格外活動許可を取得する必要はありません。

単純労働に該当するケース

前述したように、「技術・人文知識・国際業務」でできる業務は、自然科学分野や人文科学分野の専門的技術や知識を必要とする業務または外国人特有の感性を必要とする業務です。

一方で、単純労働と言われる特段の技術または知識を要しない業務や反復訓練によって従事可能な業務は行うことができません。例えば、工場でのライン業務や店舗での接客、販売業務などが当たります。

ご相談を受けることが多いのが、アルバイトとして働いてもらっている留学生に卒業後も正社員として働いてもらいたいという相談です。例えばアルバイトとして行っていたコンビニでのレジ打ちや品出しを、正社員として採用後もそのまま続けてもらいたいといったご相談がありますが、レジ打ちや品出しは単純労働に当たるため、そのままの業務内容では「技術・人文知識・国際業務」で申請できません。正社員として採用後、「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務内容に変更する必要があります。

「技術・人文知識・国際業務」で申請する際は、業務内容は慎重に検討した方がよいでしょう。

ただ、単純労働に該当するような業務内容でも、新卒社員などに対して行われる実務研修の一環として行われるものであれば、「技術・人文知識・国際業務」の該当性があると判断されることもあります。ビザ申請の際には、研修期間や研修計画などから総合的に判断され、研修期間が長すぎる場合や日本人と異なる計画の場合は認められないこともありますので、注意しましょう。

異動に伴う業務変更があるケース

雇用している外国人の職務内容が、その外国人がもっている在留資格で認められる範囲内であれば、職務内容や役職が変更した場合でも在留資格の変更は必要ありません。「技術・人文知識・国際業務」をもつ外国人が営業から人事に異動するような場合は、在留資格の変更は不要です。

しかし「技術・人文知識・国際業務」で働いていた外国人が、昇進などによって部長などの管理職や経営者となった場合には、「経営・管理」の在留資格に変更する必要があります。

また前述したように、日本の専門学校を卒業している外国人の場合、専門学校の専攻科目と業務内容に相当程度の関連性が求められます。業務内容の変更によって専攻科目との関連性がない業務に従事することになった場合、「技術・人文知識・国際業務」の該当性がなくなり、更新申請などで不許可になってしまう可能性もあるでしょう。

業務変更に際して、在留資格の該当性に不安がある場合は、専門家に相談することをお勧めします。

在留資格「特定技能」が適しているケース

「特定技能」とは、人手不足が深刻化しており、人材確保が困難な産業上の分野において、外国人を受け入れるための在留資格です。

「特定技能」であれば、単純労働を含む業務に従事することもできます。ただし、どのような業務でもできるわけではありません。本記事執筆時点で、「特定技能」が取得できるのは以下の12分野(「特定技能2号」は介護を除く11分野)に限定されています。

 

特定産業分野(12分野)
介護、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業

*今後、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の4分野の追加が決定しています


また、分野ごとに従事できる業務内容が決められています。例えば、外食業であれば調理、接客、店舗管理といった業務、宿泊業であればフロント、企画・広報、接客及びレストランなどでのサービス提供などの業務です。宿泊業でベッドメイキングのみに従事するような場合は認められませんので、どんな業務でも行えるわけではないことに注意しましょう。

「特定技能」は多くの要件がありますので、詳しくはこちらの記事もお読みください。

このように、自社が特定産業分野に属していて、業務内容に単純労働が含まれる場合は「特定技能」も検討しましょう。

在留資格「特定活動(46号)」が適しているケース

「特定活動(46号)」とは、日本の大学を卒業し、大学で修得した知識や高い日本語能力を活かして、幅広い業務に従事するための在留資格です。

「特定活動(46号)」では、日本語を使用し、大卒以上の知識や能力が必要となる業務に従事すれば単純労働を行うことも認められます。飲食業であれば、店舗やスタッフを管理する業務及び外国人客に対する通訳を兼ねた接客業務や日本人客に対する日本語を使用した接客業務などが該当します。日本語の使用や大卒以上の知識が必要な業務を行う必要があるため、厨房で調理や清掃などのみを行うことはできません。

日本の大学を卒業して高い日本語能力をもつ外国人を雇用して、一部の単純労働にも従事してもらう場合は「特定活動(46号)」での申請も検討しましょう。

「特定活動(46号)」については、こちらの記事もお読みください。

「技術・人文知識・国際業務」ビザの許可事例・不許可事例

ここでは、「技術・人文知識・国際業務」ビザの許可・不許可事例をみていきましょう。

許可事例

以下は、リガレアスで「技術・人文知識・国際業務」ビザの許可を受けた事例になります。

設立したばかりの会社で、最初の社員が外国人のケース

設立したばかりの会社で最初の社員が外国人の場合、前述したビザ申請要件以外にも審査される項目があります。その審査項目はケースバイケースになりますが、その外国人を雇用する必要性や外国人が継続的に行う業務の有無、また給料を支払っていけるかどうかの資金面などです。

この事例では、会社のメインの事業内容が中国との取引で、雇用する方が中国人でした。その方は中国語と日本語に堪能で、日本での勤務経験も10年以上あり、それまでの職歴と雇用される会社での業務内容の関連性があったため、経歴書や日本での業務内容を説明しました。また、事業計画書により資金計画や経営計画などを説明して許可を得たケースです。

学歴要件を満たしていないケース

「技術・人文知識・国際業務」では、要件の一つに学歴要件があります。

雇用された外国人の履歴書に学歴として大学名と卒業年が書かれていたため、会社も大卒以上と思い採用しましたが、実際にビザ手続きになった際、卒業証明書の提出ができず、大学を卒業していないことが判明した事例です。

学歴要件を満たさない場合は、実務経験が10年以上あることを立証する必要があります。またその実務経験が日本での業務内容と関連性がなければなりません。この事例では、外国人の方が若く、職務経験だけでは10年を満たさなかったため、大学の経験を含めて立証する必要がありました。そこで、大学の成績証明書でどのような科目を履修したかを立証し、在籍した会社から在籍証明書を取得して、期間や業務内容を立証して許可を受けました。また、成績証明書の科目名だけでは業務内容との関連性が分かりにくかったため、補足説明をしたケースになります。

不許可事例

リガレアスでは、「技術・人文知識・国際業務」での不許可事例がありません。ご相談を受けた時に申請要件を満たさない場合には申請をしないようにアドバイスしていることも要因の一つだと思います。

ここでは、自社で申請を行い、不許可になってしまったためご相談にこられた事例を紹介します。

単純労働による不許可

海外取引業務を行う外国人として申請をしましたが、不許可となった事例です。

日本語と英語を使用して、海外の取引先との取引業務をメインとしていましたが、入管からは一日8時間行うほどの十分な業務内容ではないと判断され不許可となりました。また海外取引業務以外にも、倉庫での作業や清掃業務なども行わせる予定でした。このことからも海外取引業務の割合は少なく、倉庫での作業や清掃作業などの単純労働がメインになっていると判断されたと思われます。

このように、「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務を行う場合でも、その業務の割合が少ないと不許可になってしまうことがあります。外国人を雇用する必要性や十分な業務量があることを確認した上で申請する必要があるでしょう。

留学生時代の資格外活動許可違反による不許可

新卒で留学生を雇用し、在留資格変更許可申請を行なったが、不許可となった事例です。

留学生が資格外活動許可でアルバイトをすることができるのは、原則として1週間に28時間以内です。しかし、留学生は大幅に時間を超えてアルバイトしていたことが審査中に判明したため、在留状況不良として不許可となりました。

「技術・人文知識・国際業務」の申請要件は満たしていたものの、在留状況が悪いと不許可になることがあります。企業が採用時に在留状況を確認することは難しいとは思いますが、このようなことでも不許可になってしまう可能性があることは、認識しておく必要があるでしょう。

さいごに

ここまで「技術・人文知識・国際業務」でできる職種や取得の要件、注意点や事例などを解説してきました。「技術・人文知識・国際業務」について網羅的にご理解いただけたと思います。

「技術・人文知識・国際業務」の取得要件は一見シンプルですが、掘り下げていくと慎重に判断しなければならないこともあります。これまで問題なく申請を行なっていた場合であっても、在留資格をしっかりと理解できていないと、不許可を受けてしまうこともあるでしょう。不許可を受けてしまうと再申請は非常に難しくなりますし、採用計画なども狂ってしまいますので、申請は慎重に進めたいものです。

リガレアスでは、申請要件の確認から不備のない書類作成まで、ビザ手続きがスムーズに進むようサポートしております。

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