リガレアス行政書士事務所の広瀬(@tatsu_ligareus)です。

国内の留学生でアルバイトをしている方は多くいます。日本学生支援機構が行なった調査によると、留学生がアルバイトを行う職種として多いものは、飲食業35.0%、営業・販売(コンビニ等)30.2%、工場での組立作業6.1%です。

(参考:令和3年度私費外国人留学生生活実態調査

このようにアルバイトで勤務している外国人留学生を学校卒業後もそのまま雇用したいと思う企業は少なくないでしょう。実際に当事務所にもそのようなお問い合わせを多くいただきます。

以前、このような職種では外国人が就労の在留資格を取得することはできませんでしたが、2019年に「特定活動(46号)」が制定されたことにより、このような職種での就労が可能になりました。

そこで今回は、留学生の採用を検討されている企業の方に向けて「特定活動(46号)」について解説したいと思います。

本記事をお読みいただければ、「特定活動(46号)」とはどのような在留資格で、一般的な就労資格である「技術・人文知識・国際業務」との違いがご理解いただけるはずです。

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特定活動46号とは?

日本の大学などを卒業した留学生が、大学などで修得した知識や高い日本語能力を活かして、日本の企業で幅広い業務に従事するための在留資格です。

一般的なサービス業務や製造業務などに従事することもでき、これまで「技術・人文知識・国際業務」では認められなかった業務でも、「特定活動(46号)」であれば外国人を雇用することができます。

 

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特定活動46号が制定された背景

日本再興戦略改訂2016」において、留学生の日本国内での就職率を3割から5割に向上させることを目指すことが閣議決定されました。

また、当時の入管法では、飲食店や小売店でのサービス業務や製造業務などがメインの場合、就労目的の在留資格が認められていませんでしたが、インバウンド需要の高まりや、日本語能力が不足する外国人社員や技能実習生への橋渡し役としての期待もあり、大学などで知識を修得し高い日本語能力を持つ留学生は、幅広い業務において採用ニーズが高まっていました。

このような背景から、2018年12月25日の関係閣僚会議において「外国人材受入れ・共生のための総合的対応策」が了承され、留学生の就職支援の観点から、大学などを卒業する留学生が就職できる業種の幅を広げるため、2019年5月に「特定活動(46号)」が制定されることになります。

特定活動46号の要件

ここからは「特定活動(46号)」の申請要件をみていきましょう。大きく「学歴」、「日本語能力」、「業務内容」、「契約・報酬」の4つに分けて解説します。

学歴

以下の学歴の人が対象となります。

  • 日本の大学を卒業した人
  • 日本の大学院を修了した人
  • 日本の短期大学、高等専門学校を卒業して、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構が行う審査に合格して学士の学位を授与された人
  • 日本の専門学校の認定専修学校専門課程を卒業して高度専門士の称号を得た人

日本での経験を活かすという目的の在留資格であるため、海外の大学や大学院を卒業していても要件を満たすことにはなりません。また日本の専門学校であっても認定専修学校専門課程でない人も対象外となります。

日本語能力

日本語能力N1またはBJT日本語能力テストで480点以上を取得していることが必要です。ただし、大学または大学院で「日本語」を専攻して卒業した場合は、日本語の試験に合格していなくても要件を満たします。いずれにしても非常に高い日本語能力が求められます。

外国の大学や大学院で「日本語」を専攻して卒業した場合も日本語能力の要件を満たすことになりますが、併せて日本の大学または大学院を卒業していなければなりません。

ここでいう「日本語を専攻」とは、日本語に係る学問(日本語学や日本語教育学など)に関する学部・学科、研究科などに在籍して専門的に履修していることをいいます。

日本語能力試験やBJT日本語能力テストについては、以下の記事もお読みください。

業務内容

業務内容のポイントは以下の2つです。

  • 日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務
  • 日本の大学などで修得した学修の成果を活用するもの

「日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務」とは、単に作業指示や業務マニュアルを理解して行うだけの業務は該当せず、通訳を兼ねた外国人観光客対応や日本語能力が低い他の外国人社員に対する指導などが含まれた、他者と双方向のコニュニケーションが必要とされるような業務をいいます。

また、「日本の大学などで修得した学修の成果を活用するもの」とは、一般的に大学などで修得する知識が必要となる商品企画、技術開発、営業、管理業務、企画業務(広報)、教育などの業務です。

つまり、日本語を使用して単純労働と言われる業務に従事するとともに、大卒以上の知識や能力が必要となる業務などに従事することが必要となります。

この説明だけではわかりにくいと思いますので、具体的な業務内容については後述します。

なお、日本語を使用した幅広い業務に就くことが認められる在留資格ですが、ゲームセンターやパチンコ店など、風営法に関連する業務は認められません。さらに、業務独占資格を要する業務(医師や弁護士など)も行うことができませんので注意しましょう。

契約・報酬

常勤職員としてフルタイムで働くことが必要で、短時間のパートタイムやアルバイトでの勤務は認められませんし、派遣社員として派遣先で働くこともできません。

また、その他の就労の在留資格と同様に、日本人と同等額以上の報酬を受ける必要があります。ただし、他の職員より語学力が高く採用されたことを背景としている場合には、それが加味された報酬額になっていることや、すでに出国した元留学生が海外などで経験を積んでいる場合には、その経験に応じた報酬が支払われることになっていることなど、報酬額も細かく審査されます。

技術・人文知識・国際業務との違い

「特定活動(46号)」は、一般的な就労の在留資格である「技術・人文知識・国際業務」と申請要件や業務内容などが近いものがあります。ここでは、「特定活動(46号)」と「技術・人文知識・国際業務」の違いを比較してみましょう。

「特定活動(46号)」と「技術・人文知識・国際業務」の比較

まずは、違いがひと目でわかるように以下の比較表をご覧ください。「特定活動(46号)」と「技術・人文知識・国際業務」どちらの在留資格で申請するのが適切か判断いただく参考にしていただけます。

 

特定活動46号技術・人文知識・国際業務
学歴要件日本の大学・大学院を卒業

日本の短大・高専を卒業して、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構が行う審査に合格して学士の学位を取得

日本の専門学校の認定専修学校専門課程を卒業して高度専門士の称号を取得

短大・大学(海外の大学含む)卒業以上

日本の専門学校卒業

日本語要件N1またはBJT480点以上なし
業務内容単純作業+日本語を使用+大卒以上の知識や
能力が必要な業務
大卒以上の知識や能力が必要な業務
(原則単純作業不可)
在留期間5年、3年、1年、6ヶ月、3ヶ月
更新可
5年、3年、1年、3ヶ月
更新可
転職(在留資格変更許可申請必要)(「所属機関に関する届出」提出必要)

 

上記で比較した項目について、次からそれぞれ解説していきます。

申請要件

「技術・人文知識・国際業務」では、「専門士」を取得していれば認定専修学校専門課程でなくても認められ、海外の大学、大学院、短期大学の卒業生も認められます。

一方で「特定活動(46号)」では、日本の大学や大学院を卒業した人、日本の短期大学や高等専門学校を卒業して、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構が行う審査に合格して学士の学位を取得した人、日本の専門学校の認定専修学校専門課程を卒業して高度専門士の称号を取得した人のみ要件を満たします。日本の大学卒業と同等程度の学歴が求められているということでしょう。

さらに、「特定活動(46号)」は、日本語試験の合格または「日本語」を専攻していることが必須ですが、「技術・人文知識・国際業務」では日本語能力は問われず、極端にいえば、日本語が全く話せなくても取得することが可能です。

このように、学歴や日本語能力など、「特定活動(46号)」は外国人に対して「技術・人文知識・国際業務」より厳しい要件が課されていると言えます。

業務内容

「特定活動(46号)」では、日本語を使用する業務でなければならず、また大卒以上の知識や能力が必要となる業務に従事すれば単純作業を行うことも認められます。

一方で「技術・人文知識・国際業務」は、大卒以上の知識や能力が必要となる業務に従事することが求められ、単純作業に従事することは認められません。また、必ずしも日本語を使用する業務を行わなければならないわけではなく、英語や多言語で就業することも可能です。

このように、「特定活動(46号)」では、日本語を使用する業務であることと単純作業が認められることという点で「技術・人文知識・国際業務」と異なります。

在留期間

「特定活動(46号)」の在留期間は、5年、3年、1年、6ヶ月、3ヶ月のいずれかが与えられますが、「特定活動(46号)」取得時と初回の更新時は、原則「1年」のみが許可されます。

一方で、「技術・人文知識・国際業務」の在留期間は、5年、3年、1年、3ヶ月で、雇用する企業や雇用期間によっては、初回から5年が与えられるケースもあります。

いずれの在留資格も在留期間の更新は可能で、更新回数に制限はありません。

転職

「特定活動」は許可が下りるとパスポートに「指定書」が貼られます。「指定書」では勤務先が記載され、勤務先が指定されるため、「特定活動(46号)」を持っている方が、別の会社に転職する場合は、同じ業務内容であっても「特定活動(46号)」へ在留資格変更許可申請をしなければなりません。

「技術・人文知識・国際業務」の場合、同じ業務内容であれば転職の際に在留資格を変更する必要はなく、同じ「技術・人文知識・国際業務」のまま働くことができます。前職を辞めて14日以内及び転職先に入社して14日以内に、入管に「所属機関に関する届出」を提出するだけでよいです。

「技術・人文知識・国際業務」について、詳しくはこちらの記事もお読みください。

特定活動46号が適用される具体的な仕事例

「特定活動(46号)」でどのような業務が認められるかわかりにくいと思いますので、ここでは、具体的な業務の例をみていきましょう。

飲食店

店舗やスタッフを管理する業務及び外国人客に対する通訳兼ねた接客業務や日本人客に対する日本語を使用した接客業務。厨房で調理や清掃などのみを行うことはできません。

工場

日本人の管理者と日本語を使用してコミュニケーションを取り、技能実習生や外国人従業員に対して指導を行う業務及びラインに入っての作業。ラインに入って、指示された業務のみを行うことはできません。

小売店

仕入れや商品企画、外国人客に対する通訳兼ねた接客業務や日本人客に対する日本語を使用した接客業務。商品の陳列や清掃業務のみを行うことはできません。

宿泊施設

外国語によるホームページ制作などの広報業務及び外国人客への通訳を兼ねたベルスタッフ業務や日本人客に対する日本語を使用した接客業務。客室清掃業務のみに従事することはできません。

タクシー会社

集客のための企画立案業務や通訳を兼ねた観光案内を行うドライバーとしての業務。日本人客に対する通常のタクシードライバーとしての業務も可能です。車両の整備や清掃のみを行うことはできません。

介護

技能実習生や外国人従業員の指導業務及び日本語を使用して日本人施設利用者に対する介護業務。介護施設内の清掃や衣服の洗濯のみを行うことはできません。

上記はあくまでも一例ですが、高い日本語能力を活かし、大学などで得た専門的な知識を要する業務に従事しながらも単純作業を行うことができる業務のイメージがついたかと思います。

特定活動46号で在留する外国人を雇用する際の注意点

在留資格変更許可申請が必要

「留学」を持っている留学生を採用する際や、「技術・人文知識・国際業務」を持って別の企業で働いている外国人を採用する際は、当然ながら「特定活動(46号)」への変更は必要です。

前述のように、もし他の企業で「特定活動(46号)」を持って働いている人を雇用する場合も、同様に在留資格変更許可申請を行わなければなりません。これは「特定活動(46号)」が許可される際、パスポートに「指定書」が貼られて勤務先が指定されるためで、申請する在留資格は同じ「特定活動(46号)」ですが、「更新」ではなく「変更」になりますので注意しましょう。

アルバイト留学生の正社員採用

アルバイトで雇用していた留学生をそのまま正社員として迎える際には、従事してもらう業務内容に注意しなければなりません。「特定活動(46号)」では単純作業を行うことが認められますが、大学などで修得した専門性を活かした業務を行う必要があります。

例えば、スーパーでレジ打ちや陳列のみを行なっていた留学生を正社員として採用する際は、アルバイトで行なっていた同じ業務は認められず、店舗管理や広報業務などを行いながらレジ打ちなどの接客業務に従事してもらうことになります。

家族がいる場合

「特定活動(46号)」は、家族を帯同することが可能です。

「留学」や「技術・人文知識・国際業務」をもって在留している外国人の家族は「家族滞在」の在留資格ですが、「特定活動(46号)」の家族の在留資格は「特定活動(47号)」になります。

そのため、「留学」や「技術・人文知識・国際業務」をもつ外国人を雇用し、その外国人に家族がいる場合は、社員だけではなく家族の在留資格も変更しなければなりません。外国人の家族=「家族滞在」と思っている方も多いと思いますので注意しましょう。

なお、「特定活動(47号)」を持つ外国人も資格外活動許可を取得すればアルバイトをすることは可能です。

資格外活動許可については、以下の記事もお読みください。

さいごに

ここまで「特定活動(46号)」について解説してきました。「技術・人文知識・国際業務」とは異なり、高い日本語能力が求められる一方で、幅広い業務内容に従事することができることなど、「技術・人文知識・国際業務」との違いや「特定活動(46号)」の特徴がお分かりいただけたかと思います。

日本語能力がネックで採用に至らなかった企業やこれまでアルバイトで働いていた留学生をそのまま採用したい企業にとって、「特定活動(46号)」は積極的に利用できる在留資格になるのではないでしょうか。

しかし、今回説明した「特定活動(46号)」と「技術・人文知識・国際業務」のように、どの在留資格に該当するかを見極めて申請を行うのは簡単ではないと思います。

リガレアスでは、コンプライアンス上問題がないように、外国人採用時の在留資格に関するコンサルテーションや申請などをトータルでサポートしています。

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