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日本で働く外国人にとってビザが重要な理由|行政書士が求められる背景も併せて解説

リガレアス行政書士事務所の広瀬です。

グローバルな時代の今、日本でも外国人の姿が珍しくなくなりました。法務省が発表した2019年末時点での在留外国人数は過去最高の293万人です。

在留外国人数の推移(総数)

画像引用元:法務省ホームページ

上記の表の通り、2012年以降日本の在留外国人数は毎年増加を続けており、来年にオリンピックも控え、今後も多くの外国人が日本で在留すると予想されます。

海外に住んだことがある方はご経験があると思いますが、外国人が別の国に住む場合は必ずビザが必要で日本も同様です。

今回は、在留する外国人にとってなぜビザが重要なのかを詳しく解説します。また、就労する外国人を雇用する企業側の責任やビザに関する我々行政書士の役割についても解説します。

日本に在留する外国人はなぜビザが必要なのか?

日本に在留する外国人にビザが必要な理由は、「出入国管理及び難民認定法」(以下、入管法)という法律で定められているからです。入管法では正確には「ビザ」ではなく「在留資格」と呼ばれます。

日本に在留する外国人は原則、在留資格が必要と入管法で規定されており、在留資格がなければ日本に在留することはできません。

よく観光や出張で1週間程度の短期滞在の場合はビザが必要ないと認識されている方がいますが、必ず「短期滞在」という在留資格が必要です。例えばアメリカのような査証免除、いわゆる「ビザなし」と言われる国から日本に入国する場合でも、外国人には空港で「短期滞在」の在留資格が付与されています。このように滞在期間や目的を問わず、外国人が日本に入国・在留する場合には、ビザが必要であることは変わりません。

外国人にとってビザが重要な理由

ここまでの解説で、外国人が日本に在留するためには、在留資格が必要であることは理解していただけたかと思います。次に外国人にとってビザ=在留資格が重要な理由を解説します。

在留資格とは、外国人が日本に入国・在留して従事することができる活動、あるいは身分・地位に基づいて分類されたものです。現在は29種類の在留資格があります。

<就労が認められる在留資格>

在留資格該当例
外交外国政府の大使、公使及びその家族
公用外国政府の大使館、領事館の職員及びその家族
教授大学教授
芸術作曲家、画家、写真家
宗教外国の宗教団体から派遣される宣教師、神父
報道外国の報道機関の記者、カメラマン
高度専門職ポイント制による高度人材
経営・管理企業の経営者、管理者
法律・会計業務弁護士、公認会計士
医療医師、看護師、薬剤師
研究政府関係機関や企業の研究者
教育中学校、高等学校の語学教師
技術・人文知識・国際業務エンジニア、通訳、デザイナー
企業内転勤海外からの転勤者
介護介護福祉士
興業プロスポーツ選手、演奏家、モデル
技能外国料理の調理師、パイロット、スポーツ指導者
特定技能特定産業分野に属する技能を要する外国人
技能実習技能実習生

<就労が認められない在留資格>

在留資格該当例
文化活動日本文化の研究者
短期滞在観光客、会議参加者
留学大学、専門学校、日本語学校の生徒
研修研修生
家族滞在在留外国人が扶養する配偶者や子供

<身分・地位に基づく在留資格>

在留資格該当例
永住者永住の許可を受けた者
日本人の配偶者等日本人の配偶者や子供
永住者の配偶者等永住者の配偶者や子供
定住者日系3世、外国人配偶者の連れ子

企業のエンジニアとして働く場合は「技術・人文知識・国際業務」、大学で教える場合には「教授」、プロスポーツ選手の場合は「興業」というように活動する内容によって在留資格が決まっており、活動内容に該当する在留資格を持っている必要があります。

「技術・人文知識・国際業務」を持っている外国人がプロスポーツ選手として活動することや、「興業」を持っている外国人がエンジニアとして働くことはできません。もし認められた在留資格に該当する活動を行わず、別の活動を行っている場合には、不法就労にあたり在留資格取消事由に該当するため、持っている在留資格が取り消されてしまいます。

また、活動内容によっては在留資格がないものもあります。当然ですが、該当性がない活動内容では在留資格が取得できないため、日本に在留することはできません。

例えば、美容師として働くことができる在留資格は存在しないため、その活動内容で在留資格を取得することはできません。留学生として日本の美容専門学校を卒業し技術があったとしても、活動内容に該当する在留資格が存在しないため、日本での就労を諦めなければならなくなります。

さらには、外国人には在留資格が付与されるのと同時に在留期間も決定されます。在留期間とは、在留資格をもって在留する外国人が日本に在留することができる期間のことです。

在留期間を超えて日本で活動を続ける場合には、在留期間更新許可申請が必要になります。その期間を更新せずに在留期間を超えてしまうとオーバーステイ(不法残留)になってしまい、退去強制に該当してしまいます。不法残留が理由で日本を退去させられた場合、一定期間日本に入国することができません。

このように、日本での活動内容と在留資格の関連性や在留期間など、日本に在留する外国人にとってビザは非常に重要なものとなります。

雇用主の責任

ビザについて気をつけていなければいけないのは外国人本人だけでなく、外国人を雇用する企業も同様です。

上記の在留資格一覧表で示したように、日本で就労が認められない在留資格もあります。もし、就労が認められない在留資格を持っている外国人を雇用してしまうと雇用した企業は不法就労助長罪に該当してしまいます。

他にも活動内容に該当しない在留資格を持っている外国人を雇用してしたり、在留期限が切れている外国人を雇用してしまうと不法就労助長罪に該当し、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金が科せられます。

更にハローワークへの届出をしなかったり、虚偽の届出をした場合には30万円以下の罰金が科されるなど、企業も雇用する外国人のビザについて気をつけなければなりません。

なお、就労が認められない在留資格でも「資格外活動許可」を取得すれば働くことができます。

資格外活動許可とは、就労が認められない在留資格を持っている外国人が報酬を受ける活動を行おうとする場合に必要な許可で、資格外活動許可を持っていれば1週間に28時間以内で働くことができます。

外国人を雇用する企業は雇用する前に、活動内容に該当する在留資格を持っている外国人であるかまたは就労が認められない在留資格でも資格外活動許可を持っている外国人であるか、さらに在留期限が切れていないかを必ず確認しなければなりません。

雇用した後も外国人が在留期間更新申請を忘れ、オーバーステイになっても不法就労に該当します。外国人個人の問題と捉え本人任せにするのではなく、雇用した後も企業が定期的に在留期間を確認する必要があります。

万一オーバーステイになったとしても、就業規則等に在留期間が更新できなかった場合には退職とすることを規定していない場合には、オーバーステイになった外国人を一方的に解雇することはできません。

このように企業側でも外国人を雇用する場合は注意が必要です。罰則規定もあり「知らなかった」では済まされません。

行政書士の役割(なぜ行政書士が求められるのか)

これまでお話をしてきたように、一言でビザといっても非常に複雑です。外国人の方が日本の入管法を理解することは困難ですし、雇用する企業も頻繁に改正される法律や手続きを理解していくのは非常に難しいです。

初めて外国人を雇用する企業だけでなく、これまでに外国人の雇用経験がある企業でさえ、間違った手続きをしてしまったり、必要な手続きを知らずに怠ってしまうこともあります。

日本の学校を卒業した留学生を日本の企業が採用して、いざビザ手続きを行ったら就労の在留資格の要件を満たしておらず、許可がおりなかったという話も少なくありません。

企業側としても雇用を予定していた外国人のビザの許可がおりず採用を断念するというのは、大きな影響がありますし、また外国人にとっても一度不許可を受けてしまうとその記録は残ってしまい、次回以降の申請が非常に難しくなります。

このような事態を避けるために、我々、行政書士が求められています。役所に提出する申請書類の作成や提出代行は行政書士の独占業務です。つまりビザ申請書類の作成や出入国在留管理局への書類提出は、行政書士の専門業務なのです。

国家資格を持った専門家がアドバイスや手続きを代行することにより、コンプライアンスを重視する企業をサポートし、適切でスムーズな外国人の受け入れを促進することが可能です。

外国人が増える日本で、このような形で社会に貢献していくことが行政書士の役割の一つであると考えますし、またこれからの日本でこのような行政書士が求められているのではないでしょうか。

まとめ

ここまで、外国人のビザの重要性について解説してきました。これまで外国人のビザを漠然と認識していた方も、この記事で日本に在留する外国人と外国人を雇用する企業にとってのビザの重要性について、具体的に理解していただけたと思います。

コンプライアンスが重視される昨今、外国人を不法就労させてしまうことは企業にとって致命的です。外国人だけでなく、企業にもこれまで以上にビザの重要性を認識し、外国人を適正に雇用することが求められてきております。

その中で、ビザエージェントのように単なる代行屋として見られることも多かった行政書士が、これからは企業や外国人を法律家としてサポートしていく存在になると信じており、行政書士が果たす役割も大きくなっていくと思います。