在留資格認定証明書(COE)とは?取得方法や注意点をご紹介
- 2024.08.26
- 2024.11.09
リガレアス行政書士事務所の広瀬(@tatsu_ligareus)です。
海外から外国人を日本に招へいする際に、在留資格認定証明書が必要です。在留資格認定証明書は、英語でCertificate of Eligibilityといい、略してCOEと呼ばれることが一般的です。在留資格認定証明書という言葉を聞いたことがなくても、COEという言葉なら聞いたことがある人もいるかもしれません。
外国人の招へいに関わる方であれば馴染みのあるものだと思いますが、在留資格認定証明書とは何か、なぜ必要なのかなど、意外とご存知ない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、在留資格認定証明書の定義や役割から取得方法、注意点まで詳しく解説していきます。
初めて外国人を海外から招へいする方はもちろんですが、これまで外国人招へいに携わってきた方でも在留資格認定証明書について改めてご理解いただける内容になっています。
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目次
在留資格認定証明書(COE)とは
ここでは在留資格認定証明書とはどういったものか、その定義や役割、必要性などを解説していきます。
在留資格認定証明書の定義と役割
日本に上陸しようとする外国人は以下の条件を満たさなければ、日本に上陸することができません。
- 旅券や査証が有効であること
- 日本で行う活動が虚偽でなく、在留資格に該当し、上陸許可基準にも適合していること
- 在留期間が法務省令の基準に適合していること
- 上陸拒否事由に該当していないこと
在留資格認定証明書とは、上記の条件のうち、2について適合していることを証明するものです。在留資格認定証明証を提示することで、上陸申請時に2についての審査が省かれ、上陸審査がスムーズに行われます。
また、上陸時に有効な査証を持っていることも求められますが、その査証申請についても、日本大使館等で在留資格認定証明書を提示することで、査証の審査が迅速に進められます。
このように在留資格認定証明書は、査証発給手続きや上陸審査手続きを簡易・迅速に進めるためのもので、在留資格認定証明書交付申請は、外国人を招へいするために一番最初に行う手続きです。
在留資格認定証明書の必要性
前述のように、在留資格認定証明書は日本大使館等での査証発給手続きや日本の空港での上陸審査手続きの簡易・迅速化が図られるためのものです。
在留資格認定証明書がないと、日本大使館等で査証申請が受け付けられない可能性があります。申請が受け付けられたとしても、在留資格認定証明書交付申請と同様な審査が行われるため、審査に数ヶ月かかってしまうこともあります。
在留資格認定証明書があれば、原則5業務日で査証が発給されることと比べると、大幅に時間がかかってしまいますので、査証申請前には必ず在留資格認定証明書を取得するようにしましょう。
在留資格認定証明書の有効期間
在留資格認定証明書の有効期間は、証明書が交付された日から3ヶ月です。有効期間内に日本に入国しなければならないので、在留資格認定証明書が交付された際は、交付日を確認して必ず有効期間内に入国するようにしてください。もし有効期間が経過してしまった場合は、再度在留資格認定証明書交付申請が必要になります。
在留資格認定証明書交付申請を早めに行い、早く交付されてしまうと、有効期間内に日本に入国できない可能性もあるため、入国日から逆算して在留資格認定証明書交付申請を行うようにしましょう。
有効期間は交付された日の翌日から起算します。例えば4月10日に交付された場合、7月10日までが有効期間です。有効期間は7月9日までだと思う方が多いので、間違えないようにしてください。
なお、有効期間を数日程度過ぎてしまった場合でも、日本に入国できているケースは多いです。やむを得ない事情で入国日が遅れ、在留資格認定証明書の有効期間が数日経過してしまった際は、事情を説明した上で入国するようにしましょう。
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在留資格認定証明書の申請対象者
ここではどのような人が在留資格認定証明書を取得する必要があるのか解説します。
新規入国者
日本に新規で入国を希望する外国人が対象となります。
対象は以下のような人です。
- 就労、研修などの目的で来日を予定している方
- 日本で起業しようとしている方
- 大学や日本語学校などに留学を希望する方
- 日本にいる家族と一緒に日本で生活することを希望する方
このような方が来日をする際には、在留資格認定証明書の申請が必要です。
在留資格認定証明書が不要な場合
以下の在留資格の外国人は在留資格認定証明書の対象外となります。
- 「短期滞在」
- 「永住者」
上記以外であってもワーキングホリデーやデジタルノマドなどの一部の「特定活動」は在留資格認定証明書がなくても査証申請を行い、日本に入国することが可能です。
また、養親扶養などの告示外と呼ばれる「特定活動」も在留資格認定証明書の対象外となります。
「特定活動」についてはこちらの記事もお読みください。
在留資格認定証明書の申請手続き
具体的な在留資格認定証明書交付申請手続きについてみていきましょう。
申請に必要な書類と準備
在留資格認定証明書交付申請に必要な書類は、在留資格やカテゴリーによって異なります。ここでは一般的な就労の在留資格の「技術・人文知識・国際業務」を例に挙げてみていきましょう。
全カテゴリー共通 |
カテゴリーを証する資料 |
申請書 |
顔写真 |
パスポート |
カテゴリー1、2の企業で「技術・人文知識・国際業務」で外国人を招へいする場合は、カテゴリーを証する文書、申請書、顔写真、パスポートコピーだけで申請ができます。
カテゴリー3 | カテゴリー4 |
労働条件通知書 | |
履歴書 | |
卒業証明書/在職証明書/資格証明書 | |
登記事項証明書 | |
事業内容を明らかにする資料 | |
決算文書 | 事業計画書 |
給与支払事務所等の開設届出書 | |
直近3ヶ月の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書/源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 |
カテゴリー3、4の企業になると外国人の卒業証明書や会社の登記事項証明書なども必要です。
例えば卒業証明書など、手元にない書類があると取得に時間がかかることがあります。また外国人や雇用する企業の状況やバックグラウンドによっても、入管が案内している以外の書類を準備しなければならないこともあります。そのような場合はさらに準備に時間が必要です。申請までに十分時間に余裕をもって準備しましょう。
入管で審査をスムーズに進めてもらうためには、必要書類を過不足なく揃えて提出しなければなりません。必要書類を過不足なく提出することは、入管法の知識がなければ難しいです。申請に不安があるときは、行政書士などの専門家に相談するのも必要でしょう。
カテゴリーについてはこちらの記事もお読みください。
申請書の記入方法
申請書も在留資格によって様式が異なります。
ここでも「技術・人文知識・国際業務」を例にしてみていきましょう。
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格認定証明書交付申請書は、全部で4枚あります。
最初の1、2枚目は「申請人等作成用」で、申請人(外国人)の個人情報やこれまでの経歴に関する情報を記載します。
3、4枚目は「所属機関等作成用」で、雇用する企業に関する情報を記載します。
上記の記入例では、注意点について記載しています。赤枠以外も全て記入が必要です。空欄にしてしまうと、記入漏れと判断されてしまい、申請が受け付けられないことがあります。記入する情報がない場合は、「無し」と記載するなどして空欄にしないようにしましょう。
また、署名を含めて全て消えないペンで記載しなければなりません。フリクションペンや鉛筆などで記入すると申請は受け付けられません。なお署名や日付以外はタイプしたものでも大丈夫です。
申請先(地方出入国在留管理局)
受入機関の所在地を管轄する入管で申請することができます。
それぞれの入管が管轄する地域を表にすると以下のようになります。
地方出入国在留管理局 | 管轄地域 |
札幌出入国在留管理局 | 北海道 |
仙台出入国在留管理局 | 宮城県、福島県、山形県、岩手県、秋田県、青森県 |
東京出入国在留管理局 | 東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、 群馬県、山梨県、長野県、新潟県 |
名古屋出入国在留管理局 | 愛知県、三重県、静岡県、岐阜県、福井県、富山県、石川県 |
大阪出入国在留管理局 | 大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、滋賀県、和歌山県 |
広島出入国在留管理局 | 広島県、山口県、岡山県、鳥取県、島根県 |
高松出入国在留管理局 | 香川県、愛媛県、徳島県、高知県 |
福岡出入国在留管理局 | 福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、熊本県、鹿児島県、 宮崎県、沖縄県 |
外国人を雇用する企業が東京にあれば東京入管、大阪にあれば大阪入管で申請をすることになります。それぞれの地域に支局や出張所も設置されており、本局が遠い場合は支局や出張所でも申請をすることが可能です。例えば、新潟の企業が申請の度に東京まで行くのは大変ですので、新潟出張所で申請をすることもできます。
またオンライン申請であれば、入管の窓口に行かなくてもオンラインで24時間365日いつでもどこでも申請ができます。オンライン申請をする場合は、あまり管轄を考えなくても良いでしょう。
オンライン申請については、こちらの記事もお読みください。
申請提出者
誰でも在留資格認定証明書交付申請を行うことができるわけではありません。
申請できるのは基本的に以下いずれかに該当する方です。
- 申請人本人
- 外国人の受入企業の職員その他法務省令で定める代理人
- 以下のいずれかに該当する申請取次者
- 外国人の円滑な受入れを図ることを目的とする公益法人の職員で地方出入国在留管理局長が適当と認めるもの
- 地方出入国在留管理局長に届け出た弁護士又は行政書士
- 申請人本人の法定代理人
申請人である外国人本人が申請することができます。しかし、通常申請人は海外にいるはずなので、現実的には日本にいる人が代わりに申請をすることになります。
日本にいる代わりの人として、受入企業の職員が申請することが可能です。また「家族滞在」や「日本人の配偶者」など就労ビザではない場合は、外国人の配偶者など親族が申請することができます(法務省令で定める代理人)。
申請取次者も申請を行うことが可能です。申請取次者の中では、弁護士や行政書士が一般的だと思いますが、地方出入国在留管理長に届け出た弁護士や行政書士のみ申請することができます。届出ていない弁護士や行政書士は申請することができませんので、もし申請を依頼する際は届出済みの弁護士や行政書士であることを事前に確認しましょう。
申請費用と処理期間
在留資格認定証明書交付申請では、入管に支払う費用はありません。
在留資格認定証明書交付申請における入管での審査期間は、標準処理期間として1ヶ月から3ヶ月と公表されています。申請する在留資格やカテゴリーによっても期間は変わりますし、申請が多い時期は審査が遅くなる傾向もあります。早ければ1ヶ月以内で審査が終わることもあれば、3ヶ月以上かかることもありますので、申請は余裕を持って早めに行うのが良いでしょう。
不交付になった場合
当然ですが、申請が必ず許可されるとは限りません。
もし不交付になってしまうと入管から不交付通知が届き、通知の中に不交付の理由が記載されています。しかし、通知には十分な理由が記載されていませんので、入管で直接不交付の理由を確認することをお勧めします。不交付理由を確認し、何が問題だったのかを明らかにして、不交付理由を解消することができれば、再申請することも可能です。
稀に、不交付理由の説明の際に、不交付になった理由を弁明し、許可をお願いされる人もいますが、すでに結果が出ているため不交付が覆ることはありません。不交付になった場合でも落ち着いて対応するように心がけましょう。
申請が不許可になった場合の対応については、こちらの記事もお読みください。
在留資格認定証明書交付後の手続き
在留資格認定証明書は、査証発給手続きや上陸審査手続きを簡易・迅速に進めるためのものだということは前述しました。つまり、在留資格認定証明書を取得して終わりではありません。ここでは在留資格認定証明書が交付された後の手続きを解説していきます。
査証(ビザ)の申請
在留資格認定証明書が交付された後は、日本大使館等で査証申請を行います。査証申請に在留資格認定証明書が必要になりますので、交付されたら外国人の方に送付しましょう。
- 査証申請書
- 顔写真
- パスポート
- 在留資格認定証明書
上記は、一般的に査証申請で必要な書類です。必要書類は申請する大使館や国籍などによっても異なりますので、申請前に確認した上で準備してください。
大使館等に直接申請が認められず、代理機関を通して申請しなければならない国や申請予約が必要な国があります。また予約が全く取れないこともあり、査証申請に想定以上の時間を要してしまうこともあります。そうなると予定通りの入国ができなくなってしまいますので、申請する大使館などで事前に手続き方法を確認しておくことが必要です。
在留資格認定証明書をビザだと思われる方もいますが、在留資格認定証明書とビザは別のものです。
ビザ(査証)については、こちらの記事もお読みください。
入国時の手続き
査証が発給されたら、いよいよ日本に入国です。
前述したように、上陸審査では以下の項目が審査されます。
- 旅券や査証が有効であること
- 日本で行う活動が虚偽でなく、在留資格に該当し、上陸許可基準にも適合していること
- 在留期間が法務省令の基準に適合していること
- 上陸拒否事由に該当していないこと
在留資格認定証明書と査証を持っていれば、1と2の審査が済んでいることとなるので、審査はスムーズに進むはずです。
在留資格認定証明書には有効期間があると説明しましたが、査証にも有効期間があります。入国時には両方が有効期間であることを確認しましょう。
入国する際には在留カードが交付されます。
在留カードとは中長期在留者に対して交付されるもので、適法に日本に在留することを証明する証明書のようなものです。在留カードには、氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地、在留資格、在留期間、就労の可否などが記載され、16歳以上の人には顔写真が表示されます。常時携帯義務がありますので、在留カードは常に携帯するようにしなければなりません。
なお3ヶ月以下の在留期間の人には在留カードは交付されません。また、在留カードが交付されるのは、新千歳空港、成田空港、羽田空港、中部空港、関西空港、広島空港、福岡空港から入国した人です。それ以外の空港から入国した場合は、市区町村に届け出た住居地に在留カードが郵送されてきます。
「留学」などいくつかの在留資格で包括許可であれば、新規上陸の際に空港で資格外活動許可を取得することが可能です。日本入国後に入管で申請すると1ヶ月程度かかることがありますので、新規上陸時に取得するのがよいでしょう。
資格外活動許可についてはこちらの記事もお読みください。
住民登録
入国した後、住居地を定めた日から14日以内に住居地の市区町村で住居地を届け出る必要があります。住居地を届け出ると在留カードに住居地が記載され、住民票が取得できるようになります。
住居地を定めた日から14日以内に届け出なかった場合、20万円以下の罰金に処せられることがありますので注意が必要です。さらに新規上陸後、90日以内に住居地を届け出なかった場合は、在留資格が取り消されることがあります。
ただし、勤めていた会社の急な倒産やいわゆる派遣切り等により住居を失い,経済的困窮等によって新たな住居地を定めていない場合など、住居地の届出を行わないことに正当な理由がある場合には、在留資格の取り消しは行われないことになっています。
さいごに
ここまで在留資格認定証明書(COE)について、定義や役割、取得方法、注意点など網羅的に解説してきました。初めて在留資格認定証明書交付申請を行う方でも、在留資格認定証明書とはどういったものかご理解いただけたのではないでしょうか。
在留資格認定証明書は、外国人を日本に呼び寄せる際に行う一番初めの手続きです。手続きがスムーズに進まないと、その後の手続きやスケジュールが予定通りに進まなくなってしまいます。また、在留資格認定証明書が不交付になってしまうと、外国人の方には不交付の記録が入管に記録されてしまいますし、企業や教育機関にとっても入社や入学をさせることができなくなってしまいます。
このように在留資格認定証明書交付申請は、外国人受け入れにあたって、とても大事な手続きです。
手続きをスムーズに進めるには、必要書類さえ提出すれば良いというわけではなく、ビザ申請要件を確認して書類を過不足なく準備しなければなりません。そのためには、入管法の知識やノウハウなどが必要になります。手続きに不安がある場合は、行政書士などの専門家に相談することもおすすめです。
リガレアスは、日本ビザを専門にしている行政書士事務所で、様々なビザ、様々なケースに対応しています。初めて外国人を雇用する企業やこれまで外国人を雇用していたものの自分たちの手続きに不安があるような企業、留学生を多く抱える教育機関など、様々な企業や教育機関との取引実績があります。
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記事を書いた人
1981年生まれ、千葉県出身。行政書士として約10年間勤務した後、DX化が進んでいないビザ業務を変えるため2019年にリガレアスを設立。Twitterでも積極的に情報発信しています。
1981年生まれ、千葉県出身。行政書士として約10年間勤務した後、DX化が進んでいないビザ業務を変えるため2019年にリガレアスを設立。Twitterでも積極的に情報発信しています。