リガレアス行政書士事務所の広瀬です。

留学生が入学する際に必要な手続きはご存知だと思いますが、卒業後に必要な手続きはご存知でしょうか。

日本で就職する留学生は、入社先の企業が就労ビザへ変えてくれるから、特に何もしなくて良い、と漠然と理解している教育機関の担当者の方は多いと思います。実際にインターネット上でも入学時に必要な留学ビザ申請に関する記事は見かけますが、卒業後に必要な対応についての記事はあまり多くない印象です。

そこで本記事では、学校卒業後に必要な手続きや対応について体系的にまとめてみたいと思います。

本記事をお読みいただければ、留学生が卒業した後にどのような手続きを行うべきか、必要な知識が身につけられ、留学生に対して受入機関として適切なアドバイスができるようになります。また、受入機関としての責任についてもご理解いただけ、留学生の在籍管理にもお役立ていただけるものです。

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卒業後の進路によって異なる在留資格

留学生が日本の学校を卒業した後の進路は、自国に戻って進学したり、日本で就職したりとさまざまです。自分の国に戻るのか、日本に残るのか、そのさまざまな留学生の進路に応じて必要な手続きが異なります。

それでは、ここから留学生の進路に応じた必要な手続きを見ていきましょう。

 

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卒業後は帰国が前提

学校を卒業した後は、たとえ在留期限が残っていたとしても、原則として帰国しなければなりません。卒業から出国までの期間は明確に定められていませんが、帰国の準備などを考慮しても1ヶ月程度が目安でしょう。

もし卒業した後も留学ビザで3ヶ月以上滞在してしまうと、在留資格取消事由に該当してしまいます。これにより在留資格が取り消されると、30日を上限として出国準備期間が与えられ、その期間内に出国しなければなりません。万一、在留期限を超えて日本に滞在し続けてしまうとオーバーステイになり、退去強制となります。

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日本を出国するときは、「単純出国」として日本を出国しなければなりません。帰国する時には在留カードを返し、留学ビザを無効にしましょう。なお、卒業した後は、留学の在留期限が残っていてもアルバイトはできませんので注意してください。

在留資格取消について、こちらの記事でも詳しく解説しています。

卒業後も日本に滞在する場合の対応

前述したように、学校を卒業した後は原則として日本を出国しなければなりません。しかし留学生によっては、日本で引き続き活動を希望する方もいます。日本で以下のような活動を行う場合には、留学ビザから別の在留資格へと変更すれば日本に滞在することが可能です。

  • 日本で進学
  • 日本で就職
  • 就職活動
  • 入社待機
  • 日本で観光

日本で進学する

日本で進学する場合は、留学ビザを持ったまま進学をすれば良いです。進学した後に在留期限を迎える際、留学ビザの更新申請を行います。留学生は学校を卒業してから14日以内、新しい学校に入学してから14日以内に、入管に対して所属機関に関する届出を提出しなければなりません。届出を提出することを知らない留学生も少なくありませんので、学校からしっかりと指導しましょう。また、学校としても留学生が卒業してから14日以内、入学してから14日以内に所属機関による届出を入管に提出します。

稀に2月や3月といった卒業前に在留期限が到来する留学生がいます。在学中の学校で更新をすべきか、新しい学校で更新すべきかというご相談が多いです。結論から言うと、入学許可証などが出ている場合は新しい学校で更新をすることをお勧めします。在学中の学校で更新をすると卒業までの期間しか在留期限が与えられませんが、新しい学校で更新をすれば、在籍予定の期間などに応じて在留期間が与えられるためです。

日本で就職する

留学生が就職先を見つけ、日本で就職をする場合です。この場合は、留学ビザから就労ビザへ在留資格を変更しなければなりません。一般的に3月に学校を卒業し、4月から入社することが多いので、在学中に申請を行います。申請する入管によって取り扱いが異なることはありますが、例年12月から申請が受け付けられることがほとんどです。「卒業見込み」で申請を行い、卒業証明書が発行された時点で就労ビザの許可を受け取ることができます。

申請しておけば就労ができると勘違いされている方もいるようですが、入社までには必ず就労ビザ(就労の在留資格の在留カード)を取得しなければ働くことはできません。3月下旬に卒業式を迎える学校が多く、卒業式後すぐに入管で許可を受けなければ入社日に間に合わないこともありますので注意が必要です。

特に中国の方などは旧正月で長期間帰国することがあるため、申請や許可を受けるタイミングに日本にいないこともあります。スケジュールを確認して必ず入社に間に合うように手続きをしましょう。就労ビザへの変更は、就職先の企業がサポートすることが多いですが、学校としても留学生をサポートできるように基本的な知識は持っておくのが望ましいです。

留学ビザから就労ビザへの変更について、こちらの記事でも解説していますのでお読みください。

卒業後も継続して日本で就職活動をする

日本で就職を希望していても就職先が見つからず、卒業後も引き続き就職活動をする場合です。この場合は留学ビザから「特定活動」へ在留資格を変更すれば、最長で1年間は卒業した後も日本で就職活動を継続することができます。

「特定活動」へ変更する際の要件はこちらです。

  • 日本の大学または専門学校を卒業していること
  • 在学中から就職活動していること
  • 学校からの推薦があること
  • 在留中の経費支弁能力があること

日本の大学や専門学校を卒業していることが条件です。日本の大学には大学院や短大は含まれますが、研究生や別科生として在籍している留学生は対象になりません。専門学校を卒業した留学生の場合は、専門士が付与されている必要があります。

また、在学中から就職活動をしていなければなりませんので、卒業後に就職活動を開始する留学生は「特定活動」の取得はできません。申請時に立証資料として、企業採用担当者とのメールや不採用通知など、就職活動をしていたことがわかる資料の提出が求められます。

さらに、学校からの推薦も必要です。推薦状には、許可された範囲で資格外活動を行うことと日本の法令を遵守することを指導し、就職活動のために資格変更許可を受ける者として適当であることを推薦すると記載されています。

「特定活動」へ変更しても学校が在籍管理を行わなければなりませんので、卒業した後であっても学校が留学生の在留中の行動を管理しなければなりません。このようなことからも、学校において推薦状を出す一定の基準を設けておくことも必要でしょう。

就職活動をするための「特定活動」の在留期間は6ヶ月です。その期間でも就職先が見つからない時には期間更新が一度認められ、再度6ヶ月間の「特定活動」をもらうことができ、最長1年間「特定活動」で滞在が認められます。

また、「特定活動」と同時に資格外活動許可を取得すれば、アルバイトをすることも可能です。

継続して就職活動する際のビザ手続きについて、こちらの記事で詳しく説明していますのでお読みください。

入社待機

大学では秋卒業を認めているところもあります。この場合、留学生は9月に卒業することになりますが、日本での入社は一般的に4月です。原則で言えば、卒業後は本国に帰国し、企業に入社する際に在留資格認定証明書を取得して日本に入国することになります。しかし、日本企業に内定が決まっていて入社まで日本に在留を希望する場合は、「特定活動」を取得すれば日本に在留することが可能です。

「特定活動」へ変更する際の要件はこちらになります。

  • 日本の大学または専門学校を卒業していること
  • 内定後1年以内で卒業後1年6ヶ月以内に採用されること
  • 内定企業での業務が就労の在留資格への変更が認められるものであること

前述の就活のための「特定活動」と同様に、日本の大学を卒業しているか専門学校で専門士を取得していることが要件です。内定後1年以内で卒業後1年6ヶ月以内に採用という要件は、9月に卒業して翌年4月に入社する場合は、問題なく満たします。

ではなぜこの規定が置かれているかというと、前述の就職活動のための「特定活動」を持っている方のためです。就職活動のための「特定活動」を持っている方が、就職活動中に就職先が決まり入社までに期間が空いてしまう場合にも、入社待機のための「特定活動」を取得して、入社まで日本に滞在できるようになっています。

違和感を感じるかもしれませんが、就職活動のための「特定活動」を持っている方が、入社待機のための「特定活動」を取得する際は、在留期間更新許可申請ではなく在留資格変更許可申請を行うことになります。入社待機のための「特定活動」は、就労ビザが取得できる前提で許可されるものになりますので、業務内容が就労ビザに該当しなければなりません。

また、入社待機のための「特定活動」も同時に資格外活動許可を取得すれば、アルバイトをすることは可能です。

資格外活動許可については、以下の記事で詳しく解説しています。

卒業後に日本を観光する場合

卒業後に日本観光を希望する留学生は少なくありません。前述のように卒業後は速やかに帰国することが求められますが、卒業後1ヶ月以内を目処として1、2週間程度は観光しても問題はないでしょう。ただ、ジャパンレールパスを購入したいため、「短期滞在」へ変更したいという相談がよくあります。これは「短期滞在」を持っていなければ、ジャパンレールパスの購入資格がないためです。原則として入管では「留学」から観光目的の「短期滞在」への変更は認めていませんが、相談ベースで「短期滞在」へ変更できる事例もあります。もし「短期滞在」への変更を希望する場合は、一度入管へ出向いて直接窓口で相談してみるのも良いかもしれません。

留学生だけではなく大学側の対応も重要

留学生を受け入れる学校の場合、入管から留学生の在籍管理の徹底が求められています。その在籍管理は、留学生が卒業して終わりではありません。卒業後もどこまで学校が責任を持つべきか、学校から受ける最も多いご相談の一つです。

基本的な考え方としては、留学生が日本を出国、または別の在留資格を取得するまでが学校側の責任となります。もし留学ビザのまま日本で不法残留などになってしまうと、問題在籍者として扱われ「適正校」の選定にも影響してきますので、学校としては卒業後の留学生の活動を確認しないわけにはいきません。実際に空港まで留学生を見送りにいき、出国を確認している学校もあると聞きます。

留学生を多数抱える学校においては、全ての留学生の出国の有無や在留資格変更の事実を確認することは現実的ではないでしょう。しかし入管としてはそれらの確認を「努力義務」として学校側に課しているため、できる限りの状況把握に努めることは求められます。なお、就職活動のための「特定活動」へ変更した留学生については、別の在留資格に変更しているものの引き続き学校側での在籍管理が必要です。

「適正校」について詳しく知りたい方は、こちらの記事もお読みください。

さいごに

ここまで留学生の卒業後の進路先に応じて必要な手続きを詳しく解説してきました。卒業後も学生の活動を確認しなければならない点において、日本人の学生とは異なる対応が必要であることがお分かりいただけたと思います。

就労ビザや「特定活動」への変更など、学校とは無関係な手続きに思えますが、在籍管理の上でも教育機関として留学生に適切なアドバイスをすることが望ましいです。また適切なアドバイスを行うためにも、最低限の知識を身につけておくことは必要でしょう。

このように、在学中はもちろんですが、卒業後までも留学生をサポートする必要があり、サポート内容は非常に広範で煩雑になります。これまでも多数の大学様や専門学校様からのご相談を受け、入学時から在学中、卒業後までトータルでサポートを行っております。留学生のビザについてご相談がありましたら、リガレアス行政書士事務所にお気軽にお問合せください。

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