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在留資格「留学」から「就労」へのビザ変更手続きについて詳しく解説します

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リガレアス行政書士事務所の水澤です。

当事務所では、秋の内定式前後から4月半ば頃まで、この在留資格変更手続についてのご相談をいただくことが増えます。

「私は日本で働くことができますか?」

「どのように留学ビザから就労ビザに変えたら良いですか?」

「在留資格変更の申請をして審査中ですが、なかなか審査が終わらなくて、入社に間に合うか心配です」

など、色々なケースがあります。

どの留学生も、4月からの就労開始に備え、在留資格変更の手続きが無事に完了すると良いなぁと、毎年私は願わずにいられません。

今回は、『留学ビザから就労ビザへ変更(在留資格「留学」から就労可能な在留資格へ変更)する手続』についてお伝えさせていただきます。

 

留学生からの電話が涙に変わった日 

 

就労ビザへ変更するときの該当要件について

今から10年ほど前、1月の寒い日でした。私は一本の電話を受けました。

「日本の専門学校で観光の勉強をして3月に卒業します。日本で仕事をしたいので留学ビザを就労ビザに変えたいです」という留学生からの電話でした。

この留学生のお話を伺ったところ、在留資格を「技術・人文知識・国際業務」へ変更する必要がありました。

日本の専門学校を卒業し日本で就職する留学生は、申請要件として卒業する専門学校から「専門士」若しくは「高度専門士」の称号を取得することが求められます。

電話の留学生は、卒業する専門学校は「専門士」の称号は出せない学校で、この申請要件は全く知らずにいたそうです。受話器の向こうでは、留学生の声がみるみる涙声に変わっていきました。

言葉の壁がある中での勉強、生活費や学費の工面など、様々な苦労もあったことでしょう。涙声から伝わってきた深い落胆に、私は心が痛かったのを今でも思い出します。

留学生が在留資格を「技術・人文知識・国際業務」へ変更するときの要件はどのようなことでしょうか。

 

専門士・高度専門士とは

 

以下の要件を満たした課程で文部科学大臣が認めた専門学校の修了者に対しては、「専門士」の称号が付与されています。

「専門士」の称号が付与される課程の要件は、大学への編入学が認められる課程の要件と概ね一致しているので、「専門士」の称号が付与される課程を修了した方は、大学への編入学資格が認められていることになります。 

 

<「専門士」の称号が付与される専門学校の要件>

・修業年限が2年以上

・総授業時数が1,700 時間( 62 単位)以上

・試験等により成績評価を行い,その評価に基づいて課程修了の認定を行っていること

 

高度専門士とは

以下の要件を満たした課程で文部科学大臣が認めた専門学校の修了者に対しては、「高度専門士」の称号が付与されています。

「高度専門士」の称号が付与される課程の要件は、大学院への入学が認められる課程の要件と概ね一致しているので、「高度専門士」の称号が付与される課程を修了した方は、大学院への入学資格が認められていることになります。

 

  <「高度専門士」の称号が付与される専門学校の要件>

・修業年限が4年以上

・総授業時数が3,400 時間(124 単位)以上

・体系的に教育課程が編成されていること

・試験等により成績評価を行い、その評価に 基づいて課程修了の認定を行っていること

*引用元:文部科学省

 

就労ビザへ変更するときの要件について

(1)日本の専門学校を卒業する留学生

日本や海外の大学へは行かずに、日本の専門学校で学び卒業する留学生は、在留資格を「技術・人文知識・国際業務」へ変更するには、以下の要件を満たす必要があります。

 

時期・手続 要件の詳細
10月 採用内定 ・雇用される会社との契約に基づいて就労すること

 *正社員、契約社員など何らかの契約が必要です

・専門学校で履修した科目と十分な関連性がある職務に従事する必要があります

12月~ 

在留資格変更許可申請

①卒業見込み証明書②成績証明書③専門士若しくは高度専門士取得見込み証明書を取得できること
3月 卒業 

在留資格変更許可を受ける

①卒業証明書 

②専門士若しくは高度専門士取得証明書により、専門学校卒業と専門士若しくは高度専門士の称号を取得したことを立証する必要があります

4月 就労開始 雇用される会社から、日本人と同等以上の報酬が支給されること

*専門学校を卒業し新卒採用者として就労の契約を結ぶ日本人と同じかそれ以上の報酬が支給されることが必要です

 

(2)海外の大学・大学院を卒業した後に、日本の日本語学校を卒業する留学生

海外の大学・大学院を卒業した後に、日本の企業で就労するために日本語学校で学んでいる留学生は、在留資格「技術・人文知識・国際業務」へ変更する要件の一つである大学・大学院を卒業していることは既に満たしています。しかし、日本語学校で学ぶことで在留資格「留学」が付与されていますので、日本語学校を卒業しましたら卒業証明書を取得し入管に提出してください。

 

時期・手続 要件の詳細
10月 採用内定 ・雇用される会社との契約に基づいて就労すること

 *正社員、契約社員など何らかの契約が必要です

・大学・大学院で学んだ専門知識を活かした高度な職務内容に従事する必要があります

12月~ 

在留資格変更許可申請

【必要書類】

①日本語学校からの卒業見込み証明書

②日本語学校からの成績証明書

③海外大学・大学院からの卒業証明書・学位証明書

 *大学・大学院を卒業し学士若しくは修士若しくは博士の学位を取得したことを立証する必要があります

 *日本語学校を卒業する見込みであることを立証する必要があります

3月 卒業 

在留資格変更許可を受ける

日本語学校卒業後に取得する卒業証明書が必要です
4月 就労開始 大学・大学院を卒業し新卒採用者として就労の契約を結ぶ日本人と同じかそれ以上の報酬が支給されることが必要です

 

(3)日本の大学・大学院を卒業する留学生

 

時期・手続 要件の詳細
10月 採用内定 ・雇用される会社との契約に基づいて就労すること

 *正社員、契約社員など何らかの契約が必要です

・大学・大学院で学んだ専門知識を活かした高度な職務内容に従事する必要があります

12月~ 

在留資格変更許可申請

【必要書類】

①卒業見込み証明書

②成績証明書

3月 卒業 卒業後に取得する卒業証明書により、大学・大学院を卒業し学士若しくは修士若しくは博士の学位を取得したことを立証する必要があります
4月 就労開始 雇用される会社から、日本人と同等以上の報酬が支給されること

 *大学・大学院を卒業し新卒採用者として就労の契約を結ぶ日本人と同じかそれ以上の報酬が支給されることが必要です

 

留学ビザから就労ビザへの変更手続手順

(1)9月卒業で母国に一度帰り、入社前に日本に戻る人の手続

9月に日本の大学・大学院を卒業し、翌年4月の就労開始まで時間があるので一旦帰国し、在留資格「技術・人文知識・国際業務」で新たに日本に入国するケース

 

時期 詳細
9月 卒業式
10月 内定式
速やかに本国に帰国

(単純出国)

・在留資格「留学」の在留カードを空港の出国審査で返納

・在留カードは穴をあけられ無効

・在留カードを返納し日本を出国すると、入管から自動的に住民登録をしていた市区町村へ単純出国した旨の連絡が届き、住民登録は閉鎖

※この手続には3か月ほどを要することもあるので、住民登録 をしていた市区町村に帰国の旨を予め伝えておくと良いです

1月 在留資格認定証明書「技術・人文知識・国際業務」を入社企業が所在する住所管轄の入管へ申請
2月 在留資格認定証明書「技術・人文知識・国際業務」が交付され、本国の日本大使館領事館に提示し、日本査証を取得
3月 ・日本に到着

・空港の入国審査で査証を提示し、在留資格認定証明書を提出して日本入国

日本入国後 ・日本入国から90日以内に住民登録を行う

・入社式

 

申請手続の注意点

 

①卒業により、在留資格「留学」での活動は終わりますので、帰国の際の出国審査では「留学」の在留カードは返納してください。

②在留資格認定証明書が交付され日本から送られてきましたら、本国にある日本大使館領事館で査証発給申請を行いますが、現在は新型コロナウイルス感染に対応し水際対策が実施されています。査証発給手続や発給された査証の効力について逐次日本大使館領事館にご確認ください。

 

(2)9月卒業後も引き続き日本に在留し、アルバイトをしながら4月の入社まで在留する人の手続き

9月に日本の大学・大学院を卒業し、翌年4月の就労開始まで帰国をせずにそのまま日本に在留するケース

 

時期 詳細
9月 卒業式
卒業後 速やかに在留資格変更許可申請(「留学」から「特定活動(内定者)」、資格外活動許可申請を住所管轄の入管へ行う
10月 ・内定式

・審査終了。新しい在留カード(「特定活動(内定者)」)を申請した入管から受領する

12月~ 在留資格変更許可申請(「特定活動(内定者)」から「技術・人文知識・国際業務」へ変更)を住所管轄の入管へ行う
3月 審査終了。新しい在留カード(「技術・人文知識・国際業務」)を申請した入管から受領する
4月 入社式

 

申請手続の注意点

 

①卒業により、在留資格「留学」の活動は終わりますので、卒業した後は「資格外活動許可」でのアルバイトはできません。速やかに在留資格を「留学」から「特定活動(内定者)」へ変更し、同時に「資格外活動許可」の申請も新たにしてください。

②上記①に備え、アルバイト先にアルバイトを辞める時期を早めに伝えてください。

③卒業の時点で就職活動を続ける人は、在留資格「留学」から「特定活動(就職活動)」へ変更し、採用が内定しましたら「特定活動(就職活動)」から「特定活動(内定者)」へ変更する必要があります。

 

同じ「特定活動」なのに、また変更するの?と思う人もいらっしゃるかと思いますが、入管法に定められていますし、採用内定まで来たのですから、ここは頑張って手続してください。

 

(3)3月卒業で4月入社の人の手続き

3月に日本の大学・大学院・専門学校・日本語学校を卒業し、翌月の4月から就労開始になるケース

 

時期 詳細
10月 内定式
12月 在留資格変更許可申請(「留学」から「技術・人文知識・国際業務」)を住所管轄の入管へ行う
2月~3月 審査終了
3月 ・卒業式

・新しい在留カード(「技術・人文知識・国際業務」)を申請した入管から受領する  

4月 入社式

 

申請手続の注意点

 

①在留資格「留学」から「技術・人文知識・国際業務」へ変更申請をするときは、卒業見込みという状態で予め入管に申請します。新しい在留カード(「技術・人文知識・国際業務」)を受領するには、卒業したことを立証するため卒業証明書を入管に提出してからになります。ですので、卒業しましたら速やかに卒業証明書を取得してください。

②入管に提出した書類は返却されませんので、卒業証書ではなく卒業証明書を入管に提出してください。

③まれにあることなのですが、卒業前の最後の仕上げ“卒論”が出来上がらずに、卒業できない!というケースがあります。その場合は在留資格変更申請を取り下げる手続が発生します。

④新しい在留カードは在留資格変更許可申請を行った入管から受領します。

 

入社に備えお引越しがある人は、新しい在留カードを受領する時期とお引越しする時期を調整してください。

 

留学生の在留資格変更許可申請手続から見えてくること

この表とグラフは日本に入国していた留学生数を表しています。

 

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大学院・大学(学部)・短期大学・高等専門学校・専修学校(専門課程)・準備教育課程・日本語教育機関における留学生数の推移

画像引用元: 独立行政法人日本学生支援機構ホームページ     

 

新型コロナウイルス感染拡大前に日本の学校に入学し、本国に戻らず日本に留まり今年の3月に卒業する留学生も大勢います。仕事柄、私は留学生の入学から卒業まで温かく伴走し応援している多くの大学や専門学校の職員の方々と知り合う機会もをいただきました。

「必ず国際交流課に顔を出せよ!いつでも来いよ!」と引きこもりそうになっている留学生に声をかけている職員の方もいました。学校に行かれなくなり卒業できず志半ばで帰国する留学生や、留年して在留期間更新が難しくなってしまった留学生もいます。

そうならない前に、困った時は一人で抱え込まないで、応援してくれている方々に思い切って相談するか、日本ビザ専門家が在籍するリガレアスまでお気軽にご相談ください。

 

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