外国人が働きやすい職場を作る7つの取り組み
- 2023.10.27
リガレアス行政書士事務所の広瀬(@tatsu_ligareus)です。
外国人を社員として雇用する際に、働きやすい職場をどのように作ればよいか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
外国人は、文化の違いから日本人とは考え方が根本的に異なることが多いため、日本人と同じような環境では働きにくいと感じることがあります。働きにくいと感じれば自然と離職率も上がります。
そこで今回は、これから外国人の採用を検討している企業や今まで採用してきたけどうまく定着しなかった企業向けに、外国人が働きやすい職場を作るための7つの取り組みを解説します。外国人の雇用環境改善のためにぜひ参考にしてください。
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外国人社員の言語サポート
現在は多国籍企業も増え、外国人が英語や母国語でコミュニケーションを取ることができる企業や公用語が英語の企業もあります。そのような企業では日本語を使用する機会が少なく、日本語が話すことができなくても仕事をする上で問題がないこともあるでしょう。
しかし職場で日本語を使う必要がなくても、会社を出れば日本語が必要な場面は少なくありません。日本で定着して働いてもらうためにも、福利厚生などの一環として業務終了後に日本語学校への参加やビジネス用語の研修など、日本語の学習機会を提供することは有効です。
また、例え外国人社員が日本語を勉強したとしても、業務マニュアルの内容を全て日本語で理解することは困難です。日本語の学習機会を与える一方で、社内の日本語で作成されたマニュアルなどに母国語や英語を併記して、外国人社員が業務マニュアルなどを理解できるように対応することも必要でしょう。
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適切な配属(業務内容)
早期離職の理由の一つとして、業務内容のミスマッチが挙げられます。欧米などでは契約内容と違う業務に従事しないことが一般的ですが、日本では契約にない業務にも従事することがあります。外国人社員が想定していなかった業務に従事させられることによる不満から離職してしまうことも多いです。このようなミスマッチを防ぐためにも、事前に企業側から業務に関する情報を提供をし、契約時に誤解のないようにする必要があります。
また、外国人社員の能力や経験、希望、適正に応じて適切な配属、業務を決定することが重要となります。キャリア形成やスキルアップを支援し、多様な役割にチャレンジできる機会を提供することが必要です。外国人が自分の能力を発揮できる環境を提供することができれば、モチベーション・生産性を高められるでしょう。
職場環境の整備(人間関係や差別)
外国人社員が能力を有効に発揮できるようにするには、職場環境の整備は重要となります。
まずは就業規則等の社内規程の多言語化です。外国人社員が理解できる言語で就業規則・賃金・休暇・福利厚生等の労働条件を説明しましょう。また、外国人社員が母国へ一時帰国できるような休暇制度や渡航費の費用負担、ビザ申請手続きで入管へ行くための休暇制度や専門家へ依頼する際の費用負担などについて取り決めた外国人特有の就業規則や覚書などを併せて作成することもお勧めします。
次に、外国人社員が職場で困ったことや不満を相談できる窓口の設置です。海外に住む外国人は日本人以上にストレスや悩みを抱えやすいはずです。母国語や英語で相談ができる相談窓口を作り、少しでもストレスが軽減できるような環境づくりをしましょう。
また、外国人社員に対する差別をなくし、外国人と日本人社員同士の職場での人間関係を円滑にするための対策も必要です。外国人社員と日本人社員は、同じ目標やビジョンに向かって仕事をする仲間ですが、言語や文化、価値観などの違いから、差別や摩擦を引き起こすことも少なくありません。社員同士で差別や摩擦が起きないように、外国人社員に対して偏見を持たずその国の文化や社員個人を理解することを社内で徹底する必要があります。そして、外国人社員と日本人社員が互いに歩み寄り、相互が尊重し合える環境づくりを整えていきましょう。
日本での生活支援
職場にいる時間や仕事に関することは会社がサポートしてくれます。しかし、それ以外の行政手続きや各種契約手続き、住居や医療機関などの生活面では、本人任せになっていることが多いでしょう。日本独自の習慣への戸惑いや日本語への不安などにより、日本で生活する上で直面する困難は多々あります。
そこで、日本に来たばかりの外国人社員には銀行開設や携帯電話の契約など生活立ち上げを支援することが必要です。特に住居については、外国人に貸すことを敬遠するオーナーも多く、なかなか契約することができませんので、会社が代わりに借りるなどして住居の確保をしましょう。さらに病気になった際に、周りに助けを求めることができない人も多いので、外国語が使用できる医療機関を紹介するなど、少しでも不安を取り除き、安心して日本で生活できるようにサポートすることも大切です。
また、外国人にとって、日本で生活していく上で最も重要なものがビザです。ビザがなければ日本での居住や仕事はできません。ビザ手続きで失敗したり、更新申請を忘れてオーバーステイになったりしないように、会社がビザのサポートや在留期限を管理することも重要です。
外国人の在留管理を適切に管理する方法については、こちらの記事もお読みください。
また外国人社員の家族を海外から呼び寄せる場合や、日本で結婚や出産した場合に、家族のビザもサポートしてあげることもお勧めします。家族と一緒に日本で暮らすことはモチベーションになる一方で、家族と一緒に住めないのであれば日本を離れたいと考えるでしょう。外国人社員の家族のビザもサポートすることで、一緒に日本に住むことができ、日本での仕事に集中することができます。
家族滞在についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
就労環境の整備(休暇や残業)
日本は世界的にみても残業や労働時間が多く、有給が取りにくいと言われます。
最近は日本でもライフワークバランスが推進され始め、仕事とプライベートの両方を充実させる風潮がありますが、それでも外国人にとっては労働時間の長さや有給取得の難しさを感じるでしょう。
休暇については、外国人社員の母国の風習に合わせた休暇取得制度を設けるのもお勧めです。例えば、中国などの旧正月時期に長期休暇が取れる制度を設けるなど、その国の文化に応じて柔軟に対応するのも有効でしょう。
一方、労働時間については、フレックスタイム制を導入して個人の裁量で就業時間を調整できるようにし、残業が少なくなるよう業務フローや仕事の配分などを見直すなどして、社員が働きやすい環境を整備していきましょう。
また、テレワークを導入して通勤時間をなくし、どこでも働くことができるようにすることも就労環境の整備には有効です。家族と一緒にいる時間や、勉強やリスキリングの時間を取ることができ、社員のQOLや生産性の向上にもつながるでしょう。
教育・育成(キャリアアップ)
新しく入社してきた外国人社員に対しては、会社の文化や、方針などを理解してもらうことが重要です。自社のビジョンに共感してもらうことで会社に定着し、その中で進みたいキャリアプランを考えることにつながります。また入社時に日本のビジネスマナーやコミュニケーションスタイル、法律や制度などに理解が不十分なことがありますので、併せて教育していく必要があります。日本のビジネスシーンでの常識やタブーなど異文化理解を深めていくことは、日本人の同僚とのチームワークを促進するためのコラボレーションスキルにも有益です。入社後も業務や日常生活における問題に応じてフォローアップし、外国人社員が気軽に相談や助言を求めることができる環境整備も進めていきましょう。また、定期的に個人面談を行い、適切な役割や責任を与え、キャリアアップの機会を提供していくことも必要です。
これまで日本の企業では年功序列で評価されてきましたが、海外では能力や成果、実績などで評価する成果主義の企業が多いです。年功序列での評価制度では、外国人社員は自分に対する評価に納得できず、不満を抱えモチベーションも下がり、結果として離職してしまいます。そのため、わかりやすく公正な人事評価を構築する必要があります。
文化・価値観の相互理解
外国人が働きやすい職場を作るためには、文化や価値観の相互理解が不可欠となります。単に異なる文化や習慣を知るだけではなく、それらを尊重し受け入れることが必要です。そのためには、日本人社員だけが相手の文化や習慣を知る努力をするのではなく、外国人社員も日本の文化や習慣を知ることが重要です。お互いがお互いを理解し尊重し合うようにすることが働きやすい職場につながります。
例えば、日本人社員に対しては、外国人を差別せず尊重するように教育し、外国人社員に対しては日本語を勉強する機会を与え、日本人社員とコミュニケーションが取れるような場を提供することが有効でしょう。
日本人のように「言わなくてもわかる」ということが外国人に対しては通用しないことが多いため、コミュニケーションを取れる場を作り、言語化して伝えるようにすることは大切です。
このように外国人社員と日本人社員が積極的に交流できる環境を整えることで、相互に刺激し合って職場の創造性や革新性を高めることができ、外国人社員が働きやすい職場づくりとしてだけでなく、結果的に企業全体の発展にも寄与するはずです。
さいごに
ここまで外国人が働きやすい職場を作るために必要な7つの取り組みを解説しました。内容は、言語サポート・適切配属・職場環境・生活支援・就労環境・教育育成・相互理解の7つです。外国人を雇用している企業やこれから雇用を考えている企業にとっては、いずれも着目すべき項目ではないでしょうか。
ただ、リソースの問題などもありますので、最初から全ての取り組みをやらなければならないわけではなく優先順位を決めて少しずつ取り組んでいけるとよいでしょう。
今回解説した中でも、就業規則の多言語化や相談窓口の設置、一時帰国の休暇制度など、外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備を通じて外国人社員の職場定着に取り組む企業に対して、助成金制度があります。
人材確保等支援助成金 外国人労働者就労環境整備助成コースのご案内
こういった助成金も活用しながら外国人が働きやすい環境づくりを進めていきましょう。
一方、外国人が働きやすい環境づくりは外国人社員の定着につながりますが、外国人社員だけ特別扱いされていると思われると、日本人社員との軋轢が生まれかねません。日本人社員に対しては、外国人特有の事情や文化への理解を深めてもらうようにしましょう。その上で日本人社員に対しても有給休暇を取得しやすい環境を作ったり、英語を勉強する機会を与えたり、業務に有益な研修を受けさせたりするなどバランスを取ることが大事でしょう。外国人だけでなく日本人にとっても働きやすい環境を作っていくことが重要です。
リガレアスでは、外国人社員が定着できるようにビザの観点から支援をしています。外国人はビザがなければ日本に住むことや働くことはできません。外国人社員が安心して働けるように、在留管理やビザのサポートを行なっています。
こちらの記事で外国人社員の定着率定着率を上げる工夫をご紹介しています。
外国人社員が働きやすい環境づくりの一環として、ビザのサポートや在留管理を検討されていましたら、リガレアス行政書士事務所にご相談ください。
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記事を書いた人
1981年生まれ、千葉県出身。行政書士として約10年間勤務した後、DX化が進んでいないビザ業務を変えるため2019年にリガレアスを設立。Twitterでも積極的に情報発信しています。
1981年生まれ、千葉県出身。行政書士として約10年間勤務した後、DX化が進んでいないビザ業務を変えるため2019年にリガレアスを設立。Twitterでも積極的に情報発信しています。