在留資格「高度専門職」のすべてがこの記事で分かる
- 2021.09.14
- 2024.01.05
リガレアス行政書士事務所の広瀬です。
高度な知識や能力を持つ外国人材の受入れを促進するため2012年から導入され、「特定活動」の在留資格で受入れを開始し、2015年に「高度専門職」が新設されました。「高度専門職」を取得すると様々な優遇措置が受けられますが、優遇措置の一つである永住権申請要件の緩和を受けるために「高度専門職」を申請する外国人は非常に多いです。
しかし、実は永住権より優遇されている措置もあり、メリットは永住権取得だけではありません。
永住権申請要件の緩和ばかり強調され、「高度専門職」自体がどのような在留資格なのかご存知ない方が多いように感じます。
そこで今回は「高度専門職」の概要やポイント制度の仕組み、優遇措置などを解説します。
本記事をお読みいただければ、「高度専門職」のすべてが理解できる内容になっておりますので、ぜひご一読ください。
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在留資格「高度専門職」とは?
「高度専門職」は、学歴、職歴、年収などの項目ごとにポイントが設けられ、ポイントの合計が70点以上になった場合に取得できる在留資格です。取得するとさまざまな優遇措置が受けられます。
ポイント計算により在留資格が取得できるのは他の在留資格と異なる点で、「高度専門職」の特徴と言えるでしょう。
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高度専門職ビザの種類と職種
「高度専門職」は1号と2号に分かれており、1号は外国人の日本での活動内容により分類され、以下のように3つに分けられています。
活動内容 | 在留資格 |
高度学術研究活動 | 「高度専門職1号イ」 |
高度専門・技術活動 | 「高度専門職1号ロ」 |
高度経営・管理活動 | 「高度専門職1号ハ」 |
さらに、「高度専門職1号」は、以下のいずれかの在留資格で日本に在留することができる外国人でなければなりません。
- 「教授」
- 「芸術」
- 「宗教」
- 「報道」
- 「経営・管理」
- 「法律・会計業務」
- 「医療」
- 「研究」
- 「教育」
- 「技術・人文知識・国際業務」
- 「企業内転勤」
- 「介護」
- 「興行」
- 「技能」
つまり、上記のいずれかの在留資格の要件に該当した上で、ポイントが70点以上あった場合に「高度専門職1号」が取得できます。
高度専門職1号イ
日本で研究、研究の指導もしくは教育活動を行う外国人の方が「高度専門職1号イ」になります。
主に「教授」、「研究」、「教育」の在留資格に相当する活動と重なり、該当する外国人の例としては大学教授や研究者などです。
高度専門職1号ロ
日本で自然科学もしくは人文科学の分野に属する知識もしくは技術を要する業務に従事する活動を行う場合に該当します。
在留資格で言えば、「技術・人文知識・国際業務」、「企業内転勤」、「教授」、「芸術」、「報道」、「経営・管理」、「法律・会計業務」、「医療」、「研究」、「教育」、「介護」、「興行」、「宗教」、「技能」です。
しかし、自然科学・人文科学の分野に属する知識もしくは技術を要する業務でなければならないため、これらの在留資格に該当する活動で70点以上ある方でも、「高度専門職1号ロ」に該当しない方もいます。
例えば、「技能」であっても調理師の方や「技術・人文知識・国際業務」であっても翻訳・通訳者などは「高度専門職」は取得できません。
高度専門職1号ハ
事業の経営または管理に従事する活動を行う場合に該当します。
主に「経営・管理」の在留資格に相当する活動と重複し、企業の経営者や管理者層になります。
高度専門職2号
「高度専門職1号」で3年以上在留していた外国人が申請できる在留資格になります。「高度専門職1号イ、ロ、ハ」のいずれかで行うことができる活動内容が該当し、ポイントが70点以上あった場合に取得可能です。
「高度専門職2号」を取得すると「永住者」と同様に在留期限が無期限となるため、ポイント以外の取得要件として「素行善良要件」と「国益要件」があります。つまり、犯罪歴がなく、税金や年金などの滞納がないことなども求められます。一方で「永住者」と異なり、長期間日本に在留していることは求められません。
高度専門職の概要をまとめると以下の図のようになります。
在留資格 | 活動内容 | 該当する在留資格 | 在留期間 |
1号イ | 【高度学術研究活動】 研究、研究の指導、教育 | 「教授」「研究」「教育」 | 5年 |
1号ロ | 【高度専門・技術活動】 自然科学もしくは人文科学の分野に属する知識もしくは技術を要する業務 | 「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」「教授」「芸術」「報道」「経営・管理」 「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「介護」「興行」「宗教」「技能」など | |
1号ハ | 【高度経営・管理活動】 事業の経営または管理 | 「経営・管理」など | |
2号 | 1号イ、ロ、ハの活動 | ほぼ全ての就労資格 | 無期限 |
ポイント制度による取得要件
(画像引用元:出入国在留管理局リーフレット)
上記は、ポイント計算の概要になります。
「高度学術研究活動」、「高度専門・技術活動」、「高度経営・管理活動」の3つの活動類型によって、項目やポイントの設定が異なっていることがお分かりになるでしょう。それぞれ該当する項目によりポイントを計算し、70点以上あれば「高度専門職」が取得できる仕組みです。
ここではそれぞれの項目ごとに説明をしていきますが、項目は多岐に渡り非常に細かいため、該当例が少ないと思われる項目については省略しています。
学歴
高度学術研究活動 | 高度専門・技術活動 | 高度経営・管理活動 | |
博士学位 | 30点 | 20点 MBA、MOT保有者は25点 | |
修士学位・専門職学位 | 20点 | 20点 MBA、MOT保有者は25点 | |
大卒 | 10点 | ||
専攻が異なる分野で、博士・修士・専門職学位を 持っている場合 | 上記のポイントに追加で5点 |
最終学歴がポイントの対象となりますので、博士と修士の両方を持っていたとしても、同じ専攻分野であれば30点になります。
下記に該当する場合は、さらにポイントが加点されます。
高度学術研究活動 | 高度専門・技術活動 | 高度経営・管理活動 | |
日本の大学・大学院を卒業 | 10点 | ||
告示で定めた大学・大学院を卒業 | 10点 |
告示で定めた大学については、以下のリンクを確認してください。
重複してポイントを受けることができますので、例えば東京大学で修士学位を取得している場合には、修士学位(20点)+日本の大学卒業(10点)+告示で定めた大学卒業(10点)=40点となります。
職歴
高度学術研究活動 | 高度専門・技術活動 | 高度経営・管理活動 | |
10年以上 | 15点 | 20点 | 25点 |
7年以上10年未満 | 15点 | 20点 | |
5年以上7年未満 | 10点 | 15点 | |
3年以上5年未満 | 5点 | 10点 |
日本で行おうとしている活動内容に関する実務経験が職歴に含まれます。全く異なる分野での職歴は含まれませんので注意してください。
年収
「高度学術研究活動」・「高度専門・技術活動」 | ||||
〜29歳 | 〜34歳 | 〜39歳 | 40歳〜 | |
1000万円以上 | 40点 | |||
900〜1000万円 | 35点 | |||
800〜900万円 | 30点 | |||
700〜800万円 | 25点 | 0点 | ||
600〜700万円 | 20点 | |||
500〜600万円 | 15点 | 0点 | ||
400〜500万円 | 10点 | 0点 |
「高度経営・管理活動」 | |
3000万円以上 | 50点 |
2500〜3000万円 | 40点 |
2000〜2500万円 | 30点 |
1500〜2000万円 | 20点 |
1000〜1500万円 | 10点 |
「高度専門・技術活動」と「高度経営・管理活動」においては、年収が300万円未満の場合、その他の項目で70点以上になったとしても、「高度専門職」の許可を受けることができません。
ここでいう年収とは、高度人材として今後1年間に受ける年収の予定額になります。今までの年収額ではないことに注意しましょう。
年齢
「高度学術研究活動」・「高度専門・技術活動」 | |
30歳未満 | 15点 |
30〜34歳 | 10点 |
35〜39歳 | 5点 |
年齢は、認定申請であれば申請書に書かれた入国予定日の時点、変更申請などであれば申請時点で計算することになります。誕生日が近づいている場合は、ポイントが変わってしまうことがありますので特に注意しなければなりません。
地位
「高度経営・管理活動」 | |
代表取締役、代表執行役、代表権のある業務執行社員 | 10点 |
取締役、執行役、業務執行社員 | 5点 |
事業の経営や管理に従事することが求められていますので、監査役や会計参与は会社法上の役員になりますが、会社の意思決定などに関与していないため、ポイント加算の対象にはなりません。
一方で、弁護士法人などの社員は上記いずれかに該当することになります。
研究実績
高度学術研究活動 | 高度専門・技術活動 | |
特許1件以上 | いずれかに該当した場合 20点2つ以上に該当する場合 25点 | 15点 |
外国政府から補助金等を受けた研究に3回以上従事 | ||
学術論文3本以上 | ||
上記以外で同等な研究実績 |
特許に関しては、発明者であることが条件です。特許権が移転し、特許権を持っていたとしても発明者でなければポイントを受けることはできません。
学術論文については、入管ではサイバース・スコーパスという学術論文データベースに収録されている論文を加算対象にしています。この項目でポイント加算を考えている場合は、論文がサイバース・スコーパスに収録されているか確認しましょう。
また、責任著者である論文のみ評価されますので、サイバース・スコーパスでは一番最初に名前が表示されていなければなりません。
資格
高度学術研究活動 | 高度専門・技術活動 | 高度経営・管理活動 | |
日本語専攻で外国の大学を卒業 またはN1合格 | 15点 | ||
N2合格 | 10点 | ||
業務に関連する外国の資格 | 5点 | ||
業務に関連する日本の国家資格 または IT告示に定める資格 | 該当なし | 1つ保有 5点複数保有 10点 | 該当なし |
上記は重複して加算することができますが、N2合格に該当する人は「N1合格」の項目と学歴の「日本の大学卒業」と重複して加算することはできません。
業務に関連する外国の資格とIT告示は、以下のリンクを確認してください。
ポイント計算例
ここではいくつか事例を取り上げ、具体的なポイント計算方法やどのような外国人が「高度専門職」に該当するか見ていきましょう。
【事例1】
早稲田大学卒業、職歴4年、26歳、年収480万円、人事業務、N1取得
「高度専門職1号(ロ)」(高度専門・技術活動)
項目 | ポイント | |
学歴 | 大卒 | 10点 |
日本の大学卒業 | 10点 | |
告示で定めた大学卒業 | 10点 | |
職歴 | 3年以上5年未満 | 5点 |
年収 | 480万円 | 10点 |
年齢 | 30歳未満 | 15点 |
資格 | N1合格 | 15点 |
合計 | 75点 |
年齢が若く職歴も少ない場合でも、日本の大学を卒業していると高度専門職のポイントを満たすことがあります。場合によっては、新卒から「高度専門職」を取得する方もいます。
【事例2】
海外大学卒業、職歴12年、34歳、年収650万円、ITエンジニア、中国の「軟件設計師」と「程序員」保有
「高度専門職1号(ロ)」(高度専門・技術活動)
項目 | ポイント | |
学歴 | 大卒 | 10点 |
職歴 | 10年以上 | 20点 |
年収 | 600〜700万円 | 20点 |
年齢 | 30〜34歳 | 10点 |
資格 | IT告示に定める資格(複数) | 10点 |
合計 | 70点 |
学歴や年収が特別に高くなくても、職歴が長く資格を持っているなど専門性を極めている方であると、高度専門職を取得できることがあります。
【事例3】
ペンシルバニア大学卒業、MBA保有、職歴6年、32歳、年収850万円、コンサルティング業務
「高度専門職1号(ロ)」(高度専門・技術活動)
項目 | ポイント | |
学歴 | MBA | 25点 |
告示で定めた大学卒業 | 10点 | |
職歴 | 5年以上7年未満 | 10点 |
年収 | 700〜800万円 | 25点 |
年齢 | 30〜34歳 | 10点 |
合計 | 80点 |
学歴や年収が高い方は、80点以上を取得することもできます。後述しますが、80点以上を取得できれば永住要件の在留歴の点で、更なる緩和が受けられます。
高度専門職の優遇措置
「高度専門職1号」の優遇措置
複合的な在留活動の許可
通常は、許可された在留資格で認められた活動しか行うことはできません。しかし、「高度専門職1号」を取得すれば、複数の在留資格にまたがるような活動を行うことが可能です。
入管法の規定を見た方が理解しやすいので、該当部分を以下に抜粋します。
(イ)当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営し若しくは当該機関以外の本邦の公私の機関との契約に基づいて研究、研究の指導若しくは教育をする活動 (ロ)当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営する活動 (ハ)当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営する活動 |
「当該活動と関連する事業を自ら経営」という規定があります。
この規定は、例えばA社の役員として活動するために「高度専門職」を取得した方が、同業他社のB社で社外取締役を兼任したり、子会社C社を設立して経営したりする活動になります。主たる活動と関連性が必要なため、IT企業の役員が飲食店を経営することは対象外です。
また、「当該活動と併せて」と規定されていますので、A社での経営活動を行わずに、B社での社外取締役だけを行うことは認められません。
(イ)で規定されている「当該機関以外の本邦の公私の機関との契約に基づいて研究、研究の指導若しくは教育をする活動」とは、例えばA大学で教授として活動している方が、B大学とも契約をして研究活動を行うような場合です。
入管のホームページで「複合的な在留活動の許可」と書かれているため、一見するとどんな活動でもできるように勘違いをしてしまいがちですが、制限はありますので気をつけなければなりません。
在留期間「5年」の付与
法律上最長の在留期間である「5年」が一律に与えられます。
受け入れ企業の規模が小さかったり、設立されたばかりの企業であったりすると、カテゴリー3や4に該当します。カテゴリー3や4の企業で就労ビザを取得すると、在留期間が「1年」など短い期間が与えられることがあります。
しかし「高度専門職1号」であればカテゴリーに関係なく「5年」を取得できるため、大きなメリットと言えるでしょう。
在留歴に係る永住要件の緩和
「高度専門職」を取得する1番のインセンティブになっているのが、この優遇措置です。
日本に10年以上在留していることが永住権取得の要件の一つですが、「高度専門職」を取得していれば、3年で永住申請の対象となります。さらにポイント計算で80点以上の方であれば、1年で永住申請が可能です。
永住権取得の要件は他にもありますので、永住権について詳しく知りたい方は下記もご参照ください。
配偶者の就労
通常、日本で就労する場合には、学歴や職歴などの条件を満たし、就労ビザを取得しなければなりませんが、「高度専門職」の配偶者であれば、それらの要件を満たさなくても就労することが認められます。
しかし、配偶者の方が就労するにはそれ以外の条件があります。
- 「高度専門職」の方と同居していること
- 日本人と同等額以上の報酬を受けること
- 以下のいずれかの活動に該当すること
①研究を行う業務に従事する活動 ②大学や高等専門学校を除く日本の教育機関で語学教育などの教育をする活動 ③自然科学若しくは人文科学の分野に属する技術若しくは知識を必要とする業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動 ④興行に係る活動以外の芸能活動で次のいずれかに該当するもの
|
上記の①〜④はそれぞれ「研究」、「教育」、「技術・人文知識・国際業務」、「興行」の在留資格の活動内容に該当します。条件を満たせば、「特定活動33号」を取得して日本で働くことができます。
優遇措置と言っても、無条件で就労することができるわけではありません。
「高度専門職」の配偶者であっても、上記に該当しない活動(例えば飲食店での勤務や大学教授として働くことなど)を行う場合は、通常の就労ビザを取得しなければなりませんし、「特定活動33号」は就労する機関と紐づいているため、転職の度に在留資格変更を行う必要があります。学歴、職歴がある方や上記の在留資格以外の就労活動を行いたい方は、通常の就労ビザ取得を検討するのが良いでしょう。
なお、配偶者で就労をしない方やアルバイトで十分な方は「家族滞在」を取得します。
「高度専門職」の配偶者の在留資格についてはこちらの記事もお読みください。
親の帯同
現在の制度では、外国にいる親を日本に呼び寄せるビザはありませんが、「高度専門職」を取得し、以下の条件を満たせば、自身の親または配偶者の親を日本に呼び寄せることができます。
- 世帯年収が800万円以上であること
- 「高度専門職」の方と同居すること
- 「高度専門職」またはその配偶者の7歳未満の子(連れ子や養子含む)を養育すること
または
「高度専門職」の方または配偶者が妊娠中で、その者に対し介助や家事を行うこと - 「高度専門職」の方または配偶者のどちらかの親に限ること
これらの条件を満たした場合は、「特定活動34号」の在留資格を取得して、日本に在留が可能です。ただし、子供が7歳になった時点で更新申請ができなくなり、原則帰国が必要になります。
前述のように、現状親を呼び寄せるビザはなく、「永住者」を持っていても認められていない優遇措置です。
一度「永住者」を取った人でも、親を呼ぶために「永住者」から高度専門職へ変更する人もいます。「高度専門職」からすぐに永住権を取得するのではなく、自身のライフプランに合わせて、「永住者」と「高度専門職」どちらが良いか判断するのも必要でしょう。
家事使用人の帯同
「高度専門職」のような高度人材の方であれば、母国語で会話ができる家事使用人を雇用したいと考えることは珍しくなく、外国人の家事使用人を雇用できることは一つのインセンティブになります。
外国人の家事使用人の雇用は、「経営・管理」や「法律・会計業務」等で在留する一部の外国人に対して認められていますが、「高度専門職」を取得した場合にも認められる優遇措置です。
家事使用人について「入国帯同型」、「家庭事情型」、「金融人材型」の3つに分けられており、それぞれ条件が異なります。
【入国帯同型】
- 世帯年収が1000万円以上あること
- 家事使用人の方が18歳以上で、「高度専門職」の方が使用する言語で日常会話ができること
- 報酬が月額20万円以上であること
- 雇用できる家事使用人は1名までであること
- 「高度専門職」の方と一緒に入国する場合は、日本入国前1年以上「高度専門職」の方に雇用されていること
- 「高度専門職」の方が先に入国する場合は、日本入国前1年以上「高度専門職」の方に雇用されており、「高度専門職」の方が日本入国後も「高度専門職」の方または同居していた親族に雇用されていること
- 「高度専門職」の方と一緒に出国すること
家事使用人は日本入国前から「高度専門職」の方に雇用されており、一緒に日本へ入国・出国することが求められ、雇用主を変更することができないことに注意してください。
【家庭事情型】
- 世帯年収が1000万円以上あること
- 家事使用人の方が18歳以上で、「高度専門職」の方が使用する言語で日常会話ができること
- 報酬が月額20万円以上であること
- 雇用できる家事使用人は1名までであること
- 13歳未満の子または配偶者が日常の家事に従事することができないこと
配偶者が日常の家事に従事することができない理由には、怪我や病気だけでなく、日本の企業でフルタイムで働いていることも含まれます。
「入国帯同型」と違い家事使用人は雇用主を変更できますが、子供が13歳になった時や配偶者が日常の家事に従事することができるようになった場合は、期間更新ができません。
【金融人材型】
- 世帯年収が1000万円以上あること
- 家事使用人の方が18歳以上で、「高度専門職」の方が使用する言語で日常会話ができること
- 報酬が月額20万円以上であること
- 雇用できる家事使用人は2名まで
- 「高度専門職」の方が金融商品取引法第28条第2項に規定する第二種金融商品取引業、同条第3項に規定する投資助言・代理業または同条第4項に規定する投資運用業に係る業務に従事していること
家事使用人を1名だけ雇用する場合は世帯年収が1000万円以上で良いですが、2名雇用する場合には3000万円以上必要になります。
「入国帯同型」では家事使用人が雇用主を変更できないことや「家庭事情型」では子供が13歳未満でなければならないなどの制限がありますが、「金融人材型」であればこの点において制限はありません。
証券会社や投資会社などの投資運用事業に従事する方であれば、「金融人材型」で家事使用人を雇用するのが良いでしょう。
入国・在留手続きの優先処理
申請は、入管で優先的に審査されることになっています。申請が受理されてから審査が終わるまで、認定申請は10日以内、変更や更新申請は5日以内です。
しかし、入管が混んでる場合は審査が遅くなることはありますので、余裕を持って申請するのが望ましいでしょう。
「高度専門職2号」の優遇措置
「高度専門職1号」の活動と併せて、ほぼ全ての就労資格の活動可能
「高度専門職1号イ、ロ、ハ」のいずれかの活動と、それに併せて「教授」、「芸術」、「宗教」、「報道」、「法律・会計業務」、「医療」、「教育」、「技術・人文知識・国際業務」、「介護」、「興行」、「技能」に該当する活動を行うことができます。
「高度専門職1号」とは異なり、転職をした場合でも在留資格を変更する必要はありません。
在留期間「無期限」
永住権と同様に在留期間が無期限になり、更新申請が不要になります。
また、「高度専門職1号」の優遇措置のうち、以下の優遇措置は引き続き受けることが可能です。
- 在留歴に係る永住要件の緩和
- 配偶者の就労
- 親の帯同
- 家事使用人の帯同
高度専門職ビザの必要書類
- 申請書
- 顔写真
- ポイント計算表
- 各項目に応じてポイントを立証する資料
- 日本で行う活動に応じた各在留資格の必要書類
1、2は説明不要だと思いますので、3から説明していきます。
ポイント計算表
入管でフォーマットが用意されています。項目ごとに該当する箇所にチェックを入れ、70ポイント以上あることを確認したものを入管に提出します。
各項目に応じてポイントを立証する資料
ポイント計算表でチェックを入れた項目で、そのポイントがあることを立証する資料を提出します。前述の「ポイント制度による取得要件」の項目に対応しています。
学歴
卒業証明書や学位証書によって学歴を立証します。
専攻が異なる分野で、博士・修士・専門職学位を持っていることを立証する場合は、成績証明書を添付し、それぞれの学位で専攻が違うことを立証してください。
職歴
これまで在籍した企業からの在籍証明書や退職証明書を提出します。
日本で行う業務に関する実務経験とその業務に従事していた期間を立証する必要がありますので、証明書には在籍期間や職務内容が記載されていなければなりません。
転職が多い方は、在籍したすべての企業から証明書を取得することが難しいこともあるでしょう。ポイントを立証するのに必要な期間があれば十分ですので、必ずしも全ての企業から証明書を取得する必要はありません。
また、その他の項目でポイントを立証できるのであれば、無理に全ての職歴を立証しなくても良いです。
年収
日本で所属する企業から、今後1年間に受ける年収予定額を記載した文書を作成してもらい、提出します。
これまでに受けた年収額ではないことに注意してください。
年齢
パスポートコピーなどで年齢を立証することができます。
地位
企業の登記簿謄本によって外国人の方の地位を立証します。
研究実績
特許については、発明者の名前が記載されている特許証を提出してください。
外国政府から補助金を受けた研究に従事していることを立証する資料として、氏名が記載されている交付決定書などが必要になります。
また、学術論文に関しては、サイバース・スコーパスの画面コピーなどを提出すれば良いです。
資格
日本語能力試験を立証する場合は、N1やN2の合格証明書を提出します。
また、その他の資格に関しても、外国の資格証明書や日本の国家資格証明書、IT告示に該当する資格の合格証明書が必要です。
項目 | 立証資料 |
学歴 | 卒業証明書・学位証書など |
職歴 | 在職証明書・退職証明書など |
年収 | 予定年収証明書など |
年齢 | パスポートなど |
地位 | 登記簿謄本など |
研究実績 | 特許証、補助金交付決定書、サイバース・スコーパスなど |
資格 | 日本語能力試験合格証、資格証明書など |
日本で行う活動に応じた各在留資格の必要書類
例えば、「技術・人文知識・国際業務」に係る活動を行う場合には、最終学歴の卒業証明書や履歴書、労働条件通知書などを提出します。
さらに、カテゴリー分けがされている在留資格に関しては、カテゴリーに応じた書類の提出も必要です。
なお、卒業証明書などポイントの疎明資料として提出し重複する場合は、重ねて提出する必要はありません。
高度専門職の注意点
「高度専門職1号」を取得するとパスポートに「指定書」という紙が貼られます。
この「指定書」に所属機関が明記され、転職をした場合には必ず在留資格変更許可申請を行わなければなりません。例え、同じ活動内容で「高度専門職」であったとしても、「高度専門職1号ロ」から「高度専門職1号ロ」へ在留資格変更を行うことになります。
また、会社を辞めたりなどで、高度専門職の活動を6ヶ月以上行わないと在留資格取消事由に該当することに注意してください。在留資格を取り消されると日本を出国しなければなりません。この点は「高度専門職2号」でも適用され、「永住者」とは異なります。
さいごに
ここまで「高度専門職」の概要から、ポイント制度の仕組み、受けられる優遇措置などを解説しました。「高度専門職」がどのような在留資格であるかご理解いただけたのではないでしょうか。
永住申請への近道という側面だけではなく、高度な能力を持つ外国人を日本へ呼び寄せるためのさまざまな優遇措置が用意されています。海外のグループ会社からの呼び寄せや海外採用において、優秀な外国人を招聘するインセンティブとして活用していただくと良いと思います。
リガレアスではこれまでも多くの「高度専門職」に関する申請やご相談をお受けしております。外国人の招聘でお困りごとがございましたらお気軽にご相談ください。
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記事を書いた人
1981年生まれ、千葉県出身。行政書士として約10年間勤務した後、DX化が進んでいないビザ業務を変えるため2019年にリガレアスを設立。Twitterでも積極的に情報発信しています。
1981年生まれ、千葉県出身。行政書士として約10年間勤務した後、DX化が進んでいないビザ業務を変えるため2019年にリガレアスを設立。Twitterでも積極的に情報発信しています。