リガレアス行政書士事務所の広瀬(@tatsu_ligareus)です。

コロナ禍以降、外国人の日本への入国制限が始まる前までは日本に入国する外国人は年々増加していました。2019年の統計では、日本に入国した外国人は約3100万人(再入国者を含む)で、過去最高の入国者数でした。入国者を在留資格別に見てみると、下のグラフのようになります。

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(参考:出入国在留管理庁

上のグラフのように、日本に入国するほとんどの外国人の在留資格は「短期滞在」で、入国者の89%を占めています。にもかかわらず、「短期滞在」とはどういう在留資格なのか意外と知らない人が多いのではないでしょうか。

「短期滞在」は、観光や知人・親族を訪問する目的などで取得するビザですが、今回は日本の企業のご担当者向けに特にビジネスでの入国を目的とする短期商用について解説していきます。

「短期滞在(短期商用)」とはどういった在留資格なのか、そしてどういった手続きが必要なのかがおわかりいただける記事になっています。

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短期滞在(短期商用)ビザとは?

外国人がビジネス目的で日本に短期間滞在し、報酬を受けない活動をするための在留資格です。一般的に「ビジネスビザ」と呼ばれることもありますが、正式な在留資格名は「短期滞在」と言います。

 

回数有効期間在留期間
一次査証1回3ヶ月15日、30日、90日
数次査証複数回1年、3年、5年、10年

 

「短期滞在」には、「一次査証」と「数次査証」の2種類があります。

一次査証は、有効期間内に一度だけ使用することができる査証で、一度日本に入国すると無効になります。原則、有効期間は発給されてから3ヶ月以内です。在留期間は実際の滞在予定期間に応じて、日本大使館・総領事館で決定され、定められた在留期間内は日本に滞在することが可能です。

例えば、4月1日に在留期間90日の一次査証が発給された場合、査証の有効期限は7月1日になります。在留期間は日本に入国した日の翌日から起算されるので、7月1日に入国した場合は9月29日が在留期限になり、その日までに日本を出国しなければなりません。

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一方で数次査証は、有効期間内であれば何度も日本に入国することができます。査証の有効期間が1年で在留期間が15日の場合、査証が発給されてから1年以内であれば、15日以内の滞在が何度でも可能です。

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数次査証は全ての人が申請できるわけではありません。また有効期間も5年までしか申請できない国籍があるなど、国籍や身分・職業などによって異なりますので、数次査証を申請しようとする際は、数次査証が申請できるか確認をした上で、進めていく必要があります。

短期滞在(短期商用)ビザに該当する具体例

前述したように、「短期滞在」は日本に短期間滞在して報酬を受けない活動のみ該当します。少しわかりにくいと思うので、ここで「短期滞在」で行うことができる具体例を挙げてみましょう。

 

「短期滞在(短期商用)」に該当する具体例
見学や視察、会議や会合への参加、講習や説明会への参加、講義や講演、業務連絡、商談、ミーティング、契約調印、
アフターサービス、宣伝、市場調査、機械の設置やメンテナンス

 

ビジネス目的の「短期滞在」の場合、日本で行うことができる活動は上記表のようになり、いずれもいわゆる出張で行うような内容です。

報酬を受けない活動のため、たとえ90日以内の短期的な滞在であっても、ソフトウェア開発を行うなど、報酬が発生すると見込まれるような活動は「短期滞在」に該当しません。海外から報酬が出る場合でも「報酬が発生する活動」とみなされます。報酬が発生する活動を行う際は、短期間であっても「技術・人文知識・国際業務」などの就労の在留資格を取得しましょう。

ただ、機械の設置やメンテナンスなど海外の主たる業務に関する付随業務を行う場合は、「報酬を受ける活動」には該当せず、「短期滞在」になります。

我々専門家であってもどこまでが「短期滞在」に該当するのか、明確に線引きをすることは非常に難しいです。「短期滞在」を便宜的に利用して日本に入国をされている外国人も見受けられますが、「短期滞在」で認められる活動はとても限定的であることを理解しておきましょう。

査証免除国について

外国人が日本に入国する際には、必ず査証(ビザ)が必要です。しかし、事前に査証を取得することを免除されている国があります。2022年8月時点で査証免除国は68カ国です。

 

アジア
インドネシア、シンガポール、タイ、マレーシア、ブルネイ、韓国、台湾、香港、マカオ

 

北米
アメリカ、カナダ

 

欧州
アイスランド、アイルランド、アンドラ、イタリア、エストニア、オーストリア、オランダ、キプロス、ギリシャ、クロアチア、サンマリノ、スイス、スウェーデン、スペイン、スロバキア、スロベニア、セルビア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、ハンガリー、フィンランド、フランス、ブルガリア、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、北マケドニア、マルタ、モナコ、ラトビア、リトアニア、リヒテンシュタイン、ルーマニア、ルクセンブルク、イギリス

 

中南米
アルゼンチン、ウルグアイ、エルサルバドル、グアテマラ、コスタリカ、スリナム、チリ、ドミニカ共和国、バハマ、
バルバドス、ホンジュラス、メキシコ

 

大洋州
オーストラリア、ニュージーランド

 

中東
アラブ首長国連邦、イスラエル、トルコ

 

アフリカ
チュニジア、モーリシャス、レソト

 

上記の国籍の方が「短期滞在」の目的で日本に入国する場合は、事前に査証を取得することなく、日本に入国できます。いわゆる「ビザなし」と呼ばれるものです。日本の空港で審査が行われ、「短期滞在」の在留資格を取得します。

日本で就労や留学などの長期滞在の目的で、在留資格認定証明書(COE)を持って日本に入国する場合には、査証免除国であっても査証を取得しなければならないので注意しましょう。

日本へ入国する際に与えられる在留期間は「90日」ですが、インドネシアとタイは「15日」、ブルネイは「14日」、アラブ首長国連邦は「30日」となります。

アイルランド、オーストリア、スイス、ドイツ、リヒテンシュタイン、イギリス、メキシコは最長6ヶ月以内の滞在が認められていますので、90日を超えて滞在する場合は、日本国内の出入国在留管理局で在留期間更新許可申請が可能です。

短期滞在(短期商用)ビザの申請に必要な書類

本人側日本側
・パスポート

・査証申請書

・顔写真

・在職証明書

・出張命令書

・航空便の予約確認書

・ホテルの予約確認書

・招へい理由書

・身元保証書

・滞在予定表

・招へい機関に関する資料(登記簿謄本など)

 

「短期滞在」の申請に必要な書類は、大きく分けて本人が準備する資料と日本側が準備する資料の2つに分けられます。上の表は、「短期滞在」(短期商用)の申請で求められる一般的な書類です。

数次査証を申請する場合、上記書類に加え、日本への過去の渡航歴や日本の招へい機関との関係、数次の渡航目的を説明する資料などを求められることがあります。国籍や職業などの申請人の状況や申請を行う大使館・総領事館によっても書類が異なりますので、書類の準備を始める前に、大使館・総領事館に必要書類を確認することをお勧めします。

前述のように、日本側でも準備をしなければならない書類があるため、申請人本人任せでは申請はできません。日本の招へい機関側でも協力して準備をすることが必要です。その日本側で準備が必要な招へい理由書、身元保証書、滞在予定表は様式がありますので大使館・総領事館のホームページからダウンロードして利用しましょう。

日本の招へい機関で書類を作成する際に、よくある質問として身元保証人の責任の範囲があります。

身元保証書では、申請人の日本入国に関して以下の事項について保証することになります。

  • 滞在費
  • 帰国旅費
  • 法令の遵守

「保証人」と聞くと連帯保証人などを連想してしまう方がいると思いますが、ここでの身元保証人は法的な責任はなく道義的な責任のみとなります。つまり、保証事項について履行されなかった場合でも罰則はありません。

ただし、保証事項が履行されない場合は、それ以降の査証申請で身元保証人としての信頼を失うことがあるため注意が必要です。特に短期商用の場合は、日本の招へい機関の代表者や役職者が身元保証人になることがほとんどですので、罰則がないからといって保証事項を履行しないという無責任なことは避けるべきでしょう。

短期滞在(短期商用)ビザの申請方法

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まずは必要書類を準備することから始めます。必要書類が準備できたら、申請人が居住する地域を管轄する日本大使館・総領事館で申請を行います。通常は申請人が大使館・総領事館で直接申請を行いますが、大使館・総領事館によっては指定の代理申請機関を通して申請を行わなければならないことがありますので、申請方法は必ず事前に確認してください。

居住地を管轄する大使館・総領事館で申請をしなければなりませんので、中国に居住する中国人がシンガポール出張中にシンガポールにある大使館・総領事館で査証申請をすることはできません。海外出張が多いビジネスパーソンは、査証申請のスケジュールを確保して手続きを進める必要があります。

ただし、やむを得ない理由がある場合は、居住地以外の大使館・総領事館でも申請が受け付けられることもありますので、その場合は事前に申請先に相談してみましょう。

査証申請が受理されると審査が始まります。大使館や総領事館によって異なりますが、一般的な審査期間は5業務日です。「業務日」とは土日などの休館日を除いた日で、例えば火曜日に申請が受理された場合は翌週の月曜日に査証が発給されます。

代理申請機関を通した場合は、代理申請機関とのやり取りに時間を要することがあり、実際の期間は5業務日以上かかることもありますので、十分に時間に余裕を持って手続きするのが良いです。

審査が終了し申請が許可されるとパスポートに査証が貼られます。査証が発給されたら、有効期間などを確認し、その期間内に日本に入国しましょう。

2022年8月時点では、日本は外国人の入国制限を行っており、査証免除が停止されています。そのため、査証免除国であっても必ず査証申請を行わなくてはなりません。しかし、2022年8月18日から以下の方々についてオンラインで査証申請ができるようになりました。

  • アメリカ在住のアメリカ国籍者
  • カナダ在住のカナダ国籍者

オンライン上で査証申請を行い、電子ビザが発給され、スマートフォンで査証を表示することができます。まだ対象者は限定的ですが、この方法であれば大使館で直接申請する必要がありませんので申請人にとっては便利になるでしょう。

なお、入国制限がある間はERFS(エルフス)を利用して「受付済証」の取得が必要です。ERFSについてはこちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひお読みください。

短期滞在(短期商用)ビザの注意点

注意点① 査証の再申請

申請が不許可になり、査証が不発給になってしまった場合、6ヶ月間は同一目的で再申請することができません。これは査証発給拒否後すぐに申請を行なったとしても、事情が変わっていない以上、不許可になることが明らかであるためです。

査証の発給拒否の理由は開示されませんが、査証の発給の基準は以下のように公表されています。

  • 有効な旅券を持ち、本国への帰国または在留国への再入国の権利、資格が確保されている
  • 提出書類が適正である
  • 日本での活動内容または申請人の身分・地位及び在留期間が入管法で定める在留資格及び在留期間に適合する
  • 入管法第5条第1項各号(反社会性が強い、退去強制歴があるなど)のいずれにも適合しないこと

査証を申請する際には、適切な書類を準備して、上記の基準に適合するように申請を進める必要があります。

注意点② 在留期間

「180日」ルールと呼ばれるものがあります。これは日本の滞在日数が1年間のトータルで180日以内でなければならないというルールです。

1年間での滞在日数がトータルで180日を超えるような場合は、査証申請ができなかったり、日本に入国することができなかったりします。数次査証を持っている方や査証免除国の方でも、日本に何度も入国し、トータルで180日を超えてしまうような場合は、報酬を受ける就労活動をしていると疑われ、入国ができないことがあります。日本に頻繁に出張される外国人の方は、特に注意が必要です。

最初から180日を超えて日本に滞在が見込まれる場合は、就労などの別の在留資格を取得するのが良いでしょう。

注意点③ 在留資格変更

よく「短期滞在」で日本在留中に就労ビザに変更したいというご相談がありますが、原則として「短期滞在」から在留資格の変更はできません。

しかし、「短期滞在」からの資格変更は、「やむを得ない特別の事情」がある時にのみ変更が認められます。「短期滞在」で在留中に在留資格認定証明書が交付された場合、「やむを得ない特別の事情」があると認められ、在留資格の変更が許可されたケースも過去にはありました。

このような過去のケースを聞き知っている方が、変更申請を希望されてくることもありますが、近年は非常に厳しくなっているため、変更が認められないケースも多いです。在留資格認定証明書が交付された後に日本国内で在留資格変更を行い、不許可を受けてしまった場合には、再度在留資格認定証明書交付申請を行わなければならないなどリスクも大きいため、「短期滞在」から在留資格を変更することをお勧めしません。

さいごに

ここまで「短期滞在(短期商用)」について解説してきました。

査証免除国の方の場合は、事前に査証を取得する必要がないため、便宜的に利用していることもあるようですが、「短期滞在」は日本に「短期間」滞在し「報酬を受けない活動」をするための在留資格で、日本でできることは限定的であることを理解しておきましょう。

頻繁に海外から外国人を呼び寄せ、毎回90日ギリギリまで滞在させていた会社が入管から指摘を受けたという事例もあります。海外から外国人を招へいする際は、適切な在留資格を取得した上で呼び寄せましょう。

リガレアスでは、外国人が日本へ入国する際のコンサルテーションや書類作成代行など、「短期滞在」の査証申請サポートも行っております。コンプライアンス上問題がないようにアドバイスし、安心して日本へ招へいできるようサポートを行っております。

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