高度専門職外国人の配偶者が長期滞在や就労するために必要なビザは?
- 2024.01.05
リガレアス行政書士事務所の広瀬(@tatsu_ligareus)です。
「高度専門職」をもつ外国人が配偶者を日本に呼び寄せる場合、「家族滞在」や「特定活動(33号・高度専門職外国人の就労する配偶者)」を取得することが必要です。それぞれの在留資格で行うことができる活動や取得要件などは異なります。
そこで今回は、高度専門職の配偶者が日本に長期で滞在したり、就労したりする場合に必要な「家族滞在」や「特定活動(33号・高度専門職外国人の就労する配偶者)」について解説します。
本記事をお読みいただければ、「高度専門職」の配偶者を呼び寄せる際の在留資格についてご理解いただけます。
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目次
高度専門職とは?
「高度専門職」とは、学歴、職歴、年収などの項目ごとにポイントが設けられ、ポイントの合計が70点以上になった場合に取得できる在留資格です。
「高度専門職」には1号と2号があり、1号は外国人の活動内容によってイ・ロ・ハに分かれます。
在留資格 | 活動内容 | 該当する在留資格 | 在留期間 |
1号イ | 【高度学術研究活動】 研究、研究の指導、教育 | 「教授」「研究」「教育」 | 5年 |
1号ロ | 【高度専門・技術活動】 自然科学もしくは人文科学の分野に属する知識もしくは技術を要する業務 | 「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」「教授」「芸術」「報道」「経営・管理」 「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「介護」「興行」「宗教」「技能」など | |
1号ハ | 【高度経営・管理活動】 事業の経営または管理 | 「経営・管理」など | |
2号 | 1号イ・ロ・ハの活動 | ほぼ全ての就労資格 | 無期限 |
高度専門職の優遇措置制度とは?
「高度専門職1号」を取得すると、上記のようにさまざまな優遇措置を受けることができます。
永住要件の緩和や親の帯同、在留期間「5年」の付与などは、「高度専門職」をもつ外国人にとって大きなメリットといえるでしょう。ただし親や家事使用人を帯同させるためには、年収など追加の条件があり、誰でも帯同させることができるわけではありません。
「高度専門職」についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
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高度専門職の配偶者として申請できる在留資格について
ここでは、「高度専門職」の配偶者として申請できる在留資格について解説します。
在留資格「家族滞在」
「家族滞在」は、外国人の配偶者や子どもが取得できる在留資格です。
ここでいう配偶者とは、婚姻が法律上有効に存続している人をいいます。事実婚といった内縁の方は含まれません。また、婚姻関係があったとしても同居せずに婚姻の実態が伴っていない場合も「家族滞在」は認められません。
さらに、扶養者である「高度専門職」の扶養を受けることが要件です。配偶者が経済的に自立している場合は「家族滞在」に該当しなくなります。
「家族滞在」では原則就労することができませんが、資格外活動許可を取得すれば、1週間に28時間以内で働くことが可能です。
在留期間は、5年を超えない範囲で月単位で決定されますが、扶養者と同時に入国するような場合は、通常扶養者と同じ在留期間が与えられます。「高度専門職」は5年の在留期間が与えられるため、「家族滞在」も5年が与えられることになります。
「家族滞在」についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
在留資格「特定活動(33号・高度専門職外国人の就労する配偶者)」
「高度専門職」をもつ外国人が受けることができる優遇措置の一つとして、配偶者の就労があります。その際に取得する在留資格が「特定活動」(33号)です。
この在留資格においての配偶者も「家族滞在」と同様に、法律上婚姻関係がなければなりません。
通常、日本で就労する場合には、学歴や職歴などの条件を満たした上で就労の在留資格を取得しなければなりませんが、「高度専門職」の配偶者であれば、それらの要件を満たさなくても就労することができます。
ただし、無条件で就労することができるわけではなく、以下のような要件を満たす必要があります。
- 「高度専門職」の方と同居していること
- 日本人と同等額以上の報酬を受けること
- 以下のいずれかの活動に該当すること
- 研究を行う業務に従事する活動
- 大学や高等専門学校を除く日本の教育機関で語学教育などの教育をする活動
- 自然科学もしくは人文科学の分野に属する技術もしくは知識を必要とする業務または外国の文化に基盤を有する思考もしくは感受性を必要とする業務に従事する活動
- 興行に係る活動以外の芸能活動で次のいずれかに該当するもの
- 商品または事業の宣伝に係る活動
- 放送番組または映画の製作に係る活動
- 商業用写真の撮影に係る活動
- 商業用のレコード、ビデオテープその他の記録媒体に録音または録画を行う活動
上記の1〜4はそれぞれ「研究」、「教育」、「技術・人文知識・国際業務」、「興行」の在留資格の活動内容に該当します。
「特定活動」(33号)では、飲食店での勤務や大学教授として働くことなど、上記に該当しない活動を行うことはできません。
また、「特定活動」(33号)は就労する企業と紐づいているため、転職の度に「特定活動」(33号)から「特定活動」(33号)に在留資格を変更しなければなりません。
上記の就労活動以外を行いたい場合で学歴や職歴などの就労の在留資格の要件を満たしているのであれば、通常の就労の在留資格取得を検討するのがよいでしょう。
在留期間は、雇用契約期間に応じて1年、3年、5年のいずれかが決定されます。そのため、「家族滞在」とは異なり、「高度専門職」の方と同じ在留期間にならないことがあります。
高度専門職の配偶者が就労するための3つの方法
「高度専門職」の配偶者が日本で就労するためには、以下3つの方法が考えられます。それぞれみていきましょう。
資格外活動許可を取得する
「家族滞在」を取得した場合は、原則日本で就労することはできません。しかし、資格外活動許可を取得すれば働くことが可能です。
資格外活動許可を取得するためには、以下の要件を満たさなければなりません。
<取得要件(一般原則)>
- 資格外活動により現に有する在留資格の活動が妨げられないこと
- 現に有する在留資格に係る活動を行なっていること
- 申請に係る活動が入管法別表第一の一の表または二の表の在留資格で認められていること(「特定技能」及び「技能実習」を除く)
- 申請に係る活動が法令違反や風営法に該当するものでないこと
- 収容令書の発付または意見聴取通知書の送達もしくは通知を受けていないこと
- 素行が不良でないこと
- 本邦の公私の機関との契約に基づく在留資格に該当する活動を行なっている者については、当該機関が資格外活動を行うことに同意していること
「家族滞在」をもっている人が資格外活動を行い、扶養者の収入額を超えてしまうと扶養を受ける活動とはいえなくなります。この場合、上記の一般原則に該当しなくなり、資格外活動許可を受けられなくなりますので注意しましょう。
資格外活動許可には「包括許可」と「個別許可」の2種類があります。資格外活動許可をもつほとんどの外国人は包括許可でしょう。
包括許可は、1週間で28時間以内で働く場合に申請するもので、上記の一般原則のうち、3以外を満たせば許可を受けられます。法令違反や風営法に該当する職種以外であれば業務内容に制限はなく、単純労働も可能です。また「包括」という言葉通り、勤務先や活動内容を定めずに許可を受けることが可能ですので、就労先が決まっていなくても申請ができます。
一方で個別許可は、包括許可の範囲外の活動に従事する場合に申請するものです。一般原則全ての要件を満たす必要があり、勤務先や活動内容など個々に定められて許可されます。業務委託で仕事を受注し、客観的に稼働時間を確認することができないような業務も個別許可で申請することになります。
資格外活動許可について詳しく知りたい方は、こちらの記事をお読みください。
特定活動(33号・高度専門職外国人の就労する配偶者)を取得する
「高度専門職」の優遇措置の一つとして、配偶者は一定の要件を満たせば、学歴や職歴などがなくても「特定活動」(33号)を取得して就労することが可能です。
ただし、前述のように行うことができる就労活動は限定的で、「研究」、「教育」、「技術・人文知識・国際業務」、「興行」の在留資格の活動内容に該当するものでなければなりません。これらの活動内容以外の就労活動を行う場合には、別の就労の在留資格を取得する必要があります。
また転職の度に在留資格を変更しなくてはいけない点に注意が必要です。
就労の在留資格を取得する
就労の在留資格は19種類あり、日本で行う活動内容によって取得する在留資格が異なります。例えば、エンジニアとして働く場合は「技術・人文知識・国際業務」、大学教授は「教授」、調理師は「技能」などです。
在留資格ごとに取得要件や必要書類も違いますので、どの在留資格に該当するか判断した上で申請しましょう。
就労の在留資格については、こちらの記事もお読みください。
さいごに
ここまで「高度専門職」の配偶者が日本に長期滞在や就労するための在留資格について解説してきました。特に「家族滞在」と「特定活動」(33号)についてお分かりいただけたと思います。
外国人を雇用する際、会社はその外国人社員だけでなく、家族の在留資格についてもケアする必要があります。外国人社員にとって家族と一緒に日本で暮らすことができるのは仕事へのモチベーションになる一方、家族と一緒に住むことができなければ、日本を離れたいと考えるでしょう。仕事に集中できる環境づくりの一環として家族のビザもサポートすることをお勧めします。
リガレアスでは、「高度専門職」をはじめとした就労ビザはもちろん、本記事で解説した「家族滞在」や「特定活動」(33号)などの家族のビザサポートも行っています。リガレアスのサービスにご関心がありましたら、サービス資料をダウンロードしてください。
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記事を書いた人
1981年生まれ、千葉県出身。行政書士として約10年間勤務した後、DX化が進んでいないビザ業務を変えるため2019年にリガレアスを設立。Twitterでも積極的に情報発信しています。
1981年生まれ、千葉県出身。行政書士として約10年間勤務した後、DX化が進んでいないビザ業務を変えるため2019年にリガレアスを設立。Twitterでも積極的に情報発信しています。