未来創造人材制度(J-Find)とは?要件や特定活動ビザ(未来創造人材)付与までのプロセスについても解説
- 2024.11.08
- 2024.11.09
リガレアス行政書士事務所の広瀬(@tatsu_ligareus)です。
日本は、これまでも海外から高度人材を受け入れるために「高度専門職」の導入を行い、高度人材受け入れを促進してきました。さらに高度人材の受け入れについて改革を進めていく必要性から、ポテンシャルの高い若者を早期に呼び込むことを目的として未来創造人材制度(J-Find)が2023年4月から導入されました。今後、この制度を利用して、優秀な外国人が日本に来ることが予想されるでしょう。
そこで今回は未来創造人材制度(J-Find)について解説していきます。
制度の内容や取得要件、取得後にできる活動内容や注意点などを詳しく解説しますので、本記事をお読みいただければ、未来創造人材制度がどのようなものか網羅的にご理解いただけるはずです。
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目次
未来創造人材制度(J-Find)とは?
ここでは、未来創造人材制度(J-Find)がどのようなものか解説します。
未来創造人材制度(J-Find)とは?
2022年9月29日に行われた教育未来創造会議で、総理が「高度人材の受入れについて、世界に伍する水準の新たな制度の創設を含め、改革を進めていく必要があり、(中略)年度内に具体化してください」という発言をされました。それを受け、2023年2月17日に外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議において新制度案を決定し、2023年4月21日から未来創造人材制度(J-Find)が導入されました。
(参考:高度外国人材の受入れに係る「新たな制度」の創設について)
未来創造人材制度は、優秀な海外大学等を卒業した人が日本で就職活動や起業準備活動を行う場合に、在留資格「特定活動」(未来創造人材)を付与し、最長2年間の滞在が可能になるものです。
これまでも就職活動や起業活動のための「特定活動」や「経営・管理」といった在留資格はありました。しかし、日本にいる人が対象であったり、期間が6ヶ月から1年間だけであったり、また起業活動の要件として事業所の確保や2人以上の常勤職員または500万円以上の出資金等を求めるなど、制限が多かったです。
「特定活動」(未来創造人材)であれば、後述する要件を満たすことで最長2年間、就職活動や起業準備活動、これらを行うために必要な資金を補うための就労を行うことが可能になります。優秀な外国人材であれば、これまで以上に日本で就職活動や起業活動を行いやすくなる在留資格です。
未来創造人材の要件
「特定活動」(未来創造人材)の要件は、以下になります。
- 18歳以上であること
- 3つの世界大学ランキング中、2つ以上で100位以内にランクインしている大学を卒業、またはその大学の大学院の課程を修了して学位または専門職学位を授与
- 卒業から5年以内
- 滞在当初の生計維持費20万円の所持
世界大学ランキングとは、以下3つのランキングを指します。
- Quacquarelli Symonds公表のQS World University Rankings
- Times Higher Education公表のWorld University Rankings
- Shanghai Ranking Consultancy公表のAcademic Ranking of World Universities
上記の世界大学ランキングのうち、2つ以上で100位以内にランクインしている大学などを卒業して、学位をもっていることが必要です。
対象となる大学は以下のリンクで確認できます。
(参考:未来創造人材制度の対象となる大学一覧)2023年9月時点
なお、ランキングは変動することがありますので、申請時点のランキングを確認するようにしましょう。
また、その対象大学を卒業してから5年以内であることが必要です。たとえ対象大学を卒業していたとしても、5年以上経過していると認められません。
そして、申請人名義の預金口座に日本円に換算して20万円以上あることが求められます。申請人の預金口座でなければならない点に注意しましょう。
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特定活動ビザ(未来創造人材)付与までのプロセス
「特定活動」(未来創造人材)を取得するまでのプロセスを解説します。
申請に必要な書類と準備
「特定活動」(未来創造人材)を取得するには、在留資格認定証明書(COE)交付申請または在留資格変更許可申請が必要です。必要書類は両方の手続きでほぼ一緒ですので、併せて解説します。
申請に必要な書類は以下のとおりです。
必要書類 | |
1 | 申請書 |
2 | 顔写真 |
3 | パスポート |
4 | 在留カード(在留資格変更許可申請時) |
5 | 大学の卒業証明書または大学院の修了証明書 |
6 | 経歴書 |
7 | 滞在予定表 |
8 | 申請人名義の預金残高証明書 |
前述した、3つの世界大学ランキング中、2つ以上で100位以内にランクインしている大学の卒業証明書または大学院の修了証明書が必要です。また証明書の卒業・修了年月日が申請から5年以内のものでなければなりません。
経歴書は、入管の様式がありますので、その様式に従って準備しましょう。経歴書の内容は、職歴、学歴、日本在留歴です。
滞在予定表も同様に入管の様式があります。滞在予定表には、滞在予定の都道府県・都市名、滞在期間、日本での活動内容を記入しなければなりません。
預金残高証明書では、日本円で20万円以上の預金があることを立証します。残高が日本円に換算して20万円以上あることや名義が申請人のものであることが必要です。また、可能な限り申請日に近い日付の預金残高証明書を準備しましょう。
申請から取得までのステップ
前述したように、「特定活動」(未来創造人材)を取得するには、在留資格認定証明書交付申請または在留資格変更許可申請のどちらかを行わなければなりません。在留資格認定証明書交付申請は海外から日本に来る方が行う手続きで、在留資格変更許可申請は日本にいる方が取得する際に行う手続きです。
どちらの申請も日本にある入管で行わなくてはなりません。在留資格認定証明書交付申請は、日本の受入機関である会社や学校が代理で行いますが、「特定活動」(未来創造人材)は日本に受入機関がないため、代理での申請が難しくなります。そのため、外国人本人が日本に「短期滞在」で来て、自分で申請を行う必要があります。在留資格認定証明書が交付された後に、日本大使館や領事館で査証(VISA)申請を行い、査証が発給されれば日本に渡航するという流れです。
なお、在留資格認定証明書がなくても査証申請を受け付けている日本大使館や領事館がありますので、申請を検討している場合は、日本大使館や領事館に一度確認してみるのがよいでしょう。
在留資格変更許可申請は、日本で在留資格をもっている方が別の在留資格へ変更するための申請です。「特定活動」(未来創造人材)の取得をする際は、居住する地域を管轄する入管で在留資格変更許可申請を行います。審査の結果、許可を受けることができれば在留カードが交付されます。
在留資格認定証明書(COE)についてはこちらの記事もお読みください。
特定活動ビザ(未来創造人材)取得後について
ここでは、「特定活動」(未来創造人材)を取得した際にできることについて解説します。
未来創造人材でできる活動
「特定活動」(未来創造人材)を取得した際に、日本で行うことができる活動内容は以下になります。
- 就職活動
- 起業準備活動
- 上記活動を行うために必要な資金を補うための就労
日本で就職や起業をするための就職活動や起業準備活動を行うことが可能です。
また、それらの活動をするために必要な生活資金を得るための就労を行うこともできます。就労時間や報酬の上限などはありませんが、風営法に関する仕事には従事することができません。就労時間や報酬の上限などがないといっても、就職活動や起業準備活動がメインの活動ですので、フルタイムで働いたり、多額の報酬を受けてしまったりすると、メインの活動が就労とみなされてしまう可能性もありますので注意が必要です。
「特定活動」(未来創造人材)を取得すると、6ヶ月または1年の在留期間が与えられます。その期間で就職活動や起業準備活動が終わらない場合は、最長2年間まで延長することが可能です。
更新申請では、就職活動や起業準備活動を行なっていたことを立証しなければなりません。
立証資料としては、就職活動であれば、エントリーシートや面接の日程調整のメール、選考結果通知などです。一方、起業準備活動であれば、オフィスの賃貸借契約に関する資料や取引先とのメールなどが想定されます。
就職活動や起業準備活動を行なっていないと判断されたり、就労がメインの活動と判断されたりすると、更新ができない可能性がありますので注意しましょう。
配偶者や子どもの呼び寄せ
「特定活動」(未来創造人材)を取得すると、配偶者や子どもなど、家族を帯同することが可能です。未来創造人材が先に日本に来てから呼び寄せることも、一緒に在留資格認定証明書交付申請を行い、同時に日本に入国することもできます。
在留資格認定証明書交付申請で必要な書類は以下のようになります。
必要書類 | |
1 | 申請書 |
2 | 顔写真 |
3 | パスポート |
4 | 申請人と扶養者との身分関係を証する文書(結婚証明書、出生証明書など) |
5 | 扶養者のパスポートまたは在留カードの写し |
必要書類はとてもシンプルです。扶養者との身分関係を立証する結婚証明書や出生証明書を提出できれば問題はないでしょう。
申請が許可されると「特定活動」(未来創造人材の配偶者等)が与えられ、未来創造人材と一緒に日本に滞在することができます。
「特定活動」(未来創造人材の配偶者等)は、日本で働くことができない在留資格になりますが、資格外活動許可を取得すると1週間28時間以内で働くことが可能です。
資格外活動許可についてはこちらの記事もお読みください。
特定活動ビザ(未来創造人材)の注意点
「特定活動」(未来創造人材)の注意点について解説していきましょう。
「特定活動」(未来創造人材)の注意点
「特定活動」(未来創造人材)で行うことができる就労は、メインの活動である就職活動や起業準備活動を行うための必要な資金を補うための活動です。
「経営・管理」の取得要件の一つに、資本金が500万円以上あることというものがありますが、「特定活動」(未来創造人材)で、イチから500万円を貯めるために日本で就労することは、起業準備活動の範囲や必要な資金を補うための活動範囲を超え、就労がメインの活動と捉えられてしまいます。あくまでも生活費等を稼ぐための就労という位置付けであることに注意しましょう。
また、就職活動の一環としてインターンシップを行うこと自体は否定されませんが、インターンシップがメインの活動となると、就職活動を行なっていないとみなされてしまう可能性があります。インターンシップを行なっている場合は、その必要性や就職活動の一環であることを説明し、立証する必要があるでしょう。
このように、メインの活動や必要な資金を補うための活動範囲を超えないように注意することが必要です。
前述したように、「特定活動」(未来創造人材)で最長で2年間日本に滞在することができます。しかし、「特定活動」(継続就職活動)、起業活動促進事業、特区創業活動促進事業、「特定活動」(卒業後起業活動)といった、類似の制度と併せて累計2年を超えて滞在することはできません。このような制度で在留歴がある場合は滞在できる期間に注意しましょう。
「特定活動」(未来創造人材)で在留中に就職が決定、または起業準備が整った際には、「技術・人文知識・国際業務」や「経営・管理」など、適した就労ビザに変更する必要があります。その際は速やかに在留資格変更許可申請を行いましょう。
就労ビザについてはこちらの記事もお読みください。
さいごに
ここまで「特定活動」(未来創造人材)について、解説してきました。制度の概要から取得要件、活動内容や注意点まで網羅的にご理解いただけたはずです。
これまでも似たような制度はあったものの要件はシンプルになり、滞在期間も長く、対象者も広がり、より活用しやすい制度になったと思います。今後はこの制度を利用して、優秀な外国人が日本に来ることが予想されます。
このような優秀な外国人を雇用したいと考える企業や教育機関は少なくないはずです。外国人を雇用するには、外国人が就労ビザを取得しなければなりません。就労ビザ手続きを外国人に任せる受入機関も多いですが、ちょっとした書類の不備で手続きが滞ってしまったり、最悪のケースでは不許可になってしまうこともあります。優秀な外国人を迎えるにあたって、受入機関がしっかりとビザのサポートをして、スムーズかつ安全に就労ビザを取得することは重要です。
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記事を書いた人
1981年生まれ、千葉県出身。行政書士として約10年間勤務した後、DX化が進んでいないビザ業務を変えるため2019年にリガレアスを設立。Twitterでも積極的に情報発信しています。
1981年生まれ、千葉県出身。行政書士として約10年間勤務した後、DX化が進んでいないビザ業務を変えるため2019年にリガレアスを設立。Twitterでも積極的に情報発信しています。