リガレアス行政書士事務所の広瀬です。

海外では一般的であった大学生のインターンシップは、近年、日本でも受け入れを行う企業が増えてきています。特に優秀な外国人材の争奪は激しくなっており、海外の大学生をインターンシップ生として受け入れることを検討している企業は多いでしょう。

しかし、外国人インターンシップ生を受け入れる際の課題の一つとして、在留資格(ビザ)の問題があります。

そこで本記事では、外国人インターンシップ生を受け入れる際の適切な在留資格の選び方や申請の要件、受け入れ時の注意点などを解説していきます。この記事を読んでいただければ、外国人インターンシップ生受け入れ時の在留資格の疑問もなくなり、ハードルも下がるはずです。

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企業も教育機関も知っておきたい外国人のインターンシップ

外国人が日本でインターンシップを行うには、必ず在留資格が必要です。

インターンシップに関する在留資格は一つではありません。インターンシップ生の状況や受け入れの条件などによって在留資格が異なるため、適切な在留資格がどれに当たるのかがとてもわかりにくいです。

また、これまで十分な指導体制がないまま、企業が外国人インターンシップ生を受け入れることや、労働力確保の目的で受け入れるなどの事例があったため、入管では適正なインターンシップの利用促進を図る目的で、2020年にガイドラインを策定しました。このことにより以前と比べ提出書類が増え、審査が厳しくなってきています。

このように、企業には受け入れ体制の構築が求められています。在留資格を取得し、適正な受け入れを実現されるためにも、行政書士などの専門家に助言を仰ぐのも一つでしょう。

また、日本に在籍している留学生が日本の企業でインターンシップをする際にも、必要な手続きがありますので、大学も留学生のインターンシップについて把握しておく必要があります。

 

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海外から受け入れるインターンシップ生

外国人インターンシップ生を受け入れる際の在留資格は複数あり、海外から受け入れるのか、日本にいる外国人をインターンシップ生として受け入れるのかでも異なります。まずは、海外から受け入れるインターンシップ生の在留資格から見ていきましょう。

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これは、海外からインターンシップ生を受け入れる際の在留資格のフローチャートです。海外からインターンシップ生を受け入れる場合は、このフローチャートを参考にして在留資格を決定しましょう。ここからはそれぞれの在留資格の要件を見ていきます。

特定活動(9号)

海外からインターンシップ生を受け入れる際は、この在留資格で申請することが一番多いです。また、その他の在留資格も「特定活動」(9号)をベースとしているので、この在留資格から解説してきます。要件は下記のようになります。

  • 海外の大学に在籍していること
  • 教育課程の一部であること
  • 1年を超えない期間で、通算して大学の修業年限の2分の1であること
  • 大学と受入機関の間に契約があること
  • 報酬が発生すること

 

海外の大学に在籍していること

卒業して学位が授与される大学の教育課程に在籍している必要があります。学位が授与される教育課程であれば短期大学や大学院も認められますが、通信教育に在籍している学生は認められません。なお、日本入国時には18歳以上であることも必要です。

教育課程の一部であること

インターンシップを修了することで、学位を取得するための単位として認定されることが必要です。

必ずしもインターンシップで行う業務内容と大学での専攻科目が一致していなければならないわけではありませんが、教育課程の一部であることが要件とされていますので、専攻科目と全く異なる業務を行う場合には注意をしてください。

また、大学生に求められる知識や教養の向上に資すると認められない、いわゆる単純作業のような業務を行うことは認められていません。

1年を超えない期間で、通算して大学の修業年限の2分の1であること

1回のインターンシップは1年を超えて行えません。さらに、通算して大学の修業年限の2分の1を超えないことが条件です。

例えば、修業年限が2年間の海外の大学院生が、日本で1年間インターンシップを行ったことがあれば、その大学院在籍中は日本でインターンシップを行えません。

インターンシップ生を受け入れる企業は、以前のインターンシップ歴についても確認をしておく必要があります。

大学と受入機関の間に契約があること

海外の大学とインターンシップ受け入れ企業との間で、インターンシップ生受け入れに関する契約を締結しなければなりません。契約書には以下のような内容を盛り込む必要があります。

  1. インターンシップの目的
  2. 大学での単位科目及び取得単位数
  3. インターンシップの期間
  4. 報酬及び支払い方法
  5.  控除費目及び控除額
  6. 保険内容及び負担者
  7. 旅費負担者
  8. 大学に対する報告
  9. 契約の解除
  10. インターンシップの実施計画(インターンシップの目標/受入れ、指導体制/評価方法)

報酬が発生すること

インターンシップ生に対して、受け入れ企業から報酬を支払う必要があります。労働関係法令が適用されるため、最低賃金以上の報酬を支払わなければなりません。

特定活動(12号)

「特定活動」(12号)の要件は下記のようになります。

  • 海外の大学に在籍していること
  • 大学と受入機関の間に契約があること
  • 報酬が発生すること
  • 授業が行われない期間で、3ヶ月を超えないこと

 

夏休みなどの長期休暇中にインターンを行う際に取得をする在留資格で、サマージョブとも呼ばれています。

「特定活動」(12号)は、教育過程の一環でなくても海外からのインターンシップ生の受け入れが可能なように作られている在留資格で、要件のうち1〜3は「特定活動」(9号)と同じです。「特定活動」(9号)との違いはインターンシップの期間で、夏休みなど授業が行われない期間中に行われる3ヶ月以内のインターンシップでなければなりません。

文化活動

下記が「文化活動」の要件になります。

  • 海外の大学に在籍していること
  • 教育課程の一部であること
  • 1年を超えない期間で、通算して大学の修業年限の2分の1であること
  • 大学と受入機関の間に契約があること
  • 報酬が発生しないこと

 

「特定活動」(9号)の報酬が発生しないインターンシップが「文化活動」です。要件のうち1〜4までは「特定活動」(9号)と同じになります。報酬を発生させてはいけませんが、宿泊費用や交通費などの実費を支給することは可能です。

短期滞在

報酬が発生せず、さらに期間が90日以内であれば「短期滞在」を取得します。「短期滞在」は、これまで説明した3つの在留資格とは異なり、事前に在留資格認定証明書交付申請が不要です。

さらに、査証免除国であれば「短期滞在」の査証申請は不要で、いわゆる「ビザ無し」で入国することが可能です。査証免除以外の国からの入国であれば、日本大使館等で査証を取得した上で日本に入国します。

日本に在留するインターンシップ生

ここまで海外からインターンシップ生を受け入れる際の在留資格を見てきました。次に日本に在留している外国人をインターンシップ生として受け入れる場合の在留資格について見ていきましょう。

 

在留資格「留学・「特定活動」
報酬ありなし
時間1時間につき28時間以内1時間につき28時間超
手続き資格外活動許可(包括)資格外活動許可(個別)不要

 

日本の大学に在学中の留学生や大学卒業後に就職活動を行っている学生または就職先が内定している学生が想定され、在留資格としては「留学」または「特定活動」(継続就職活動)・(就職内定者)を持っている外国人になります。

基本的にはアルバイトの延長と考えられ、報酬が発生する1週間に28時間以内のインターンシップであれば、資格外活動許可(包括許可)を取得するだけでインターンシップが可能です。インターンシップ生がすでに資格外活動許可(包括許可)を取得済みであれば、インターンシップをするために、改めて取得する必要はありません。

また、海外からのインターンシップ生と異なり、大学との契約は不要ですし、教育課程の一部でなくてもインターンシップを行うことは認められます。

他方、長期休暇以外で1週間に28時間以上のインターンシップを行う場合は、資格外活動許可(個別許可)を別途申請し、許可を受けなければなりません。その際の条件は以下のようになります。

 

条件就職活動の一環として職業体験を目的とするインターンシップであること
対象者「留学」を持って大学(短期大学を除く)に在籍し、卒業を迎える年度で、卒業に必要な単位の9割以上を修得している学生
「留学」を持って大学院に在籍し、卒業を迎える年度の学生
継続就職活動もしくは就職内定者の「特定活動」を持つ卒業生

 

単位を取得するために必要な実習や専攻科目と密接な関わりがあるインターンシップであれば、上記に該当しない場合であっても、1週間に28時間を超える資格外活動許可(個別許可)を受けることは可能です。

なお、報酬を受けずにインターンシップを行う場合には、資格外活動許可の取得は必要ありません。

資格外活動許可については、下記の記事でも詳しく解説しています。

外国人のインターンシップにおける注意点

前述したように、単なる労働力確保の目的での受け入れにならないようにするため、インターンシップ実施体制を整える必要があります。特に「特定活動」(9号)では、下記に関する説明書の提出が求められます。

  • 責任者を選任していること
  • 指導員(インターンシップ生が従事する業務に1年以上の経験)を選任していること
  • 外国人の受け入れに対して人権を著しく侵害する行為を行っていないこと
  • 過去5年以内に入管法または労働法に違反していないこと
  • 外国の大学との間の契約に反する内容をインターンシップ生と取り決めていないこと
  • 国内外の費用をインターンシップ生に明示し、負担者や金額について合意していること
  • 入管から実地調査が行われる場合は協力すること
  • インターンシップに関する報告書を作成し、最低3年間保存すること など

かなり細かい部分まで求められますので、インターンシップ生を受け入れる際には、上記の項目を事前に確認をした上で、受け入れ体制を整えるようにしましょう。

また、「文化活動」や「短期滞在」は報酬が発生しないため労働法の適用はありませんが、それ以外の在留資格でインターンシップを行う場合には、労働法が適用される場合があります。最低賃金や保険の加入などの確認をして、必要な手続きや対応を取るようにしてください。

さいごに

ここまで、外国人のインターンシップ生受け入れに関する在留資格や受け入れ時の注意点などを解説してきました。本記事をお読みいただき、適切な在留資格の選び方や申請要件など整理されたのではないでしょうか。

受入企業では受け入れ体制の整備が求められ、在留資格認定証明書交付申請でも以前に比べて提出書類も多く、細かい規定が増えました。在留資格を取得するためにも、申請時の書類作成も重要になってきます。

リガレアスでは、インターンシップ生の適切な受け入れを実現させるために、しっかりとした受け入れ体制が構築できるようにご支援しております。外国人インターンシップ生の受け入れに関するご相談がありましたら、リガレアス行政書士事務所にご相談ください。

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