日本滞在時に外国人スポーツ選手が必要なビザ手続きの指南書
- 2021.09.28
- 2023.06.17
リガレアス行政書士事務所の水澤です。
スポーツは、するのも応援するのも観るのも楽しいですね!相手と競う、国を背負って競う、いや、実は自分との闘いだ・・!と、活躍する選手から熱々なメッセージが伝わってきます。
漫画でも、「巨人の星」「アタックナンバーワン」「エースをねらえ!」「ドカベン」(古いですね)「キャプテン翼」「スラムダンク」など感動する作品がいっぱいです。これらを読むと、私も素晴らしい運動神経の持ち主かもしれない!と錯覚してしまい、無茶な動きをしてズッコケて、運動音痴だったという現実を知りましたが、汗を流して心身を鍛えるのは本当に気持ちが良いものです。
オリンピックやワールドカップが日本でも開催されましたが、大活躍している外国人選手は一体どのようなビザで来日するのでしょう?
今回は、外国人スポーツ選手が来日する際のビザや必要書類などについてお伝えします。ご本人はもちろん、所属チーム関係者さまの一助となれば幸いです。
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外国人スポーツ選手のビザは3種類
プロスポーツ選手は 在留資格「興行(基準3号)」
興行を目的とするスポーツの試合を事業として行い興行収入やスポンサー収入で運営されているチームで、スポーツ選手として活動する契約を結び、試合観戦の入場料や関連グッズ売上収入から報酬が支払われる場合は、在留資格「興行」に該当します。
「興行」の在留資格対象チームや選手は以下の通りです。
- 上記の日本プロ野球機構に所属する12球団の1軍2軍登録選手
- 地区独立リーグに所属する野球選手
- Jリーグに所属するサッカーチームの選手
- BJリーグ
- アジアアイスホッケーリーグ 等
個人競技では、ゴルフトーナメントに出場するプロゴルファー、プロテニス選手、大相撲力士、プロボクシング選手、総合格闘技選手、プロレス選手、プロゲーマー、興行としてのダンス選手権に出場するダンス選手が該当します。
アマチュアスポーツ選手は「特定活動(告示6号)」
日本のアマチュアスポーツの振興及び水準の向上のために日本の実業団チーム等に雇用され、アマチュアスポーツ選手としての活動や、企業の広告塔としての活動の対価として雇用会社から選手に報酬が支払われる場合は、在留資格「特定活動(告示6号)」に該当します。
*アマチュアチームの所属であってもプロ契約をしている外国人選手は在留資格「興行(基準3号)」となります。
「特定活動(告示6号)」の在留資格対象チームや選手は以下の通りです。
- 日本フットボールリーグ
- フットサルリーグ
- 社会人野球チーム
- ジャパンラグビートップリーグ 等
「短期滞在」
- 国の代表として競技をするオリンピック選手・ワールドカップ選手・アジア大会選手
- 賞金・報酬が無い国際大会に参加するプロスポーツ選手
*賞金・報酬がある国際大会に参加する場合は「興行」に該当します。
- 国際大会に参加するアマチュアスポーツ選手
*賞金・報酬の有無に関係なく一律に「短期滞在」に該当します。
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ビザ申請に必要な書類
準備する書類が多いことや、公的機関から出される書類は交付から3か月以内のものを求められますので、申請目標時期から逆算して速やかにご準備を進めてください。
プロスポーツ選手 「興行(基準3号)」
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 証明用顔写真(縦4cmx横3cm)
- 返信用封筒
- 申請人の経歴書及び活動に係る経歴を証する文書
- 招へい機関の登記事項証明書、直近の決算書、従業員名簿
- 競技等を行う施設の営業許可書、施設の図面・写真、従業員名簿、登記事項証明書、直近の決算書
- 請負契約書(招へい機関が興行を請け負っている場合)
- 雇用契約書
- 滞在日程表・競技日程表・試合や競技内容を知らせる広告・チラシ等(適宜)
アマチュアスポーツ選手 「特定活動(告示6号)」
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 証明用顔写真(縦4cmx横3cm)
- 返信用封筒
- 雇用契約書
- 申請人の履歴書及び履歴を証明する資料(卒業証明書,職歴を証明する文書等)(適宜)
- 競技会の出場歴及び当該競技会における成績を示す資料(適宜)
- 申請人を雇用する機関の登記事項証明書、貸借対照表・損益計算書、会社の概要がわかるパンフレット等
ビザ申請の手順
日本のビザ一連の手続は4つの工程があります。
では、具体的な手続手順をご案内します。
手順は以下の通りです。
手続手順 | |
1 | 書類の収集・チェック |
2 | 申請書作成 |
3 | 出入国在留管理局へ在留資格認定証明書交付申請を行う |
4 | 審査 |
5 | 審査終了 在留資格認定証明書が交付される |
6 | 在留資格認定証明書を本国の申請人に送付 |
7 | 申請人は本国の日本大使館・領事館へ在留資格認定証明書を提出し、査証発給申請を行う |
8 | 審査 |
9 | 査証発給 |
10 | 日本に到着 入国審査 |
11 | 住民登録 |
*新型コロナウイルス感染対策により、現在日本は入国制限を行っています。
7番9番の査証発給は、特段の事情が無い限り在外公館は発給を停止しています。
*新型コロナウイルス感染対策により、10番の日本に到着後は検疫により待機場所
や待機 日数等が指定されています。
*11番の住民登録は、日本入国後90日以内に行う必要があります。
上記の検疫所指定の日本入国後待機期間の後に、速やかに行ってください。
プロとアマチュア・生涯スポーツで指導者が必要なビザが異なる
活躍する選手には、監督・コーチ・トレーナー、キャディー等のスタッフが常にサポートしています。この方々は何のビザで来日するのでしょう。
プロスポーツの指導者が必要なビザ:「興行(基準3号)」
申請の要件
プロスポーツ選手と一体不可分な関係であること。
プロスポーツ選手を支え導く監督・コーチ・トレーナー・サッカーチームではホペイロも該当します。他に、ゴルフ選手の専属キャディー等です。
*プロスポーツチームのマーケティング関連の業務に就く方は、在留資格「技術・人文知識・国際業
務」に該当する場合がありますので、ご注意ください。
ビザの申請に必要な書類
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 証明用顔写真(縦4cmx横3cm)
- 返信用封筒
- 申請人の経歴書及び活動に係る経歴を証する文書
- 招へい機関の登記事項証明書、直近の決算書、従業員名簿
- 競技等を行う施設の営業許可書、施設の図面・写真、従業員名簿、登記事項証明書、直近の決算書
- 請負契約書(招へい機関が興行を請け負っている場合)
- 雇用契約書
- 滞在日程表・競技日程表・試合や競技内容を知らせる広告・チラシ等
アマチュアスポーツ・生涯スポーツの指導者は「技能(第8号のスポーツ指導者)」
申請の要件
アマチュアスポーツの指導者として、「技能」を申請する場合には、以下の要件を満たすことが必要です。
- 下記いずれかの実績があること
- 指導をするスポーツについて、3年以上の指導実務経験があること(もしくは法務大臣が告示をもって定める者で、当該技能を要する業務に従事する者)
- スポーツ選手としてオリンピック大会,世界選手権大会その他国際的な競技会に出場した経験があること
- そのスポーツの指導に係る技能を要する業務に従事すること
3年以上の実務経験には、外国の教育機関においてスポーツの指導に係る科目を専攻した期間及びプロスポーツ選手として報酬を受けて当該スポーツに従事していた期間を含むことができます。
ビザ申請に必要な書類
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 証明用顔写真(縦4cmx横3cm)
- 返信用封筒
- 従事する業務の内容を証明する所属機関の文書
- 履歴書
- 雇用契約書
- スポーツの指導に係る実務に従事していたことを証明する文書または選手としてオリンピック大会,世界選手権大会その他国際的な競技会に出場したことを証明する文書
- 登記事項証明書
- カテゴリーを証する資料
スポーツ選手の家族はどうなる?
プロスポーツ選手の家族は「家族滞在」
プロスポーツ選手の配偶者と子は、在留資格「家族滞在」に該当します。プロスポーツ選手の被扶養者としての日常的な活動を行うことができますが、就労はできません。
「家族滞在」については詳しくはこちらの記事をご参照ください。
アマチュアスポーツ選手の家族は「特定活動(告示7号)」
アマチュアスポーツ選手の配偶者と子は、在留資格「特定活動(告示7号)」に該当します。こちらも、アマチュアスポーツ選手の被扶養者としての日常的な活動を行うことができますが、就労はできません。
*配偶者は、内縁関係ではなく法律婚であること。
*子も法律で認められた親子関係であること。成年に達した者及び養子も含まれます。
さいごに
スポーツ選手のビザ手続は、プロ選手か、アマチュア選手か、出場する大会に賞金や報酬は発生するかによってビザが変わります。
指導者も、プロ選手と共にプロチームに所属し指導するのか、アマチュア選手の指導者として招聘企業に雇用されるのか、ビザ手続を始める前に良く確かめることがポイントです。
今回登場しました「興行」「特定活動」は、準備する書類が多く、申請前に確認する事項も多いのが特徴です。たゆみない努力を続けスポーツ選手として活躍する方々が、日本で安心して競技に臨める環境を作るためにもビザ手続は大切です。
日本のビザ手続で分からないことや不安なことがありましたら、いつでもご相談ください。
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記事を書いた人
- 水澤 美砂子
元アルゼンチン国営ラジオ局海外向け放送R.A.E.の日本語アナウンサー。帰国後、市役所の総合受付業務に従事する中でビザの重要性を再認識し、元法務省参事・東京入国管理局長山崎哲夫氏の法務事務所で入管法実務を学び現在に至る。
元アルゼンチン国営ラジオ局海外向け放送R.A.E.の日本語アナウンサー。帰国後、市役所の総合受付業務に従事する中でビザの重要性を再認識し、元法務省参事・東京入国管理局長山崎哲夫氏の法務事務所で入管法実務を学び現在に至る。