※本記事は2022年12月13日に更新しました。

リガレアス行政書士事務所の広瀬(@tatsu_ligareus)です。

近年、コンビニやスーパーなど、さまざまな場所で外国人が働いているのを見かけます。コンビニでのレジ打ちや品出しなどのいわゆる単純労働に当たるようなものは就労の在留資格がないため、ほとんどが資格外活動許可によるアルバイトでしょう。

厚生労働省が発表した「外国人雇用状況」の届出状況表一覧によると、2021年10月末時点で、資格外活動許可を持ちアルバイトをしている外国人は約33万人です。

在留資格別外国人労働者数

総数専門的・技術的分野の在留資格特定活動技能実習資格外活動身分に基づく
在留資格
外国人労働者数1,727,221人394,509人65,928人351,788人334,603人546,469人

2021年10月末現在
(参考:厚生労働省『
「外国人雇用状況」の届出状況表一覧』)

このように、在留外国人の約20%の人が資格外活動許可を持っていることになり、多くの人が資格外活動許可でアルバイトをしていると思われます。

そこで今回は、資格外活動許可を持って働く外国人の方だけでなく、企業や教育機関の方に向けて、資格外活動許可について詳しく解説していきます。

本記事をお読みいただければ、資格外活動許可の概要や注意点をご理解いただけます。

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資格外活動許可とは?

資格外活動とは、現在持っている在留資格に属さない収入を伴う事業を運営する活動または報酬を受ける活動のことです。

例えば、「留学」や「家族滞在」など、就労が認められていない在留資格を持つ人が、在留資格で認められた活動の範囲を超えて報酬を受ける活動を行う場合です。これが一般的に考えられる資格外活動でしょう。

しかし、実は「教授」を持ち大学で教員として働く人が、民間企業で語学教師として働くような場合(「技術・人文知識・国際業務」の活動内容)も資格外活動に当たります。

つまり、与えられた在留「資格外」の「活動」で報酬を受けることを資格外活動といい、このような活動を行う際に必要な許可が資格外活動許可になります。

資格外活動で働く人のほとんどは「留学」の在留資格の人ですが、上記のように就労の在留資格を持っている方も対象となり得ますので、教育機関だけでなく企業の担当者の方も資格外活動許可について正しい知識を持っておくのが良いでしょう。

 

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資格外活動許可の要件(一般原則)

資格外活動許可を受けるには、以下の要件を満たさなければなりません。

  1. 資格外活動により現に有する在留資格の活動が妨げられないこと
  2. 現に有する在留資格に係る活動を行っていること
  3. 申請に係る活動が入管法別表第一の一の表または二の表の在留資格で認められている活動であること(「特定技能」及び「技能実習」を除く)
  4. 申請に係る活動が法令違反や風営法に該当するものでないこと
  5. 収容令書の発付または意見聴取通知書の送達もしくは通知を受けていないこと
  6. 素行が不良でないこと
  7. 本邦の公私の機関との契約に基づく在留資格に該当する活動を行なっている者については、当該機関が資格外活動を行うことについて同意していること

時間数や収入額にかかわらず、資格外活動をすることによって、今持っている在留資格の活動が妨げられるような場合、資格外活動許可は認められません。

また、扶養を受ける活動である「家族滞在」などを持っている人が、扶養者の収入額を超えるような資格外活動を行う場合も、扶養を受ける活動とは言えなくなるため、資格外活動許可を受けられないことがあります。

当然ながら、今持っている在留資格に関する活動を行なっていない場合も、許可を受けることはできません。例えば「留学」を持つ留学生が学校に通っていないような場合です。

「申請に係る活動が入管法別表第一の一の表または二の表の在留資格で認められている活動であること」とは、資格外活動の内容が、いわゆる就労ビザに該当する活動内容でなければならないということです。前述のように「教授」を持ち大学で教員として働く人が民間企業で語学教師として働くような場合は認められますが、スーパーで接客を行うような場合は認められません。

資格外活動の内容が法令違反に当たる場合や風営法に該当する場合や、申請人が収容令書の発付を受けていたり、これまで不法就労をあっせんするなど素行不良と判断されるような場合も許可されません。

最後の「当該機関が資格外活動を行うことについて同意していること」とは、例えば「技術・人文知識・国際業務」を持つ人が、勤務先の企業から資格外活動を行うことについて同意を得ている必要があることです。

資格外活動許可の種類

資格外活動許可には以下の2種類があります。

  • 包括許可
  • 個別許可

この2種類の許可の違いを意識して申請をしている人はほとんどいないのではないでしょうか。ここでは包括許可と個別許可について詳しく解説していきます。

包括許可

包括許可とは、1週間で28時間以内のいわゆるアルバイトを行う時に申請するもので、前述の一般原則のうち、3以外の要件に該当する場合に許可されます。資格外活動許可を持っている方のほとんどが包括許可のはずです。

「包括」という言葉通り、行う活動内容や勤務先などを定めずに許可を受けますので、アルバイト先が決まっていなくても申請ができます。ただし、全ての人が申請できるわけではなく、次のような在留資格をもつ人が包括許可の対象です。

  • 「留学」
  • 「家族滞在」
  • 外国人の配偶者や子供で、扶養を受けるものとして日常的な活動を指定された「特定活動」
  • 継続就職活動や内定後就職までの在留を目的とする「特定活動」
  • 地方公共団体等との雇用契約により活動をする「教育」、「技術・人文知識・国際業務」、「技能(スポーツインストラクターのみ)」

個別許可

個別許可とは、包括許可の範囲外の活動に従事する場合や、就労の在留資格をもつ人が他の就労資格に該当する活動を行う時に申請をするものです。前述の一般原則全ての要件を満たさなければなりません。包括許可とは異なり、勤務先や活動内容などが個々に定められて許可されます。

個別許可を受ける例は、以下のような活動です。

  • 留学生が就業体験を目的とするインターンシップに従事し週28時間を超える資格外活動
  • 大学で勤務する「教授」をもつ人が民間企業で語学教師として活動
  • 個人事業主として活動
  • 客観的に稼働時間を確認することが困難な活動

名目はアルバイトであったとしても、業務委託で仕事を受注し稼働時間の確認ができないような業務は包括許可で申請することができず、個別許可で申請しなければならないことに注意しましょう。

資格外活動許可が例外的に必要ないケース

例外的に、報酬を受けていても資格外活動許可が必要ない場合もあります。

例えば、大学院生が学部学生に対して教育補助を行うTA(ティーチング・アシスタント)や、研究補助者として大学の研究プロジェクトに参画させるRA(リサーチ・アシスタント)として大学と契約し、報酬を受けている場合です。このようにTAやRAとして活動する場合には、資格外活動許可を持たずに働くことができます。

他にも、外国語指導助手(ALT)として「教育」の在留資格をもつ人が、勤務している教育機関で授業の教材開発や教員に対しての語学教育などは、「教育」の在留資格の活動に含まれるため資格外活動許可は不要です。

また、資格外活動は「現在持っている在留資格に属さない収入を伴う事業を運営する活動または報酬を受ける活動」と説明しました。つまり、報酬が発生しない場合には、資格外活動許可は必要ありませんので、無報酬のインターンシップなどであれば、資格外活動許可の取得は不要です。

資格外活動許可で定められている週28時間ルール(例外あり)

包括許可では1週間に28時間以内しか働くことはできません。ここで勘違いされている方が多いのですが、1週とは月曜日から日曜日までの1週間ではありません。どの曜日から起算した場合でも28時間以内でなければならないということです。

blog-parttimejob_hours

上の図のように、月曜日から日曜日であれば28時間以内になりますが、水曜日から起算すると29時間となります。この場合、資格外活動違反になってしまいます。

これは一つのアルバイト先だけではなく、全てのアルバイト先での勤務時間を合わせて28時間以内でなければなりません。特に留学生などはアルバイトを掛け持ちしていることも多く、この点には注意が必要です。

なお、「留学」の在留資格をもつ人は、学校の長期休暇中は1日8時間以内のアルバイトが認められます。この長期休暇とは、学則で定められている夏季休暇や冬季休暇を指します。

学費を稼ぐために休学をして、1日8時間のアルバイトをしたいといった相談を受けることがありますが、もちろんこれはできません。休学期間を長期休暇と捉えてアルバイトをすることはできませんので注意しましょう。

資格外活動許可で禁止されている仕事

包括許可では、一般原則3に該当する必要がないため、コンビニでのレジ打ちなどいわゆる単純労働に従事することが可能です。

しかし、一般原則4にあるように、法令に違反するような活動や風営法に係る職種で働くことはできません。例えば、キャバクラやスナック、バーなどで働くことは禁止されています。

また、パチンコ店やゲームセンターなども風営法に関わる職種となるため、こういったお店で働くこともできません。さらに、風営法に関わる一切の職種が禁止されているため、こういったお店でキッチンや清掃として働くことも禁止の対象となっています。

資格外活動許可の申請方法

申請できる人

資格外活動許可を申請できるのは、原則として申請人本人です。申請取次者として入管から承認を受けている申請人を雇用する企業の職員や申請人が通う学校の職員の方も申請が可能です。そして、入管に届け出ている我々行政書士や弁護士も、申請人に代わって申請することができます。

なお、資格外活動許可申請ではあまり考えられませんが、法定代理人として、申請人が18歳未満の場合に親権者や未成年後見人、成年後見人なども申請することが認められます。

必要書類

包括許可の場合は、申請書のみです。

一方で、個別許可の場合は、申請書以外に資格外活動の内容や時間、報酬がわかる資料を提出します。労働条件通知書などがこれに当たりますが、資格外活動の内容によってどの資料を提出するかが異なりますので、事前に確認が必要でしょう。

申請場所

申請人の住居地を管轄する入管で申請しなければなりません。

在留期間更新許可申請や在留資格変更許可申請、在留資格取得許可申請と同時であれば、オンライン申請をすることも可能です。

オンライン申請については、以下の記事もお読みください。


※資格外活動許可申請のみでは、オンライン申請はできませんので注意しましょう。

「留学」、「教育」、「技術・人文知識・国際業務」、「技能」の在留資格で、新規に日本に入国する際に空港で資格外活動許可を申請することが可能です。この場合、包括許可のみ取得できます。ここで言う新規入国とは、在留資格認定証明書と査証を持って日本に入国する時のことで、再入国許可による入国の際は空港で申請することはできません。

また、在留期間が3ヶ月の方も空港で申請することができませんので注意しましょう。

入管で資格外活動許可を申請した場合は、審査期間に2週間から2ヶ月かかるとされていますが、空港で申請した場合はその場で許可をもらえます。留学生などで日本でアルバイトを希望している方の場合は、アルバイト先が決まっていなくても入国時に取得しておくのがよいでしょう。

資格外活動許可の外国人雇用時における企業側の注意点

資格外活動許可の確認

外国人を雇用する際には、就労が認められる在留資格を持っているか確認の必要があります。「留学」など就労できない在留資格であっても、資格外活動許可を持っていれば1週間に28時間以内など定められた範囲内で働くことが可能です。

資格外活動許可は、パスポートに資格外活動許可というシールが貼られているのと在留カードの裏面に資格外活動許可というスタンプが押されていますので、外国人を雇用する際は必ず在留資格と一緒に資格外活動許可の有無も確認しましょう。

もし就労できない在留資格で資格外活動許可を持っていない外国人を働かせてしまうと、企業側は不法就労助長罪となります。不法就労助長罪になると、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金に処されますので、雇用する前に確認することは重要です。

不法就労助長罪については、以下の記事もお読みください。

労働時間の徹底管理

資格外活動許可をもつ方のほとんどが包括許可のはずです。

包括許可の場合、原則1週間に28時間しか働くことができませんので、企業側は労働時間を管理しなければなりません。定められた時間以上に働かせてしまうと不法就労となります。

労働基準法の遵守

労働基準法などの労働関係法令は、国籍を問わず外国人にも適用されます。外国人だからといって低賃金、長時間労働など差別的な取り扱いをすることは認められません。労働時間や賃金など、適正な労働条件のもとで外国人を雇用しましょう。

外国人雇用状況の届出の提出

企業は、外国人を雇用する際、外国人のアルバイトなどであってもハローワークに外国人雇用状況の届出の提出が必要です。この届出は義務ですので必ず提出しなければなりません。

もし、届出を忘れたり虚偽の届出をすると30万円以下の罰金の対象となります。なお、離職時にも届出は必要です。

資格外活動許可違反の事例

ここまで、資格外活動許可では、風営法に該当する職種で働くことができないことや、包括許可では1週間に28時間以内の労働時間の制限があることなどを解説してきました。しかし、外国人が資格外活動許可で認められた範囲を超えて働き、不利益処分を受けてしまうことは少なくありません。

特に「留学」や「家族滞在」の在留資格を持つ方が、1週間に28時間以上働いてしまい、在留期間更新許可申請や在留資格変更許可申請などで許可を受けられないといった相談は多いです。

「給料を手渡しでもらっていればわからない」、「アルバイトを掛け持ちして、一つのアルバイト先で28時間だから大丈夫」など、さまざまな噂があるようですが、入管は他の関係省庁との情報連携を行い審査を行っているため、絶対にバレないということはないでしょう。

資格外活動許可違反に関しては、近年入管でも厳しい対応を取っており、一度資格外活動許可違反で更新申請などで不許可を受けてしまうと、在留資格認定証明書の再申請でも許可を受けるのがとても難しくなっています。

また「家族滞在」を持っている方が、家族と一緒に永住許可申請をしても過去の資格外活動許可違反が原因で永住許可を受けられない事例もあります。

資格外活動許可違反をしてしまうと、最悪の場合、退去強制になってしまうこともあります。

留学生を受け入れている教育機関や資格外活動許可で外国人を雇用する企業の方は、資格外活動許可違反にならないように周知、管理していくことが必要でしょう。

さいごに

ここまで資格外活動許可について解説してきました。資格外活動許可で認められていること・認められていないこと、資格外活動の注意点などがお分かりいただけたと思います。

包括許可であれば申請方法はとてもシンプルですので、冒頭の統計のように多くの外国人が資格外活動許可を持って働いています。企業としても包括許可を持っている方であれば単純労働ができるため、人手不足を補うための労働力として雇用することも多いでしょう。

しかし、1週間に28時間以内などの制限はあり、それを超えて働く外国人にも、働かせてしまう企業にも罰則があります。アルバイトだからといって簡単に働いたり、働かせたりするのではなく、法律に基づいて就労・雇用していくことが大切です。

リガレアスでは、外国人の適正な在留に関してのご相談やサポートを行っています。

これまでも軽い気持ちでオーバーワークしてしまい、更新申請で不許可を受け、外国人の方が泣きながら入管審査官に訴える姿を何度も見たことがあります。このような状況を少しでも無くしたいと思いますし、その手助けをしていきたいと考えています。

外国人を雇用する企業や留学生を受け入れる教育機関の方が、外国人の在留管理を適正に行えるよう、リガレアスがサポート致します。

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