永住ビザの「身元保証人」とは?制度改訂前後を比較しながら解説
- 2023.08.28
リガレアス行政書士事務所の広瀬(@tatsu_ligareus)です。
永住許可申請を行う際には、身元保証人をたてて身元保証書という資料を提出しなければなりません。この身元保証人については、永住許可申請する方から必ずといっていいほど質問をいただきます。
そこで今回は、永住許可申請で必要な身元保証人について解説していきます。本記事をお読みいただければ、身元保証人には誰がなることができて、どのような責任があるのかお分かりいただけるはずです。
永住許可申請を検討している外国人やそのパートナーはもちろんですが、永住許可申請を希望する社員がいる企業のご担当者にもお役立ていただける内容です。
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目次
永住ビザの「身元保証人」とは?
永住許可申請では、身元保証人をたてて身元保証書を入管に提出しなければなりません。身元保証人とは、身元保証書に記載されている保証内容を法務大臣に対して約束する人をいいます。
身元保証人と聞くと連帯保証人のようなイメージを持たれる方が多く、申請人からお願いされても断られることも少なくないようです。
しかし、永住許可申請での身元保証人は連帯保証人とは異なり、申請人の代わりに何らかの債務を負うことや損害賠償を請求されることはありません。後述しますが、身元保証人には法的な責任はなく道義的な責任に留まります。
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永住ビザの身元保証の内容
前述のように、身元保証人を依頼する際に、身元保証人について誤解されてしまい断られてしまうことがあります。
しかし、永住許可申請では身元保証人は必須です。身元保証人がいないと永住許可申請ができませんので、しっかりと説明をして理解してもらえるように身元保証人の保証内容を確認しておきましょう。
身元保証書に記載されている保証内容は以下のようになります。
私は上記の者の永住許可申請に当たり、本人が本邦に在留中、本邦の法令を遵守し、公的義務を適正に履行するため、必要な支援を行うことを保証いたします |
つまり、申請人が今後日本の法令を守り、公的義務を履行するための支援を行うことだけを保証すればよいのです。
身元保証書の保証内容は2022年6月から変更されました。以前までは身元保証書に以下の内容を保証することが記載されていました。
- 滞在費
- 帰国旅費
- 法令の遵守
申請人が職を失い収入がなくなった場合や財産を失った場合などで、申請人が日本の滞在費や本国へ帰国するための費用を支払えなくなってしまった場合に、身元保証人がその費用を支払うことを保証する内容でした。また、日本で法令を遵守させることも保証内容に含まれていました。
このように、現在の保証内容は、法令遵守及び公的義務の履行を「支援」することのみになりましたので、以前と比べて保証内容はかなり限定的になったと言えるでしょう。
永住ビザの身元保証は道義的責任
永住許可申請における身元保証人の責任は、連帯保証人などとは異なり、法的な責任はありませんので、申請人の代わりに何らかの債務を負うことや損害賠償を請求されることはありません。
身元保証人の責任はあくまでも道義的責任に留まり、申請人に対して法令遵守や公的義務の履行について支援することを約束するものです。万一、申請人が法令違反や公的義務不履行があったとしても、身元保証人に対して罰則などが科されることもありません。
ただし、身元保証人が保証内容を守れなかった場合、社会的信頼性がなく、身元保証人としての責任が果たせないと判断され、それ以降の永住申請などで身元保証人として認められない可能性があります。この意味で道義的な責任が課されていることになります。いくら法的責任がないとしても無責任に身元保証人になることは避けた方がよいでしょう。
永住ビザの身元保証人になれる人
身元保証人は誰でもなれるわけではありません。身元保証人になることができるのは、日本人または「永住者」(特別永住者を含む)の在留資格を持つ方のみです。たとえ日本に長く住んでいたり、社会的地位が高い方であっても日本人または「永住者」以外の方は身元保証人になることができませんので注意しましょう。
日本人または「永住者」以外の方は、申請人が「永住者」になった場合に日本に滞在できる期間が申請人より短くなり、身元保証内容を履行できなくなる可能性があるためだと思われます。
また、「永住者」になった場合は、その後日本に長期的に滞在することが想定され、身元保証人になってもらえるような関係性の日本人または「永住者」がいることが見込まれているためだと思います。
永住許可申請を検討している場合は、事前に友人や会社の同僚で日本人または「永住者」の方になってもらえるよう相談しましょう。
永住ビザの身元保証人に関する必要書類
身元保証人が準備しなければならない書類は、身元保証書と身元保証人の身分事項を明らかにする書類(運転免許証やマイナンバーカードの写し)のみです。この点も2022年6月に変更されました。
以前までは、身元保証書以外にも身元保証人の住民票、住民税の課税証明書、在職証明書が求められていましたが、現在は身分証明書のみになり、かなり簡素化されました。
以前までですと、身元保証人の給与情報などの個人情報を提出しなければいけないため、いくら仲の良い関係であっても、給与情報などを申請人に渡すことを嫌がり、身元保証人になることを避ける方もいたと思います。
しかし、今はそういった書類を提出する必要がなくなったため、身元保証人になるハードルは下がったと言えるでしょう。保証内容や必要書類をしっかり説明すれば、身元保証人の引き受けもスムーズにいくと思います。
永住ビザの身元保証人に関するよくある質問
ここでは、リガレアスによくいただく身元保証人に関する質問を説明します。
身元保証人になってもらえるか?
身元保証人になってもらえる日本人や「永住者」がいないため、身元保証人になってもらえないかというご相談です。
永住許可申請の代行依頼と同時に身元保証人の依頼をいただくこともありますが、申請人の身元を保証できるような立場ではありませんし、リガレアスでは身元保証人になることはしていません。
前述したように、永住許可申請をする以上、身元保証人になってもらえるだけの関係性がある日本人または「永住者」の友人や同僚がいることが想定されます。身近な友人や同僚の方になっていただけるようお願いをしてみましょう。
身元保証人に入管から問い合わせがある?
いくら法的責任がなく道義的責任に留まるといっても、入管から問い合わせが入るのではないかと心配される方は多いです。永住許可申請はあくまでも申請人に対しての審査で、身元保証人の審査はありません。
そのため、基本的には身元保証人に問い合わせが入ることはありませんので心配される必要はないでしょう。
無職の人や無収入の人が身元保証人になれる?
結論から言うと、無職の人や無収入の人が身元保証人になることができます。以前までは身元保証人の在職証明書や住民税の課税証明書の提出が求められていたため、この質問も多かったです。
しかし、元々必ずしも定職につき収入を得ていなければ身元保証人になれないということはなく、申請人の配偶者で専業主婦の方でも日本人であれば身元保証人になることはできました。
2022年6月から在職証明書などの提出は不要となり、今後はこのような質問も少なくなってくると思われますが、いずれにしても日本人または「永住者」であれば無職や無収入の方であっても身元保証人になることは可能です。
さいごに
ここまで永住許可申請の身元保証人について解説してきました。身元保証人に誰がなれるのか、身元保証人の責任の範囲や必要な書類などをご理解いただけたと思います。
これまで連帯保証人のような責任があると勘違いされたり、給与情報などを申請人に知られたくないという理由から身元保証人を断られたケースは少なくないでしょう。
2022年6月の変更により、保証内容や必要書類が簡素化され、身元保証人のハードルは下がったと思いますので、以前に比べて身元保証人を断られることは減ると思われます。
永住許可申請において身元保証人は必須ですので、永住許可申請を検討している場合は、事前に身元保証人になってもらえる人を探し、相談しておくことをお勧めします。
本記事では身元保証人について掘り下げてきましたが、永住許可申請は要件が複雑で必要書類も多いです。身元保証人が見つかったとしても、要件を満たしていなかったり書類に不備があると申請は許可されません。要件や身元保証書以外の必要書類も確認した上で、永住許可申請にのぞみましょう。
永住許可申請についてはこちらの記事もお読みください。
リガレアスでも永住許可申請の要件や書類を確認し、申請書や理由書などの書類作成も代行し、過不足がないように申請のサポートを行なっています。申請要件を満たしているか不安な方や書類準備の手間を省きたい方などがいましたら一度リガレアスにご相談ください。
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記事を書いた人
1981年生まれ、千葉県出身。行政書士として約10年間勤務した後、DX化が進んでいないビザ業務を変えるため2019年にリガレアスを設立。Twitterでも積極的に情報発信しています。
1981年生まれ、千葉県出身。行政書士として約10年間勤務した後、DX化が進んでいないビザ業務を変えるため2019年にリガレアスを設立。Twitterでも積極的に情報発信しています。